大須は萌えているか?

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F1[21] サウジアラビアGP 決勝

まーなんだか色々あって頭が混乱しているくらいなんですが、しかし印象に残っているのはほとんどルイスとマックスの二人が争うシーンだけっていう……もうなんなんだろうなこの争いは。F1サウジアラビアGP決勝。

悪いのは誰だ

もう最初から最後までハミルトンとフェルスタッペンのバトルにフォーカスされているかのようなレースでしたね。んでそうなると、案の定というべきか危ういシーンが何度と無く訪れるワケで。双方ともに言い分はあるでしょうが、メルセデスレッドブルも違反にならない程度にギリギリのコトをやって少しでもアドバンテージを稼いでやろうっていうスケベ心がにじみ出ているので、「どっちが正しい」と言い難いのが正直な印象です。

まーフェルスタッペンは相変わらずハミルトンとのバトルであまりにもギリギリまで突っ張るもんだからコースを飛び出してしまうシーンを繰り返しており、あくまで限界を超えない範囲でバトルを仕掛けているハミルトンが文句を言いたくなるのは理解できます。接触をしてレースを失った場合、ダメージが大きいのは追いかける立場のハミルトンの方ですしね。

フェルスタッペンの方に非がある(とされた)インシデントは

  • 最初の赤旗からのリスタート時、加速で前に出たハミルトンを1コーナーのコース外から抜き返した
  • 37周目に1コーナーでハミルトンが仕掛けて来た際、ブレーキングを遅らせすぎてコース外に飛び出る格好でハミルトンをブロックした
  • 上記のインシデントを受けて、チームからハミルトンにポジションを明け渡すよう指示された際に急減速をしてハミルトンの追突を誘発した

といったところかと思いますが、最初の件は2度目の赤旗リスタート時にハミルトンにポジションを返すことで決着。そして2番目の件はレース中に5秒のタイムペナルティが課せられ、最後の件はレース後に10秒のペナルティが課されるコトになりましたね。ひとつのレースの間にペナルティ受けすぎやろ、という気もしてしまいますが、ただこれ全部フェルスタッペンが全面的に悪いかというと、ちょっと疑問だったりもします。

特に、ポジションを譲ろうとしたフェルスタッペンにハミルトンが追突した件はハミルトンに適切な情報が通知されていなかったという問題も絡んでいるため、一概にフェルスタッペンだけのミスとは言えないのでは無いかって気がするんですよね。10秒ペナルティの決定的な要因となったのは、フェルスタッペンが急激なブレーキングをした(2.4Gの減速だったそうな)という点だったみたいですが、もしハミルトンがフェルスタッペンがポジションを戻すために故意に減速をしているコトを理解していれば、追突するコトは無かったと思うんですよねえ。

ただ、フェルスタッペンもおそらくDRS検知ライン手前で譲りたかったために最後強めに減速したのはそうなんだろう(スチュワードはデータロガーも見た上で判断してるんでしょうし)とも思うワケで、その点が「安全ではない譲り方をした」とジャッジされたのはまあ仕方ないっちゃ仕方ないのかな、という気もするっていう、なんともモヤモヤするインシデントです。

“However, it was obvious that neither driver wanted to take the lead prior to DRS detection line 3. The driver of Car 33 stated that he was wondering why Car 44 had not overtaken and the driver of Car 44 stated that, not having been aware at that stage that Car 33 was giving the position back, was unaware of the reason Car 33 was slowing. ”In deciding to penalise the driver of Car 33, the key point for the Stewards was that the driver of car 33 then braked suddenly (69 bar) and significantly, resulting in 2.4g deceleration.

via: Max Verstappen handed further 10-second penalty for Lap 37 collision with Lewis Hamilton in Saudi Arabia | Formula 1®

一方、メルセデスも10周目にミックがクラッシュしてセーフティカーが入った際、ボタスがわざとゆっくりめに走ってフェルスタッペンを抑えてみせたり、赤旗からの再スタート前にフェルスタッペンから10車身以上にも見える大きな間隔を空けてみせたりと、なんかまー「ギリギリアウトっぽく見えるライン」の行為をしたりしていたというのがなんとも。

CSの放送でも川井ちゃんがマイケル・マシの判断の遅さ等に苦言を呈したりもしていましたが、クリスチャン・ホーナーチャーリー・ホワイティングが亡くなって以降のレースジャッジに対しての不満を口にしていたりもして。

Horner: Saudi Arabian GP race control calls shows F1 ‘misses Charlie Whiting’

こうしてチームの異なる2人がガチンコのタイトル争いを繰り広げるのは本当に久しぶりなコトなので、当然コース上でのトラブルは起きやすくなるし、それゆえに正確で公平・明快なジャッジが求められるワケですが、この大詰めになってそうしたジャッジの質の低さが一気に噴出してしまっている感はあります。

……ただまあレースペースとしてはハミルトンに分があったのは明らかでしたし、そういう意味では収まるべきところに収まった結果なのかな、という気はします。最後の最後にボタスがオコンを差して表彰台に食い込んできたのは驚でしたけど。これでコンストラクターズタイトルはほぼメルセデスで決まりかな、という感じがしますが、ドライバーズタイトル争いはハミルトンとフェルスタッペンが同点(勝利数でランキング的にはフェルスタッペンが上)という状態で最終戦にもつれ込むという展開になりました。……なんか楽しみなような怖いような……。

F1.comの記事によると、タイトルを争う2人のドライバーが同点で最終戦にもつれ込むのはF1史上2度目のコトだそうです(過去の事例は1974年のエマーソン・フィッティパルディとクレイ・レガッツォーニ)。

そもそもこのコースってどうなん

しかし、リスクの高いコースだとは思っていましたが、案の定決勝がスタートしてから赤旗は2回出るわセーフティカー出動するわ断続的にVSCになるわで、どうも興が削がれるレースだったように思います。そりゃ、エスケープゾーンがほとんどない高速クネクネコースなんだから、こういう結果になるのはある意味自明だったとも言えるワケですが。特に最初の赤旗からリスタートした際、行き場を失ったペレスとルクレールがクラッシュして、その後方にいたラッセルがバックオフしたところにマゼピンが突っ込んだシーンはヒヤッとしました。

事故に巻き込まれたラッセルはコースの安全性に対して疑問を呈するコメントをしていますが、これは大いに頷けるところ。

Russell: “Motorsport has a lot to learn” from unnecessary Jeddah F1 danger

これまた事故に巻き込まれたペレスも、安全性に対しての懸念をコメントしていたみたいですね。

ジェッダのコースは”不必要に”危険! ペレス「レースで大事故が起きないことを願う」

安全性を重要視している現代F1に新たに追加されたコースとは思えない(しかも開催国は人権上の問題がいろいろと取り沙汰されている国)んですが、まあお金が絡んだ話だろうってのは容易に想像できるところではあるんですが、ラッセルが言っているみたいにせめてコースの改修くらいはできないもんなんでしょうか。ここで毎年開催するとなると、そのうちもっと大きな事故が起きそうな気がしてならないんですよね。

そのほか

アルファタウリは第一スティントで2台ともポジションを下げてしまい、これカタールと同じパターンになるんちゃうかと思いましたが、最終的にガスリーと角田で明暗が分かれる結果となってしまいました。角田のインシデントはまあ本人も認めている通り、仕掛け方がマズかったですね。2コーナーは完全にベッテルが優先権を取っている格好でしたし。ただ実力が向上してきているところはアピールできたレースだったんじゃないかと思うので、今後に繋がるレースだったんじゃないかなと思います。

……にしても、今回のレースで最も印象的だったシーンって、フェルスタッペンにハミルトンが追突した瞬間に、叫びながらヘッドセットを叩きつけて激高していたトト・ウォルフだったような気がします。あのヘッドセット、スポンサーであるBOSEの製品なんじゃないかと思うんですが、あのシーンが全世界に放送されていたのはチーム代表としてどう落とし前をつけるんだろうか……(そういやメルセデスはキングスパンとのスポンサー契約で炎上騒ぎも起きてますね)。

メルセデスF1、批判受けるキングスパンとのスポンサー契約を“再評価”か……重大事故の遺族らとの対話を開始