レース最大のハイライトが1周目でした。F1イギリスGP決勝。
- 決勝結果: FORMULA 1 PIRELLI BRITISH GRAND PRIX 2021 - RACE RESULT
- 決勝ダイジェスト: 2021 British Grand Prix race report & highlights: Hamilton overcomes first-lap collision with Verstappen to hunt down Leclerc for 8th British GP win | Formula 1®
- 決勝後各チームコメント: What the teams said – Race day in Great Britain | Formula 1®
- 決勝後記者会見: FIA post-race press conference - Great Britain | Formula 1®
双方退かなかった
スタートではポールからフェルスタッペンが順当にトップで1コーナーに入ったものの、ストレートで速いハミルトンが追いすがる展開。スプリント予選でも似たようなオープニングラップでしたが、あのときはフェルスタッペンが上手いことハミルトンを退けてみせたんですよね。ダウンフォース付け気味のレッドブルはマゴッツ・ベケッツ・チャペルの高速複合コーナーまで逃げ切れればメルセデスを突き放せる感じでしたが、そのことはフェルスタッペンもハミルトンも重々承知していたコトでしょう。
事故が起きたコプスはまさにその手前であり、フェルスタッペンはここを守り切れば逃げられると思ったでしょうし、ハミルトンはここで仕掛けないと苦しくなる、と思ったんでしょう。結果的に、双方の突っ張り合いになってしまい、どちらも退かなかったものだから接触するコトになってしまいました。フェルスタッペンのリヤとハミルトンのフロントが接触した形だったので、結果的にはハミルトンの10秒ペナルティという形で決着となりましたが、これは限りなくレーシングインシデントだったんじゃないかなあ、というのが今のところの感想です。
2021 British Grand Prix: Huge Verstappen crash after contact with championship rival Hamilton(動画)
コーナー手前でハミルトンはほぼ横に並んでるんですよね。ただイン側のハミルトンはやや早めにブレーキングしなきゃいけないんだけど、フェルスタッペンが自分にそれなりのスペースを残す「だろう」という前提のライン取りをしており、一方でフェルスタッペンはハミルトンがもっとブレーキを踏んで後ろに退く「だろう」という前提のライン取りをしているように見えます。お互い退きたくないもんだから、相手の動きを都合良く想定して安全マージンを残さなかった結果の事故というか。
ドライバーや関係者の事故に対するコメントをまとめた記事も上がってますが、当事者であるハミルトンとフェルスタッペンを別にすれば皆「どちらが悪い」と断定的に判断している人は居ないですね。あ、クリスチャン・ホーナーは「ルイスが悪い」って言ってるか。
正直、真横に並ばれた時点でフェルスタッペンは退くべきだったと思うんですけどねえ。ハミルトンとは大きなポイント差があったんだから、「最悪2位でも良い」くらいに切り替えるべきだったんじゃないかと。一番避けるべきはノーポイントとなってしまうことであって、そのためにはリスクを取り過ぎない判断をしたほうが良かった。
フェルスタッペンに大きな怪我が無かったのは幸いでしたが、あとは大破したマシンのパワーユニットがどうなってるかですねえ。これでもしシーズン後半に規定数以上のコンポーネントを投下するコトになってペナルティ、てな話になると、それこそチャンピオンシップに大きな影響が出かねませんし。結果的にはメルセデスとハミルトンが息を吹き返した週末となったワケで、これでまたシーズンの流れがわかならくなってきました。
ルクレールが速かった
フェラーリはフロントリミテッドなサーキットは苦手であり、シルバーストーンもあまり期待はできないだろう……なんて話も出ていたワケですが、ルクレールが優勝の一歩手前の2位フィニッシュという大殊勲。予選・決勝を通してパフォーマンスを発揮して、「あれ??」っていう感じでした。フェラーリの強いときと弱いときの違いってなんなんだ。ルクレール自身は本気で優勝を狙っていたみたいで、チェッカー後本気で悔しがっていたのが印象的でしたね。
2021 British Grand Prix: Frustrated Leclerc reacts after missing out on Silverstone win
あと2周早くチェッカーだったら勝ててたかも、と思うとそりゃ悔しいでしょうが、そもそもここまで活躍できるとは思って無かったんで2位フィニッシュでも良いじゃん……と思わなくもありません。マシンを降りたあとはサバサバした表情していたので、1度感情を爆発させてあとは落ち着く、というのがルクレールのセルフコントロール手法ってコトなんでしょうか。
フェラーリに明るい材料が出たコトで、マクラーレンとのコンストラクター3位争いが盛り上がってくるかもしれませんが、マクラーレンもリカルドが調子出てきたっていう好材料がありますからね。リカルドの5位フィニッシュは今季最上位。ノリスも相変わらず手堅い仕事をしていて、今季スペインの8位を除くと全レースでトップ5フィニッシュしているという抜群すぎる安定感。
良い時と悪いときのムラがあるフェラーリよりは、コンスタントに速いマクラーレンの方にまだ分があると思いますが、フェラーリがコンスタントにこの速さを見せてくるようになるかどうかがひとつ後半戦に向けての見物ですね。
そのほか
予選で冴えなかった角田ですが、決勝ではしぶとく10位入賞。まあいくつかの幸運に助けられた結果ではありますが、最後までコンスタントに走るコトの重要性が窺えるレースでもありました。ただまーそこまで強い存在感を示せたレースってワケでもないので、夏休み前最後のレースになるハンガリーでは奮闘を期待。ここから後半戦にかけてもっとアピールしていかないと、来年のシートだって安泰じゃないかもしれないし。
ペレスは最後入賞圏内を走っていたのに、ハミルトンからファステストラップを奪い取るためにピットインさせられるというのはちょっと驚きました。なんか「マックスをあんな目に遭わせたハミルトンから少しでもポイント奪ってやる」みたいな怨念を感じたんですが、あの作戦は誰の発案だったのかちょっと気になります。