大須は萌えているか?

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F1[21] ハンガリーGP 決勝

年に一回くらいあるような大番狂わせのレースでしたが、まあとにかく印象的なシーンが多い内容でもありました。F1ハンガリーGP決勝。

レッドブルにとっては前戦以上の悪夢

天候が最初から晴れてれば特にコレといった波乱も無いレースになったんじゃないかと思うんですが、スタート前から降ってきた雨がすべてを狂わせてしまいました。金曜日からレインコンディションでの走行が一度もない状態でのぶっつけ本番ですので、スタートで中団グループの接触とかありそうだなあ……と思っていたら、まさかのボタスがやってくれちゃいました。しかも、玉突きになる格好でレッドブルの2台を巻き込む形で。

2021 Hungarian Grand Prix: Drivers react to race start carnage(動画)

これはもう完璧にボタスのミスで、さすがに本人もそれを認めてノリスとペレスには謝罪をしたみたいですし、トト・ウォルフも謝罪のコメントを出してますね。ぶっつけ本番の雨でブレーキングポイントをミスっちゃうのはあるあるなんでしょうけども、ふつう前が塞がってたらもうちょっと慎重なアプローチしません?とは思っちゃいます。そもそもスタートの蹴り出しが悪く出遅れたあとだったので、心理的な焦りもあったのかもしれませんが。

このクラッシュによりペレスはPUにもダメージを負ったようで、ピットからの指示でコース上にマシンを止めるコトに。フェルスタッペンはなんとか戻ってこられたものの、マシンの右側面に大きなダメージを負い赤旗中断中に応急処置が施されたものの、マシンバランスは崩れたままでまともに戦える状態にはならず。フェルスタッペンも前戦のイギリスGPのクラッシュの影響で予選後にPUを載せ替えてますから、この2戦でレッドブルはフェルスタッペンとペレスでそれぞれ1基ずつのPUを失ったコトになります(一応、どちらもホンダの方で改めて再利用が可能かチェックするようですが)。

ホンダF1田辺TDレース後会見:アルファタウリのW入賞を称賛するも「レッドブルとしては欲求不満の溜まる2戦」 | F1 | autosport web

レッドブルにとってはポイントを失ったコトも痛いですが、シーズン後半になって規定数以上のPUを投入するコトになってグリッドペナルティを喰らうのも相当に痛い。それがチャンピオンシップを決定づける要因にもなりかねませんしね。メルセデス贔屓の私でもそんなコトでタイトル争いが左右されて欲しくは無いし、レッドブルメルセデスが最後までガチンコでやり合ってくれた方が面白いと思っているので、この状況は非常に残念だしボタスにはガッカリです。

ただ、F1公式サイトの記事によるとボタスがオープニングラップでリタイヤするのはキャリア初なんだそうで。それはそれですげー意外。

こんな状況だからこそ見られた好シーン

スタート後の波乱により赤旗中断となったワケですが、その後雨が止んで急速に路面が乾いたコトで、ハミルトンの後ろのすべてのマシンがタイヤ交換のためにピットインしてしまい、再開時のスターティンググリッドにハミルトンしか居ないという珍事が発生してしまいました。……いや面白すぎだろうこの光景。

2021 Hungarian Grand Prix: Hamilton starts alone in bizarre race restart at Hungaroring(動画)

昔、インディアナポリスミシュラン勢がレースボイコットしたときの光景を彷彿とさせるものがありますが、あのときでも6台は居たからなあ……。1台だけでスタートしていく光景は「スタート練習かな?」と思ってしまいます。

ハミルトンも路面がもうドライであるコトは当然わかっており、ピットにもそれを連絡したようなんですが、ピットはステイアウトと判断。これについてはレース後のコメントでもトト・ウォルフは正しい判断だったとしており、トラックサイドエンジニアのアンドリュー・ショブリンも「(仮にピットに入っていたとしても)我々のガレージはピットの一番手前にあり、後から入ってくる全車両が塞ぐ格好になって、ピットボックスを離れられなかっただろう」みたいなコメントしてますね。それは確かにそうかもしれない。

That is obviously one of the key moments of the race for us, although we wouldn’t have been leading on the restart as having the first garage means the field coming in behind us prevents us from leaving our pit box.

via: Andrew Shovlin : What the teams said – Race day at the 2021 Hungarian Grand Prix | Formula 1®

どちらにせよ最後尾まで落ちてしまったハミルトンですが、そこから3位表彰台まで巻き返してしまうのはさすがとしか。抜きにくいサーキットでもそんなの関係無い速さ。新品ハードに履き替えたあと、それで無理に最後まで走り切るのではなく、さらに新品ミディアム履き替えたのも正解でした。そして4位を走っていたアロンソとのバトルがこのレース最大の見せ場でしたね。こういう抜きにくいサーキットでのアロンソはホントやっかいというか、抜かれないポイントをすべて知っている走りをしますよね。ただ、アロンソは「彼のペースだったらもっと早く抜けていたハズだよ」みたいなコメントもしてますけど。「俺がルイスの立場だったらもっと上手くやれるぜ!」という意味に聞こえなくもないですが、まあ気のせいかな。

Hamilton hails ‘really great battle’ with Alonso in Hungarian GP – but Alpine driver says old rival should have passed him sooner | Formula 1®

結果的に、ここでハミルトンを何周にも渡って押さえ込んだコトが僚友・オコンの初優勝をアシストするコトにもなり、アルピーヌにとっては非常に美しい展開となりました。インタビューエリアまで戻ってきてチームクルーと抱き合うオコンを見守るアロンソ、なんか弟子の成長を見守る師匠的な何かを感じてしまいました。

個人的にはベッテルの優勝も見てみたかったんですけどね、ずっとDRS圏内に入ったり入らなかったりを繰り返す中でミスらしいミスを犯さなかったオコンは賞賛されるべきなのでしょう。この2人のバトルも興味深かったんですが、テレビの画面的にはアロンソvsハミルトンにだいぶ注目が移っちゃってましたし、DRIVER OF THE DAYもアロンソに取られちゃいましたね。まあ投票結果を見るとオコンが2位だったみたいなので、ここではアルピーヌの1-2フィニッシュだった、というコトで……。

DRIVER OF THE DAY: Alonso’s defensive masterclass gets your vote in Hungary | Formula 1®

ベッテルはガス欠でチェッカー後にコース上にマシンを止めてしまっていましたが、サンプルとして必要な残量も無かったようでレース後失格の裁定が下るという残念すぎるオチが。アストンマーティンは裁定を不服として上訴するみたいですが、まーちょっと苦しいんじゃないかなこれは……。ただ、アストンマーティンにとってみれば2位表彰台のポイントがあるか無いかってメチャクチャ重大ですもんね。これ失格になった場合、自分たちはノーポイントになる一方で、コンストラクターズランキングで直接的なライバルとなっているアルファタウリの2人の順位が繰り上がってしまうという状況なので、チームが必死になるのはまあわかる。

あと、オコンの勝利はこのエンストンに拠点を置くチームにとっては通算50勝目になるそうで。「エンストンに拠点を置くチーム」という言い方をするのは、このチームが設立されて以降何度もチーム名が変わっているという意味であって、そもそもは1981年にトールマンという名前でF1に進出し、その後ベネトンルノーロータス、再びルノー、そしてアルピーヌという変遷を辿っているんですよね(抜けがあったらごめんなさい)。

ベネトン時代はミハエル・シューマッハを擁して勝ちまくっていたイメージがあるので「まだ50勝?」という気もするんですが、ミハエルが勝ち星量産体制に入ったのは1994年からで、1996年にはフェラーリに移籍しちゃってるので、そう考えるとそんなもんなのかもしれない。ちょっと数えてみると、ミハエルがベネトンで上げた勝利数は19、ルノー時代のアロンソが17勝。この2人で36勝稼いでいるんですね。あとはベネトン時代のネルソン・ピケが3勝、ゲルハルト・ベルガーが2勝(このチームに初優勝をもたらしたのは彼)、ジョニー・ハーバートが2勝、アレッサンドロ・ナニーニが1勝、ルノー時代のジャンカルロ・フィジケラが2勝、ヤルノ・トゥルーリが1勝、ロータス時代のキミ・ライコネンが2勝。あ、たしかに50勝目だ。

しかも、名前が変わっていく中でベネトン時代、ルノー時代、ロータス時代、アルピーヌ時代とそれぞれ勝ち星を挙げ続けているって何気にスゴイですねえ。

そのほか

ボタス(とストロール)のボウリング事故により上位陣がかなりごっそり消えた影響もあり、アルファタウリとウィリアムズまでもがダブル入賞するという結果となりました。角田はQ1ノックアウトのポジションからガマンのレースだなあ、と思っていただけに7位(ベッテルが失格の場合は6位)入賞というのは嬉しいサプライズではあります。ただ、後から猛追してくるハミルトンを見て早めのピットストップをして、履き替えたハードタイヤで50周近くを走りっぱなしという状態になってしまったため、これはこれでガマンのレースではありました。角田より8周後にタイヤを換えたガスリーが追い付いてきて、チームオーダーでポジション譲るコトにもなっちゃいましたしね。

もうちょっとペース上げて走れていれば、とも思うんですが、リヤが不安定で自信が持てない状態だったのは決勝でも変わらなかったというコトですかね。実はレース終盤単独スピンしちゃってたみたいだし。入賞はできたものの、大きな宿題を持っての夏休みとなりそう。

Yuki Tsunoda’s ‘unseen’ spin in closing stages of 2021 Hungarian Grand Prix(動画)

ウィリアムズはダブル入賞というのも驚きですけど、ラティフィがラッセルの前でフィニッシュしているというのがまた。ここまでの戦績的にはラッセルが圧倒的エースとしての存在感を放っているワケですが、こうした波乱のレースでうまいこと前のポジションを得たのはラティフィだった、というあたりレースの神様の気まぐれというかなんというか。しかし、ウィリアムズとしては望外のレースですよねコレ。逆にノーポイントで終わってしまったアルファロメオにとっては痛恨のレースだったかもしれませんが。