大須は萌えているか?

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F1[21] オランダGP 予選

なんか金曜日から観客席がオレンジ色に染まっててスゲー雰囲気になってますね。やはり地元のヒーローが居ると盛り上がるんだなあ。ちょっとミハエル・シューマッハ絶頂期のドイツGPを思い出したりもしました。F1オランダGP予選。

抜けないぞこのサーキットは……

前回オランダGPが開催されたのは1985年だそうで、まだ日本で空前のF1ブームが起きる前。そのときも同じザントフォールトサーキットで開催されたそうですが、当時からいくつかの改修は入っているようです。なんといってもターン3や最終のターン14のように大きなバンク角が付いたコーナーが存在しているのが特徴的で、タイヤやドライバーに掛かる負荷はけっこう大きそう。

F1 Topic:36年ぶりのグランプリ開催。急勾配のバンクが名物のザントフォールトを解説 | F1 | autosport web

ゲームでこのサーキットを走ってみるとなかなか楽しくて、特に複合コーナーとなるターン2〜3や、ハイスピードコーナーであるターン7から中速のターン8、低速のターン9と続いていくセクター2が面白い。ただ、オーバーテイクポイントが本当に無いですねココ。DRSゾーンはホームストレートとターン10〜11の間に設定されていますが、ターン10〜11はそこまで距離が長いワケでもないからちょっと難しいのでは……という感じ。あと、ターン11から連続するターン12でインとアウトが入れ替わるので、11で院を差しても12で差し返される、なんてシーンもあるかも。

そう考えるとメインのオーバーテイクポイントはターン1ってことになるんでしょうけど、ラインに余裕があるわけでも無いんですよねえ、ここ。そう考えると、コース上でのオーバーテイクはあまり考えずに予選順位と戦略で順位を上げるコトを考えた方が良いってコトになります。フェラーリなんかが露骨でしたが、予選一発のパフォーマンスに焦点を合わせてきている感じでしょうか。ただそうなると、決勝が退屈な展開になる可能性が否定できませんが。

金曜日から土曜日にかけて赤旗が非常に多かったのも特徴的で、わりと狭いサーキットなのでエスケープゾーンがそんなに広くない、コース幅も近代的なサーキットに比べて広くない、そのわりにスピードはけっこう出る、ロケーションが海のすぐそばで風がけっこう強い……ということで、クラッシュしやすい要因が揃ってるんですよね。そうなると、決勝でもVSCやセーフティーカー出動の可能性がそこそこ高いと見込んでおくべきではあり、そういう意味ではモナコ同様に予選重視・決勝ではセーフティーカーの可能性を考慮した戦略を考える、というスタンスになる感じでしょうか。

フェルスタッペン、実はトラブル抱えてた

フロントロウを分け合ったのはフェルスタッペンとハミルトンの2人。フェルスタッペンは初めての地元GPで見事ファンの期待に応えて見せましたが、なんかしっかり安定した走りでしたねえ。もうちょっと母国のプレッシャーみたいなモノを感じるのかと思ってましたが、そんなの全然無かった。予選ペースもメルセデスをぶっちぎる勢いがありましたが、最後の最後にハミルトンがフェルスタッペンのタイムに肉薄して意地を見せた感じ。それまでなかなかフェルスタッペンに迫れていなかったのでこの最後のアタックは驚きでしたが、こういうところが流石ですねえ。

しかし実は、クリスチャン・ホーナーがフェルスタッペンの最後のアタック時にDRSが故障して作動してなかった可能性を示唆しているみたいです。フェルスタッペン本人は気づいて無かったようですが。マジか。

Pole may have been Verstappen’s. But Red Bull team boss Christian Horner told the media after qualifying that Verstappen had suffered a suspected DRS failure on his final lap, which meant he didn’t have that function available to him on his final lap – a fact that Verstappen was unaware of when he faced the media in the post-qualifying press conference.

“Is that so? I don’t know!” he replied when the question of how the loss of DRS might have affected his lap time was put to him.

via: Verstappen says technical issues prevented Dutch GP pole lap being even faster around ‘incredible’ Zandvoort | Formula 1®

映像を見返してみると、ターン10〜11のDRSゾーンはちゃんと作動してますが、ホームストレートに帰ってきたときには確かに作動してないですね。予選アタックに入る瞬間の状態はオンボード映像だったのでわかりませんが。ただ、セクター1でも自己ベスト更新できてなかったので、ここでも作動してなかったのかな。……そうなると、フェルスタッペンの予選ペースはさらに速かった可能性もあるワケですが、なんにせよポールを奪えなかったメルセデスにしてみればどうでもいい話かもしれません。

決勝に向けて、レッドブルにとっての不安要素はペレスが完全に下位に沈んじゃったコトですよね。Q1最後のアタックに入ろうとしたら、トラフィックに邪魔されて入れなかったっていう。1周が短めでコース幅にもあまり余裕がないって時点でラストの渋滞は容易に想像が付くわけですが、セッション中のトラックエボリューションがかなり大きかったために皆ギリギリでアタックに入りたがったんですよねえ。これで構図としてはフェルスタッペン vs メルセデス2台という格好になったわけで、もし決勝ペースでフェルスタッペンがメルセデスに大きな差を付けられなかった場合、メルセデス陣営は戦略的な揺さぶりをかけやすくなります。ていうか、揺さぶる気満々です。以下、トト・ウォルフのコメント。

“I think if we are able to have the same pace in the race, and it’s going to be about survival on the one-stop, Max needs to make a decision: is he going for a one-stop or is he going for a two-stop? And I think we can play both strategies tomorrow, so you have two cars that can actually go totally different.

via: Hamilton and Wolff planning to put Verstappen under ‘massive pressure’ with split strategy in Dutch GP | Formula 1®

ピットストップが1回でいけるのか、2回なのかっていうのも重要なポイントですが、メルセデスは戦略を分割できますからねえ。もしスタートでフェルスタッペンの前を取れれば、1台がフタをしつつもう1台が先に動いてアンダーカット、とかってやり方もできるので、フェルスタッペン目線から見ればオープニングラップを取るというのは非常に重要なポイントになりそう。

メルセデス側に不安要素があるとすれば、フリー走行アストンマーティンベッテル、そしてハミルトンとPUにトラブルが相次いだコトでしょうか。ハミルトンのトラブルの原因は完全には解明できていないようで、このザントフォールトの特殊な環境が何らかの要因になっているのだとすると、決勝レース中になんらかのトラブルが起きないとも限らない?

ライコネンの居ぬ間に躍進するジョビナッツィ

先日、キミ・ライコネンが今季限りでの引退を発表してちょっと寂しい気持ちになったりもしましたが、そのライコネンがコロナに感染してしまい今回は欠場するという事態に。なんてこった。ていうか、観客もスゴイ数入っている(それでも最大キャパの2/3に制限はしているみたいだけど)上に密集しながらノーマスクでビール飲みつつ大騒ぎしている状態なので、日本GPが開催中止に追い込まれた一方でのこの有様を見ていると、「世界は広い」と実感せざるを得ません。Google先生に聞いてみると、オランダで必要な回数のワクチン接種が完了した割合は62.5%。政府が段階的に規制を緩めている最中のようですが、この状態を見ると段階的ってレベルじゃねーぞ

オランダ政府は8月13日、新型コロナウイルスワクチンの接種回数が累計2,200万回を超え、接種率も順調に上昇し、入院患者数や集中治療室(ICU)利用者数がこれ以上増加する可能性は低くなっているとして、社会的距離(1.5メートル)確保などの感染拡大防止措置を段階的に解除する計画を発表した。措置の一部を8月30日から緩和し、他の措置は9月19日まで維持する。政府は9月17日に次の段階に移行するかどうかを判断する。

via: 政府が新型コロナ感染防止措置の段階的解除の見通し発表(オランダ) | ビジネス短信 - ジェトロ

たぶん入場者はワクチン接種者もしくはPCR検査で陰性が証明できる人間に限定しているとは思いますが、「デルタ株?なにそれ美味しいの?」状態ですね。イギリスもそうですけど、6〜7割の人間がワクチン打てているんだから経済活動をどんどん再開していこうぜ、っていう感じですかね。ちなみに日本は47.2%。

そんなワケでライコネンの代役にはクビサが乗るコトになったワケですが、久々の実戦でもハースの2台よりはしっかり上にきているところがさすが、という感じでしょうか。ていうか、僚友のジョビナッツィが予選7番手に食い込んでるのが驚きですね。いや、今年は予選でライコネンと比べても悪く無いパフォーマンスを出しているんですが、いかんせんアルファロメオ自体が地味なポジションに居るのでなかなか話題になりづらい感じで……。

Giovinazzi thrilled with P7 grid slot as Alfa Romeo super-sub Kubica says he took it safe after late call-up | Formula 1®

予選7番手はジョビナッツィ自身のキャリアベスト(2019年オーストリアでも7番手スタートをしているが、予選タイムとしては8番手)でもありますが、決勝では首尾良く順位を守れるかどうか。ジョビナッツィの決勝順位のキャリアベストは2019年ブラジルの5位。ガスリーが2位フィニッシュだった波乱のレースですね。

ハースのごたごた

Q1において最終コーナーで渋滞がおき、ベッテルがハースのマシンに突っ込みかけるシーンがあってヒヤッとしましたね。

2021 Dutch GP Qualifying: Mazepin and Schumacher disagree over Vettel block (動画)

ただこれ、結果的にはハースの2人も含めて「お咎めナシ」という結果になったようで。渋滞が酷かったゆえの不可抗力、みたいな扱いでしょうか。状況的にはミックのうしろにマゼピンがおり、そのさらに後方からベッテルが速いスピードで近づいて来たタイミングでマゼピンがミックに並びかける動きを見せてコースを塞ぐ格好になったため、ベッテルの行き場所が無くなった感じですね。

これについてマゼピンにも言い分があり、「今回のレースでは予選アタックの優先権が自分の方にあったのにミックが自分を追い抜いて邪魔をした(しかも2度も)、1度だけならまだわかるけど、2度もやるのはこれわざとだろクソが」というコトらしいです。かなり怒ってます。

Furious Mazepin hits out at Schumacher over Q1 Vettel incident, as stewards clear drivers of blame | Formula 1®

タイミングアプリの位置情報で追ってみると、あのQ1最後のアタックではマゼピンが先に出てミックが後だったものの、ミックがターン3の立ち上がりでマゼピンをパスして先行する格好に。その後マゼピンは車間を開けてミックの後ろを走って行ったものの最終コーナー手前の渋滞でスローダウンしたミックに追い付いてしまい、「ほんなら俺が優先だろ」と前に出ようとした、という感じに見えます。

ミックはミックで「無線でやりとりしながらやっていたことなので問題ないと思っている」という話で、これチーム側のマネジメントもちょっとマズかったんじゃ無いの、という気もします。マゼピンにしてみたらかなり不公平に扱われている、という感覚があるんでしょうね。このケースはマゼピンだけ悪者にするのは違う気がする。