大須は萌えているか?

gooブログからこっちに移動しました

F1[21] アブダビGP 予選

泣いても笑ってもこれが今シーズン最後のレース、そして例年だったらもうチャンピオンシップも決しているもんだからのんびり眺めているレースなんだけど、タイトル争いしている2人が同ポイントで並んでいるもんだから緊張感MAXという、観ている側としては嬉しい悲鳴を上げるべき週末になっていますね。F1アブダビGP予選。

前戦の予選リベンジを決めたフェルスタッペン

てっきり今回の予選はハミルトンが獲るものと思っていました。フリー走行からメルセデスのがワンラップの速さは有利に見えたし、フェルスタッペンはQ2でタイムを刻んだミディアムにフラットスポットを作ってしまうなどしてハミルトンより落ち着けてないようにも見えましたし。しかし、Q3で1:22.109という目のさめるようなタイムを叩き出してポールを獲得。2番手のハミルトンに0.37秒の差をつける圧巻のラップでした。

レッドブルは予選前からペレスとフェルスタッペンが互いにトウを与え合う作戦を考えていたみたいですが、それがタイムに寄与しているのは間違いないものの、それだけではこの差は生まれてないでしょうね。それは2人のオンボードカメラの比較映像を見るとよくわかります。

SIDE-BY-SIDE: How Verstappen beat Hamilton to pole at the Abu Dhabi GP(動画)

フェルスタッペンはトウを得ることによって稼げたのは「0.1秒くらい」とコメントしていますが、たしかに映像を見てもそれくらいなのかな、って気がしますね。つまり、実のところフェルスタッペンはペレスのトウを得られなかったとしてもポールを獲得していた公算が強い。

However, while the Dutchman was thankful for his team mate’s tow, he downplayed the possible advantage he gained from it: “It was discussed before quali so yes it was very nice, nicely executed as well, but it’s not [the reason] whatever the gap was. I might have gained a tenth towards Turn 9; it’s not a massively long straight.

“But nevertheless, I mean, Checo’s a great team mate and a real pleasure to work with. So also, a big ‘thank you’ to him,” he added, after Perez claimed P4 on the grid, one spot behind McLaren’s Lando Norris.

via: Verstappen denies Perez tow only reason he took pole in Abu Dhabi as he looks ahead to crucial title showdown | Formula 1®

前回のサウジアラビアではずば抜けたアタックを敢行しつつも最後の最後でミスってしまったフェルスタッペンですが、今回は決めなければいけないところで最高の仕事をした、という感じですね。逆にこの仕事が完璧だっただけに、Q2でミディアムタイヤをダメにしてしまったのは惜しまれるところですが……。

ただ、ソフトタイヤスタートでもそこまで不利では無い、とレッドブル陣営はコメントしており、実際問題としてミディアムスタートとなるハミルトンとレースペースでどういう変化が生まれるのかは興味深いところ。このタイヤの違いがチャンピオンシップの行方を決定づけるのか、あるいは他の要因が絡んでくるのか、もう正直言って予想はできませんね。アブダビはポールトゥウィンの確率が高い、ということを考えるとフェルスタッペンが有利なのか、という見方もできますが、コースが改修されたことによってオーバーテイクがしやすくなっているんだとしたらまた状況が変わっているのかもしれないし。

レッドブルが軽めのリヤウイングに交換して、ストレートスピードを重視する方向に振っているのもキーポイントになるのかもしれません。

メルセデス陣営は予選アタックでフェルスタッペンに対して勝ち目が無かったことを認めるようなコメントをしており、またチームメイトのトウを利用するプランは最初からまったく考えていなかったみたいですね。

Verstappen’s first, and ultimately fastest, run in Q3 was aided by the aforementioned slipstream from Perez, the Mexican towing his team mate down to Turn 6 and again down to Turn 9.

But that kind of teamwork, according to Hamilton, is not something that Mercedes had previously discussed doing.

“No, it wasn’t discussed,” he said, when asked if the team had considered the tactic. “We’ve never, ever really done that, so…”

via: ‘It’s 1-0 Red Bull’ admit Mercedes, as Hamilton says he couldn’t answer Verstappen pole lap in Abu Dhabi | Formula 1®

レース戦略に対する幅はメルセデスの方が有利なのであり、かつもしもスタートでハミルトンがフェルスタッペンの前に出られる展開になったとしたらハミルトンの方が俄然有利になる可能性もあります。フェルスタッペンにしてみればスタートで前に出て、多少なりともハミルトンとのギャップを作った上でピットストップをしたいのは間違いないでしょう。やっぱり最注目はスタート、そしてフェルスタッペンがトップを維持できた場合はそのレースペースですね。

これだけスタートがドキドキするレースってかなり久しぶりでは……。

ホンダのラストレース

今シーズンの最後のレースということは、ホンダにとってもラストレースってことになります。レッドブルコンストラクターズタイトルは正直厳しい情勢だとは思いますが、最後を勝って決めたいという思いは強いでしょうね。……しかし、ホンダって前回ロス・ブラウンにチームを譲り渡したときも「もう一年残っていれば良かったのに……」という展開になってしまった(結果論ですが)コトを考えると、今回も似たような話にならないと良いですが。メルセデスの良いところって、90年代にF1にカムバックして以降一貫してF1に関わり続けているところなんですよね(これはフェラーリルノーもそうですが)。

フェルスタッペン以外のホンダ勢はペレスが4番手、角田が8番手、ガスリーが12番手という結果になっていますが、やはり注目は角田でしょうね。今シーズン、通常フォーマットの予選で初めてガスリーを上回ったというのは良かった。それに、Q3最初のアタックもトラックリミットさえ取られていなければボタスを上回るタイムでしたからねえ。シーズン終盤になって安定してQ3に進出できるようになったし、ミスをせずに予選をこなすのはずいぶん上手くなってきた印象。

来年はホンダ無しで戦うシーズンになりますが、角田はホンダありきというよりは実力を買われてシートを掴んだドライバーなので、そういう意味では心配無用でしょう。ただ、もちろん2年目のドライバーとしてより安定した実力を見せつける必要はありますね。なにより決勝での安定感が来年の課題でしょう。やっぱりガスリーに比べて入賞回数が少ないですからね。

ともあれ、ホンダとしては最後に悔いの残らないレースを、角田は来年につながるレースを期待したいところです。

そのほか

あとはライコネンにとってもF1ラストレースとなりますが、F1.comではライコネン自身のナレーションによって本人のレースキャリア振り返るアニメーション動画まで用意するという気合の入り方です(?)。

Kimi Räikkönen’s F1 career - animated!

アルファロメオのマシンにも「Dear Kimi We will leave you alone now」なんてメッセージが書かれていたりもして、ホントF1全体に愛されていたキャラクターだったんだなと感じます。ライコネンって天才的なスピードを持つドライバーでしたが、サバサバした語り口と自分の仕事に集中する(他人と比べてどうこう言わない)スタイルが男女問わずファンを増やした魅力だったのかな、と思います。ちょっと他にいないですよね、こういうキャラクターって。

何度もタイトルを獲るドライバーって勝つために実行可能なあらゆるコト(良きにつけ悪しきにつけ)を考えてレースをする印象がありますが、ライコネンの場合は自分のコトに集中して、それで勝てないならしゃーない、みたいな割り切りがあったように思います。勝ちまくって何度もタイトルを獲るドライバーはもちろん偉大な存在なんですが、ライコネンのようなレーシングドライバーってそういうのとはベクトルの違う素晴らしさがあるような気がします。

アルファロメオはジョビナッツィもラストレースになりますが、来年はボタスと新人の周冠宇という総とっかえのラインナップになることでどうなるのか……ボタスはメルセデスを離れるコトで表彰台がかなり遠のいてしまう(?)と思われるので、メルセデス終戦となる今回はいい結果を残しておきたいところでしょうけど、予選はやや不発だったのでどうなるか。

3番手にノリスが食い込んでいるのも注目点ですが、もし彼がスタートダッシュ決めてトップに立ったらそれはそれで面白いな……と思わなくもありません。フェルスタッペンにとって最良のシナリオは、ノリスが自分とハミルトンとの間に入ってくれることでしょうね。

ていうか、最終戦でもさも当然のようにフェルスタッペンとハミルトンがフロントロウに並んでいるあたり、ホントに今年はこの2人のためのシーズンだったなと感じます。その決着にふさわしいバトルを期待します。