フェルスタッペン完勝でしたねえ。もちろん見た目ほど簡単なレースでは無かったんだと思いますが、フェルスタッペンが改めて「強い」レーサーになっていることを実感させられたレースでした。F1オランダGP決勝。
- 決勝結果： FORMULA 1 HEINEKEN DUTCH GRAND PRIX 2021 - RACE RESULT
- 決勝ダイジェスト： 2021 Dutch Grand Prix report and highlights: Verstappen sends home fans wild with victory over Hamilton at Zandvoort | Formula 1®
- 決勝後各チームコメント： What the teams said – Race day at the 2021 Dutch Grand Prix | Formula 1®
フェルスタッペン完勝
全周ラップリードを奪ったワケでは無いので「完勝」というとやや語弊があるのかも知れませんが、フェルスタッペンがリードを譲ったのはピットタイミングをずらしていたボタスに対してだけなのでまあ完勝と言って良いでしょう。途中ハミルトンがやや差を詰めていく場面もありましたが、慌てるコト無くギャップをコントロールしているように見えましたし、お見事としか言いようがありません。
初めての母国GPであの大観衆、そして勝てばチャンピオンシップでも再び首位に返り咲くというコトでプレッシャーの掛かる要素がてんこ盛りの状態、本人も表に出してないだけで内心はいろいろあったんじゃないかって気もしますね。母国の観衆の期待が非常に高いコトを意識していたのは、レース後のコメントからも明らかですし。
“It’s incredible to win here today on another home track and it feels great to take the lead in the driver’s championship again. Of course the expectations were very high coming into the weekend and it’s never easy to fulfil that but the whole crowd has been incredible and I am so happy to win here.
via: Max Verstappen : What the teams said – Race day at the 2021 Dutch Grand Prix | Formula 1®
そういう状況下でもいざ本番となれば非常に高いパフォーマンスを発揮できるのが一流の証ってコトでしょうね。この堂々たるレースぶりは完全にワールドチャンピオンのそれでした。今年はハミルトンが敗れても仕方無いのかもなあ、なんて気がしました。いや私はメルセデス贔屓なんですけども。
ピットレーンスタートから8位フィニッシュまで追い上げたペレスもお見事でしたねえ。抜きにくいサーキットだと思ってましたけど、ペレスはアグレッシブに攻めまくってたなあ。予選の失敗から良い意味で開き直れたって感じでしょうか。ノリスとの接触でマシンにダメージを負ってしまい、それが無ければ6位までは行けていたという本人のコメントですが、それだけ乗れていたんでしょうね。ハードタイヤでスタートしたのにレース序盤でフラットスポットつくって早々にタイヤ交換していたときはもうダメだろうと思っていたのですが。
高速のモンツァとソチはメルセデスが強い展開になるだろう、とはクリスチャン・ホーナーの見立てですが、とりあえず今回のレースでよりチャンピオンシップ争いが面白くなったのは確かです。
ボタスの反乱？
メルセデスにとってはダメージリミテーションのレースになりましたが、チーム全体で見れば34ポイントを獲得してレッドブルを上回っているのだから悪く無い結果ではあります。ただ、アンダーカット狙いでピットに呼び込んだハミルトンがトラフィックの真っ只中に飛び込んでしまったり、フェルスタッペンに対する壁役が期待されたボタスがあっさりオーバーテイクを許してしまったりと、なんとなく上手くハマってないなあという印象はありました。
今回のボタスは完全に「セカンドドライバー」としてチームの良いように使われていた感じで、壁役にされるわレース終盤にタイヤ交換した際には「ファステスト狙うな」なんて言われるわ、今までで一番ヒドい扱い受けてないか……？という気も。ただボタス、「ファステスト狙うな」に対してセクター1とセクター2で全体ベスト更新、セクター3でバックオフしたもののファステストを更新しちゃったもんだから「ボタスの反乱か？」なんて思われちゃう羽目に。川井ちゃんなんかはボタスがこうした態度を取るってコトは放出が決まってるからだろう、みたいなコト言ってましたけど、まあ確かに残留が決まっているのならチームがあそこまで露骨に邪険な態度にならないだろう、って気はします。
ボタスは「ちょっと遊んでいただけだよ」なんてコメントしてますけど、レース後チームとはなんか話し合ったりしたんでしょうか。ハミルトンも特に気にしてない風なコメントですが。
逆に勘ぐった見方をすれば、来年ボタスには不利な条件でメルセデスとの契約が更新されていて、チーム側から見ると「更新してやったんだから大人しく言うコト聞くよねえ？ン？」みたいなコトになっていたりは……しないか。
【追記】
この記事書いてアップしてから程なくして、ボタスがアルファロメオと複数年契約したってニュースが飛び込んできてました。
Alfa Romeo announce Valtteri Bottas to join the team in 2022 on multi-year deal | Formula 1®
ずっとメルセデスで単年契約を強いられてきたボタスにしてみれば複数年契約っていうのが決め手だったんでしょうか。アルファロメオも、ライコネンに代わってチームを主導するベテランを欲したって感じですかね。これでメルセデスはラッセル起用が確実になりましたが、来年どうなるか楽しみでもあり少し怖くもあり……。ウィリアムズにはアルボン起用の噂も出てましたけど、どうなりますかね？
相変わらず絶好調なガスリー
トップ3から目線を移すと、4番手スタートからきっちり順位をキープしてフィニッシュしたガスリーの優秀さも光りますねえ。これで三戦連続トップ6以内でのフィニッシュ、しかも三戦とも予選グリッドと決勝のフィニッシュ順位が同じです。高い位置で極めて安定したパフォーマンスを出しているもんだから、逆にスゴさが分かりにくくなるレベル。これはノリスもそうなんですけど。
ただそれだけに、ガスリーにしてみればずっとアルファタウリに居続ける、という状況にはガマンできなくなってくると思うんですよね。本人もペレスが残留して自分がレッドブルに昇格できない状況に疑問を感じているようですし。
クリスチャン・ホーナーらレッドブル首脳陣がガスリーの再昇格を嫌っている感じがしますが、このままアルファタウリで飼い殺し……というと言葉は悪いですが、現状維持とさせておくのもどこかで限界を迎えそうな。ガスリーの契約がどうなっているのかわかりませんが、他チームから引き抜きの声が掛かってもおかしくないような……。もう一度、トップチームでの走りを見たいドライバーなのは間違い無いですね。
若いガスリーの二つうしろでフィニッシュしたアロンソも見事なものでした。皆が経験値足りない状態でいち早く勝負所を掴んでいく嗅覚はさすが。もうF1ドライバーとして完全復活って感じですね。来年もアルピーヌとの契約を更新しましたが、これだけモチベーションの高い走りを見るとそれ以降もまだまだ現役続けそうな気がする。
そのほか
予選で二人のドライバーの間にやや不穏なムードが漂っていたハースですが、決勝でも早々にミックとマゼピンがやり合い、ミックのマシンがダメージを負うというシーンがあったようですね。
さすがにこの時のマゼピンの動きはイカンだろうと思いますが、土曜日の件が尾を引いているのは確かだろうなあ。ギュンター・シュタイナーは事を荒立てまいとするコメントを出しているようですが、やはり若いルーキードライバー二人を乗せるっていう難しさですかねえ。チームメイトは常に直接的なライバルですが、それが同じルーキー同士で血気盛んな若い者同士なんだからそりゃまあねえ。マゼピンのが感情を表に出しやすい分だけ印象的に損をしているようにも見えますが、ミックももうちょっと上手いやり方考えた方が良い気がします。
そういや自己ベストのグリッドからスタートしたハズのジョビナッツィは気がついたら14位フィニッシュという概ねいつものポジション（？）になっちゃってましたね。アロンソと軽く接触したり、パンクがあったりして順位を落としてしまったようですが、こういうときに良いレース結果を残せるかどうかってレーシングドライバーとしては大きな分岐点って気がします。ジョビナッツィって悪いドライバーではないんだろうけど、やはりなんか足りないんだよね……。
