大須は萌えているか?

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マイナポイントすらスルーした人々が花澤香菜ボイスを聴いた程度でマイナンバーカードを作る気になるんだろうか

先日、たまたま目にしたこんなニュース記事。

声優の花澤香菜さん起用 政府のマイナンバーカードPR動画 | エンタメ | NHKニュース

YouTube検索してみたら、確かにCV:花澤香菜の動画が上がってました。

私は数ヶ月前にマイナンバーカードを申請して入手しましたが、まだ十分に普及していないというコトでPRのテコ入れをしたいみたいです。5000円分のポイントがもらえる期間も終わっちゃったしね。総務省の資料を見てみると、2021年7月1日付けの集計で交付率が34.2%となってますね。ざっくり、3人に1人が持っている感じですか。もっと少ないと思っていたので、「意外と多いな」という印象もあるんですが(1年前の交付率を見ると17.5%)。5,000ポイントのばら撒き効果はそれなりにあったというコトでしょうか。

マイナンバーカード交付状況(令和3年7月1日現在)(PDF)

ばら撒き効果が無くなってしまったこれからの増加数は鈍化するのが確実でしょうし、だからこそ違った形でのPRに力を入れていきたいってコトなんでしょうけど、「今までずっとスルーしていたけど花澤香菜がCVやってるから申し込もう!」なんて人が果たしてどれくらい居るのか……。

なんとなく、マイナンバーカードの普及がなかなか進まない理由って大きく3つある気がしていて、

  • 必要性を感じない
  • 思い立ったときに申し込めない
  • 漠然とした不安

といったのがあるんじゃないかなと。

必要性を感じない

そもそも、マイナンバーカードがあれば便利!っていうシチュエーションがあまり想像できない。PR動画で「コンビニで住民票や印鑑登録証明が取れる」とか「本人確認書類として使える」とか「保険証や免許証とひとつになる(予定)」みたいなコトをアピールしてますけど、そう言われて「うわ便利」って思える人がどれだけ居るか。住民票や印鑑証明なんてそんなに頻繁に必要になるものでは無いし(少なくとも自分はもう何年も必要になった記憶が無い)、保険証や免許証と一緒になる!って言われても、逆にマイナンバーカードなんかと一緒にしないでくれ、と思ってしまいます(これは「漠然とした不安」ともリンクするんだけど)。

それでも私がマイナンバーカードを作ろうと思ったきっかけは、つみたてNISAとiDeCoを始めようと思って証券口座を開く方法を調べたときに、マイナンバーカードがあったほうがオンラインでスムーズに申請ができそうだったからです。そういう意味では「本人確認書類として便利だから」というニーズができたが故に申請したワケですが、逆に言うと証券口座を開こうと思わなければ、たぶん今もマイナンバーカードを作っていないと思います。

あと、ふるさと納税の手続きでもマイナンバーカードがあったほうが便利だったりはするんですが、証券口座もふるさと納税もたぶん半分以上の人は興味ないでしょうしね。運転免許証を持っていない人はマイナンバーカードが便利に感じられる機会がもう少し多そうな気もしますが、運転免許の保有率は結構高いだろうし、免許持って無くてマイナンバーカードに利便性を感じる人はもうすでに入手している気がする。

思い立ったときに申し込めない

マイナンバーカードの申請手続き自体は、スマホからも出来て顔写真は自撮りでOK、という手軽さがあり割とやりやすいんですよ。ただ問題は、その手続きを始めるには「交付申請書」のQRコードを読み取らないといけない、という点。この交付申請書ってのが以前に各世帯に郵送されているハズなんですが、そもそも興味無い人はその通知書を紛失している可能性も高いワケです。その後やっぱり申請してみても良いかな、と思っても、肝心の通知書がどこへ行ったかわからない。

交付申請書を紛失した場合はWEBからもダウンロードできるみたいなんですが、ダウンロード版の申請書はQRコードが付いておらずWEB申請は不可。手書きで記入して郵送しなきゃいけない上、その申請書に自分のマイナンバーを書かなきゃいけない。はて、自分のマインバーって何を見ればわかるんだっけ、となるワケです。サラリーマンの場合基本的に勤務先にマイナンバーを通知しているハズなのでそっちに問い合わせるという手もあるんですが、なんにせよめんどくさい。

QRコード付きの交付申請書を再発行するコトもできるみたいなんですが、この場合地元の役所の窓口まで行かないとダメみたいです。やっぱりめんどくさい。

私の場合、ちょうどマイナンバーカードの取得を考えていたときにQRコード付きの交付申請書が送られてきたので助かりましたが、「申し込んでみよう」と思い立ったタイミングでこのQRコード付き交付申請書がパッと出てくるかどうかでハードルの高さが全然違ってしまうワケです。せめて、オンラインでQRコード付き申請書を再発行して郵送する手続きができればいいのに。

まあ、申請したあとも交付までに結構な時間が掛かったり、出来上がったカードは役所まで取りに行かなきゃいけない(本人確認のため)というめんどくささがあるんですけどね。

漠然とした不安

あとはやっぱり、マイナンバー制度自体にネガティブなイメージが付きまといがちなところですよね。マイナンバーカードのサイトを見ると「セキュリティもばっちりだよ!」みたいなアピールはしているんですが、「マイナンバーを他人に知られるとヤバイことになる」「そもそも行政のセキュリティは信用できない」という印象が付きまとってしまい、そして「どうしても必要なものではない」ということも相まって「要らない」というコトになりがちなのでは、と思います。

マイナンバー自体はカードを発行しようがするまいがすでに割り振られちゃっているものなので、今更そこをどうこう言っても仕方無いっちゃ仕方無いんですが、マイナンバー制度というモノに最初からネガティブな印象が植え付けられてしまっている場合、それってなかなか払拭できないと思うんですよね。それを払拭したいがために、花澤香菜を起用したりしているのかもしれませんが……。

ただ、国民にとっての本質的なメリットがあまりよく見えないままの状態で国が必死に普及に向けたPRをすればするほど、不信感が募っちゃうんじゃないかとも思うんですよね。「国が国民にマイナンバーカードを持たせようと必死になってるのは、なにかウラがあるに違いない」っていう。正直、ポイントばら撒いたり声優を使ったイメージ戦略するよりも先に、「作ったほうが便利だわ」と思わせる施策をどんどん打ち出したほうが良いと思うのですが。

あ、あとマイナンバーカードってカードのデザインがイケてないので、どっかのクレジットカードみたく人気キャラクターのデザインも選べる!とかやれば持つ人増えるんじゃないですかね?まあ、マイナンバーカードの期限って10年(20歳未満の場合は5年)あるから途中で飽きちゃうかもだけど。