大須は萌えているか?

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F1[21] ロシアGP 予選

メルセデスが鉄板の強さを誇るソチ。フェルスタッペンはPU交換で最後列確定だし、まあ予選もメルセデスがフロントロウ独占……かと思ったらなんじゃこりゃあ、という感じのロシアGP予選。

誰も予想できないトップ3

雨の混乱というとつい先日開催された……というかアレをレース成立と認めてよいのか微妙な気もするベルギーGPが記憶に新しいところですが、またしても雨で混乱する展開となりましたね。とはいえ、混乱したのはQ3の最後の方に集約されていた気もしますが。

そもそも、急激な雷雨でFP3がセッションまるごとキャンセルになるという有様で、予選の開催すら危ぶまれる状況だったりして、マイケル・マシが「もし予選が開催できない状況なら日曜日に予選やる」みたいなコメントを出すくらいの有様だったワケですが、その後雨が止んで予選は開催できる流れに。コース上の水量もベルギーのときほど多くはない感じで、Q1からほとんどのマシンがインターミディエイトで走り出してましたね。最初アロンソだけウェットタイヤで出てましたが、二度目のランではインターに履き替えてますし。

ただ、雨が再び降り出すコトは無かったものの空は曇り空に覆われたままで、路面はなかなか乾いては来ない状態。これは最後までインターでの走りになるかな……と思ったんですが、Q3後半になってウィリアムズのラッセルがソフトタイヤで出撃したもんだから、さあ面白くなってきたぞと。ラッセルのソフトスイッチを号令とするかのように他のマシンも相次いでソフトに交換。

ただ、ラッセルのタイムは自身のインターミディエイトでのタイムを上回るところまでは来ておらず、これはやっぱり厳しいのかなあ……と思っていたら最後の最後にタイムがひっくり返り、ノリス・サインツラッセルという驚きの予選トップ3が形成されてしまいました。後半のセクターなんかはまだあちこちにウェットパッチが残っている状態でもありましたし、ソフトでもタイヤに熱を入れるのに時間がかかっていたんですね。あと、ラッセルはアウトラップのあとにトラフィックに引っかかってしまったこともあって、セッション終了間際の最後のラップでの勝負になると理解した上でタイヤやSOCの残量を調整していたみたいですね。

It was only that last lap, I kept getting a bit of traffic here and there. I couldn’t complete the laps so that was a bit frustrating, but as it was for everybody, I knew that last lap was going to be the killer lap, so we saved it all for them and here we are. It’s a bit surreal that it’s our second top three in four races now.

via: George RUSSELL: FIA post-qualifying press conference - Russia | Formula 1®

ラッセルやノリスというベルギーの予選でも輝きを放っていたドライバーがここでも結果を出したというのは偶然でも無いんでしょうね。スパでの経験は彼らの自信にも繋がっていたでしょうし。ノリスのポールラップのオンボード映像見るとホント上手いなあと思わされますね。ベルギーでもあのクラッシュが無ければポール取れていた可能性ありましたし、滑りやすい路面でのマシンコントロールは今のF1ドライバーの中でも一番上手いのかも。

ONBOARD: Lando Norris’ 2021 Pirelli Pole Position Award lap at the Russian Grand Prix(動画)

フロントロウに並んだのがノリスとの仲良しぶりに定評のある(?)サインツだっていうのも面白いところで、この二人がスタート後にどういうバトルをするのか興味津々です。ただ、ソチってポールポジションがそのまま勝ったレースって過去に2回しか無いんですよね。一番勝っているのは2番手スタートで3勝、あとは3番手スタートが2勝。

いずれにしても勝利しているのはトップ3からスタートしているっていうのは共通しているんですが、果たしてこの3人の中から勝者が生まれるのかどうか……。

レッドブルを突き放したいメルセデスではありますが

フェルスタッペンが最後尾スタートとなる今回は、メルセデスにしてみれば目一杯ポイントを稼いでおきたいレースでもあります。それだけにフロントロウ独占はぜひ狙いたいところでしたが、思わぬ形で足元を掬われた格好になりました。ハミルトンがQ3の最中にピットレーン入り口でフロントウイングをぶつけて余分なロスを強いられたっていうシーンも有りましたが、なんとなくアレが無くてもメルセデスはノリスたちに及ばなかったのではないかな、って気もしますね。メルセデスはタイトルを争う立場上、どうしてもコンサバに動かざるを得ないし、実際スリックに履き替えようとしたタイミングは遅かったワケで。

それに路面の状態はスリックで走れるギリギリのコンディションだったワケで、リスクを取っても失うものが少ないラッセルたちに比べて慎重に行かざるを得なかったというのも大きいでしょう。ただ、もしこのコンディションでフェルスタッペンが走っていたらどうなっていたか……というのは興味ありますけどね。そういう意味では、彼がPU交換したのは残念でもあります。

ただ、メルセデスにしてみればレッドブルを見ながらレースをすれば良いわけで、そういう意味ではペレスが9番手に沈んだのはラッキーだったと言えるでしょう。まあボタスも7番手に沈んでおりますが。予選トップ3からしか勝者が生まれていないというデータはハミルトンにとっては嬉しくないでしょうが、勝機は十分にあると言えます。本来の力が出せればメルセデスが圧倒的に強いサーキットなんだし。懸念があるとするならば、ダーティサイドからのスタートになることと、天気がドライのまま進むのかってところでしょうか。事前の予報だと曇りってコトになってましたけど。

フェルスタッペンにしてみれば、最後尾からどこまで巻き返せるかが大きなポイント。オーバーテイクのチャンスは比較的有るとは思いますが、ストレートラインスピードが伸び悩むようだと辛い展開になるかも。いっそ雨降ったほうがフェルスタッペン的には嬉しかったりする?レッドブルにしてみればダメージリミテーションのレースなので、どこまで傷口を浅くできるかが勝負ですが、逆にいうとメルセデスにしてみればどこまで獲得ポイントを最大化できるかの勝負でもあります。ただ、ドライバーズタイトル争いを考えるとまたボタスを対フェルスタッペン用の盾に使ったりするんだろうか……。

そのほか

予選上位以外で意外な展開だったといえば、ガスリーがQ3進出を逃したっていうところですかね。雨でも十分な速さを持っていそうだったんですが(実際、Q1はトップ6でクリアしている)、Q2は最初に履いたインターミディエイトでステイアウトのまま走り続けた結果タイムが伸びなかった、というワケですね。

“Q1 we were very fast, Q2 we were very fast,” said a frustrated Gasly at the end of qualifying. “[But in Q2] we stayed out on tyres which were dead. I asked to box a couple of times. In the end we stayed out on used tyres. We clearly had the pace to be right there in Q3 until the end. Today we did a bad job and I don’t really understand why we didn’t box.

via: WATCH: Vettel and Gasly vent their frustrations after Q2 exits in Sochi qualifying | Formula 1®

アルファタウリ的には角田とガスリーで作戦を分けた形で、それ自体は間違っているとも言えないと思うんですけどね。読みづらいコンディションだったので、ステイアウトが正解か、途中でピットに入れてニュータイヤを履かせるのが正解かというのは結果論でしか言えない気がします。それに、Q3進出組でもメルセデスマクラーレン、ペレスなんかはステイアウトで走り続けているので、その作戦自体が間違っていたと断言できるものでも無い。角田はタイヤを履き替えて自己ベストを更新しているので、それでガスリーは余計に苛立ったのかもしれませんが。しかし角田、こういうときくらいガスリーに勝ちたかったよね……(0.11秒差で負け)。

僅差でQ3を逃したというのはベッテルも同じなんですけど、ベッテルの嘆きっぷりもなかなかのものでしたね(?)。

WATCH: Vettel and Gasly vent their frustrations after Q2 exits in Sochi qualifying | Formula 1®

ベッテルもQ3には確実に進出できるパフォーマンスがあると思っていたので、トラフィック(角田)に引っかかったりして僅差でチャンスを逃したのを知っての「No way!」だったのでしょう。一方でストロールはスルッとQ3に進出しているあたり、やっぱり彼はこういうウェット路面に強みがあるのねえ……。

ハースのマゼピンにとっては地元グランプリとなるので結果を出したいところでしょうが、予選ではミックに4秒近い差を付けられるという惨敗ぶりでした。スパでもここまで極端な差は付けられてなかったと思うんですが、これはミックを称賛すべきなのかな……。