夏休み前のハンガリーGPではスタート直前の雨によりいろいろな珍事(?)が観られたりしましたが、今回のスパは延々と降りつづく雨によってF1史上でも非常に珍しいレースになってしまいましたね。悪い意味で。感想もクソも無い感じではありますが、F1ベルギーGP決勝。
- 決勝結果: FORMULA 1 ROLEX BELGIAN GRAND PRIX 2021 - RACE RESULT
- 決勝ダイジェスト: 2021 Belgian Grand Prix race report and highlights: Heavy rain limits Belgian GP to just a handful of laps as Verstappen takes victory and Russell scores first podium | Formula 1®
- 決勝後各チームコメント: What the teams said – Race day in Belgium | Formula 1®
- 決勝後記者会見: FIA post-race press conference - Belgium | Formula 1®
3時間待って、走った周回3ラップ
週末を通して雨に翻弄された週末でしたが、日曜日はその極めつけでしたね。スパウェザーっていうか、ふつうに雨がざんざか降っている状態。レコノサンスラップではペレスがコースアウト・クラッシュしてしまうという有様で、こりゃまともなレースにはならないな……というのは明らかでした。日本時間で22時スタートの予定でしたが、案の定スタートディレイとなり、25分遅れでセーフティーカー先導によるフォーメーションラップに入ったものの視界が著しく悪い状態でとてもレースが出来る状況では無く、すぐに赤旗。
その後は雨の状況が改善するの待ちになったわけですが、この日は気まぐれに晴れ間が覗くことも無く、ひたすら雨が降り続ける状態。現行のレギュレーションでは本来のスタート開始時間から3時間経過時点でレースは打ち切りってコトになっているみたいなので、遅くとも日本時間の深夜1時にはなんらかの形でレースに決着が付くはずだったんですが、レースディレクターのマイケル・マシは「不測の事態」を理由にこの3時間ルールのカウントダウンを止めてしまったとかで、結局1時になっても状況は膠着したまま。
そしてついに1時17分くらいにレース再開が告げられて再びセーフティーカー先導でマシンがコースに出て行ったワケですが、走り出す前からどう見てもコンディションが改善しているようには見えず、「これレースを成立させる為の周回数稼ぎなのでは……?」という疑問が頭をよぎったりはしてました。案の定、周回数が3周目に入ったところで再び赤旗となり、その後程なくしてレースの打ち切りが決定。F1のスポーティングレギュレーション上、先頭車両が2周以下しかできていない状態でレースが打ち切られた場合は全車ノーポイント、つまりレース不成立となるワケですが、2周を超える周回をしていればポイントはもらえる=レース成立というわけです。ただし、当初予定されていた周回数の75%しか走れなかった場合はハーフポイントという扱いとなっており、今回はその事例に該当したってワケですね。
なんでレースを成立させたかったかといえば、端的に言ってしまえばお金の問題が一番大きいと思われます。レースが不成立となれば観客への返金問題やらなんやらが発生するでしょうし、レースプロモーターとしたらできうる限りレースを成立させてくれって話にはなるでしょう。F1としても年間のレース開催数をこんな形で減らしたくはないってのもあるでしょうし、スケジュール的に振替開催をするような余裕なんてのも無いでしょうし。少なくとも観客の立場からすればこんな形でレースが成立しても嬉しくもなんともないワケで、完全に興行側の都合によるレースでしたね。
昔、日本のレースでも似たような事例あったよなあ……と思ってググって見たら、2006年富士のフォーミュラニッポンですかね。
【FN 2006】開幕戦富士、雨で中断、僅か2周でレース成立 【ニュース】 - webCG
このときもいろいろ物議を醸していたような気がするんですが、今回のベルギーGPも後々まで尾を引きそうな気配。特にハミルトンは今回の対応を痛烈に批判してますね。
「ファンを待たせただけの茶番」ハミルトン、F1の荒天時の対応を批判、観客への返金を求める:メルセデス/F1第12戦 | F1 | autosport web
たしかに、現地で観ていたお客さんにしてみれば報われないことこの上無い週末ですからね。寒くて雨降ってる中で何時間も耐え忍んでいたら、セーフティーカー先導で3周だけ走ってレース終了だっていうんだから。1周もレーシングスピードで走ってないやん、っていう。F1も今後同様のケースが発生した場合のコトを考えてルールの再考をする、とは言っているようですが、とりあえず今回のお客さんはどうなるのか、ちょっと気になるところです。
F1 set for talks over rule changes after Belgian GP “farce”
ステファノ・ドメニカリは今回の判断の理由が商業的な圧力によるモノでは無い、と強く断言しておりますが、あのマイケル・マシの一連のジャッジを見ているとそうは思えないのがなあ……。
F1 CEO Domenicali: No commercial pressure to start Belgian GP
記録的なレースではあった
F1でレーシングスピードで走るコト無く成立してしまった決勝レースっていうのは自分がF1を見始めてからの範囲で思い返してみてもちょっと記憶に無く、相当珍しいレースだったコトは確かです。F1の史上最短レース記録も更新したようです(これまでの最短記録は1991年のオーストラリアGPで、14ラップ53km走行、勝ったのはマクラーレン・ホンダのアイルトン・セナ)。ハーフポイントレースとしては史上6度目で、直近では2009年のマレーシアGP以来(これも雨がらみ)。雨のハーフポイントレースといえば、アイルトン・セナがデビューイヤーにその才能の片鱗を見せつけた1984年モナコGPがパッと思い浮かびますねえ。
決勝の結果はほとんどスターティンググリッドから変化無しという形になるので、フェルスタッペン・ラッセル・ハミルトンという表彰台。ラッセルはウィリアムズで初めてのフロントロウスタートからのキャリア初表彰台。ホンダがベルギーで勝利したのは1991年以来ということですが、今までの史上最短レースも1991年のレースだった(これも勝ったのはホンダ)ということで、なんかちょっとした歴史の巡り合わせみたいなモノを感じたりもします。
結果的にはフェルスタッペンとハミルトンの差が縮まってシーズンが盛り上がる展開にはなりましたが、テレビ観戦しているだけでも眠気を堪えつつ様子を窺うなんともいえない時間でした。次戦、ようやく開催となるオランダGPではもっと盛り上がるコトを期待しますが、オレンジアーミーの皆様におかれましてはハミルトンに意味も無くブーイングを飛ばすのは止めて頂きたく……。