大須は萌えているか?

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F1[21] ベルギーGP 予選

ジョージやばいっすね。マジヤバい(語彙力)。F1ベルギーGP予選。

スパウェザーが本気出しすぎている

夏休み明け1発目の舞台はみんな大好きベルギーのスパ・フランコルシャンサーキットなワケですが、このサーキットの特徴を最も端的に表している言葉に「スパウェザー」ってのがありますよね。これは山の中で天気が変わりやすいっていう意味と共に、現行のグランプリサーキットの中では全長が最も長いコースゆえ、「一部では雨が降っているのに他は晴れている」なんていうチーム泣かせなコンディションが発生しがち、という意味も含んでいたりします。ただ、ここまで散々にスパウェザーに翻弄された一日ってかなり久しぶりなんじゃないでしょうか。

FP3から天気の状態は良く無かったので予選も荒れるだろうなあ、とは思っていましたが、最初から雨脚が強くてセッションスタートがディレイになるという状態。それゆえ各車とも慎重なアプローチ……と思いきや、ウィリアムズの2台は最初からインターミディエイトで出て行くというアグレッシブな作戦。ただ、最初こそラティフィがスピンしていたりはしたものの、その後2台でどんどんタイムを伸ばしていくもんだから他のチームも追随する流れに。Q1の最後には全車がインターミディエイトでタイムを出す格好になりましたが、それでもラッセルは5番手、ラティフィは10番手に留まっていたんだから大したモノです。ウィリアムズのマシンがこのコンディションにかなり合っているようには見えました。

ただ、Q1とQ2で一番目を引いたのはマクラーレンのノリスで、両方のセッションでトップタイムを記録。すんごい乗れている感じだったので「これはポール狙えるのでは?」という雰囲気すらあったんですが、好事魔多しといいますか、Q3最初のランでオールージュ~ラディオンのところでフロントが流れ、カウンターを当てた方にマシンが飛んでってしまい大クラッシュ。ノリス本人は肘を痛めたようでしたが大きな怪我は無かったようで、決勝にも出られるようなのでホッとしました。

Mclaren’s Lando Norris cleared to race in Belgian Grand Prix after high-speed crash in qualifying | Formula 1®

ギヤボックスやパワーユニットにもダメージが及んでいる可能性があるため、場合によってはピットレーンスタートかなあという気もしますが、まずは本人が無事なのが一番です。Q3開始直前に雨が激しくなり、コースに出て行ったノリス自身アクアプレーニングが起きていると無線で連絡してましたし、ベッテルもコンディションが非常に悪いからセッションを止めるべきだ、と指摘した矢先の出来事だったんですよね。

こうして雨の強さがコロコロ変わり、そうかと思えば雨雲が通り過ぎたとたんに晴れ間が覗くというのがスパウェザー。ウェットとインターミディエイトのクロスオーバーとなるポイントを掴むのも大変そうな状況ですが、赤旗再開後のQ3もインターミディエイトでの戦いに。コース上はまだ水量が多いように見え、オマケに大きなクラッシュがあった直後だっていうのにインターミディエイトでオールージュに飛び込んでいくんだからF1ドライバーというのは異次元の生き物だなと思わざるを得ません。路面コンディションが絶え間なく変化していく状況なので運の要素も強く、またドライバーの腕次第ではマシンの力を大きく超える結果も出せる状況だけに見応えはありましたが。

ラッセルがスゴすぎる

結果的にポールをもぎ取ったのはレッドブルのフェルスタッペンでしたが、一番のサプライズは2番手に飛び込んだラッセルですよね。だってウィリアムズのマシンですよ?ラッセル自身の予選2位というのは「自己ベストタイ」ですが、前回のはメルセデスのマシンに乗ったときの話ですからね?Q1のときからラッセルの好調さの予兆はありましたが、まさかメルセデスワークスをも退けるとは……。

ラッセルのオンボードを見てみると、かなり細かくステアリングを調整しながら走っているように見えますが、アクセルは可能な限りしっかり踏んでいる感じしますね。あとはこの雨の中でのライン取りの上手さかなあ。縁石も使うところと使わないところ、ちょっとだけ使うところを意識している感じ。

2021 Belgian GP Qualifying: Onboard for George Russell’s brilliant P2 lap(動画)

こういうドライバー自身の適応力を問われるような状況下でこれだけ素晴らしいタイムを出せるというのは、ラッセルの才能の証明と言う他ないでしょうね。Q1最初にインターミディエイトで走っていたコトにより、水量が多い状態でのタイヤのサーマルマネージメントについても分かっていたっていうのもあるのかも。同じく躍進著しい若手ドライバーでここベルギーでも好調を保ってきたガスリーでもラッセルのタイムには1秒も差を付けられているし(それでも十分速いんだけど)、ラッセルとシートを争う立場にいるボタスはなんと2.4秒落ちです。

ただ、このラップが来年のドライバー人事に影響を与えるコトは無いようですね。なぜなら、トト・ウォルフはもう来年のドライバーを決定しているようなので。公表していないだけで。

Russell or Bottas? Wolff says Mercedes have decided who will partner Hamilton in 2022 | Formula 1®

ウォルフのコメントの中で気になるのは、成績だけで見たらラッセルの起用に疑問の余地は無いが、「他の要因も考慮した決断」であると読めるところですかね。

He added: “I think we know what we have with George, who has been outstanding in the junior drivers, who has been outstanding in a Williams, he has been outstanding in Bahrain, and if I needed to have that ultimate proof then something would have been wrong. The decision is considering other factors.”

via: Russell or Bottas? Wolff says Mercedes have decided who will partner Hamilton in 2022 | Formula 1®

その「他の要因」とはなんなのか、結局公式にはいつ頃発表されるのかについては答えてはいないんですが、なんとも含みを持たせる発言です。ラッセルを起用する場合に一つ懸念されるのは、かつてのハミルトン・ロズベルグ時代のような状態になるコトでしょう。ラッセルの速さは明らかだし、ラッセル自身はその野心を隠すタイプでも無いでしょうし。ウォルフはチーム全体の調和を重んじるタイプにも見えますので、迷う要因があるとしたらそこかなあと。当然、その選択についてはハミルトンにも相談はしているんでしょうし。

このウォルフの発言を見ると、「来季のハミルトンのチームメイトはラッセルで決まり!」とも断定できない気がしますが……はてさてどうなりますか。自分がマネージャーの立場だったら、どっちを起用するかって考えてみるのも面白いかもしれません。あのハミルトン・ロズベルグ時代を思い返しながら。ラッセルの実力が若手ドライバーの中でもズバ抜けているがゆえの悩みですねえ……。

そのほか

Q3のタイム的に突出しているのは一人だけ59秒台に入れたフェルスタッペンで、そこから0.3秒くらいの差でラッセルとハミルトンが続き、その後には0.8秒くらいの差がついている……ワケなんですが、その4番手にリカルドが着けているのはちょっとした驚き。それまでのセッションではそこまで目立ってなかったので。予選4番手はマクラーレン移籍後の自己ベストですね。さらにその後にはベッテルが続いてベテラン勢が気を吐いております。ベッテルはいち早くノリスの安否を確認しているシーンもあったりして、なんだかすげー好感度アップしましたね(レース中熱くなるとアレだけど、素のベッテルってすげーナイスガイですよね)。

あと気になるのは決勝の天気ってどうなるの?っていう点ですが、まあコレは神のみぞ知るといったところでしょうか……。金土とも散々に天気に振り回されているので、日曜日が穏やかに晴れるとはちょっと想像しがたいというか……。雨のベルギーGP決勝といえば、今でも語り草になっている1998年のレースが思い起こされますが、ああいう事態だけは避けて欲しいものです。あれほどヒドいオープニングラップってF1史上でもなかなか無いからね……(そしてあれはデイモン・ヒルの現役最後の勝利の舞台でもあったっていう)。

Belgian GP: Why Spa 1998 remains one of the most remarkable F1 races ever - BBC Sport