先週末は鈴鹿サーキットにスーパーGTを観戦しに行っていたんですが、土日とも実に良い天気で、しかも今年一番の気温の高さだったりしたのでかなり体力を消耗してしまい、モナコGPの予選の記事を書けていませんでした。ていうか、同じ週末にモナコGPとインディ500とニュルブルク24時間とスーパーGTが重なっているというのはなんとかならんものでしょうか。
スーパーGTの話はまた記事を改めるとして、とりあえず今回はモナコGP決勝の話……ただ決勝も観ている途中で寝落ちしたんだけども……。
- 決勝結果: FORMULA 1 GRAND PRIX DE MONACO 2022 - RACE RESULT
- 決勝ダイジェスト: 2022 Monaco Grand Prix report and highlights: Perez wins a captivating wet-dry Monaco Grand Prix as Leclerc falls from pole to P4 | Formula 1®
- 決勝後各チームコメント: What the teams said – Race day at the 2022 Monaco Grand Prix | Formula 1®
- 決勝後記者会見:FIA post-race press conference – Monaco | Formula 1®
やっちまったフェラーリ
予選でフロントロウを独占したフェラーリ、今年こそはルクレールが地元勝利を飾れるのか……と思いきや、結果的にはルクレールは表彰台にすら登れない有様。ただ、ルクレールってそもそもモナコでポイントを獲得したコトも無かったので、それを考えれば4位入賞というのは大きな前進ではあるのですが……。
ポールスタートだったルクレールがなんで4位まで転落してしまったかといえば、ピット戦略でレッドブルに出し抜かれてしまったから、というコトになります。スタート前から雨が降り始め、一度セーフティカー先導で走り始めたものの雨脚があまりにも強かったために赤旗。そして雨が弱まってからレースがスタートする格好になりましたが、その後再び雨が降ってくることは無かったため、どのタイミングでウェットタイヤからインターミディエイト、あるいはドライタイヤにスイッチするかというのが勝負の分かれ目になりました。
下位のマシンでは早々にインターに履き替えるマシンもいましたが、上位陣で一番最初に動いたのはペレス。16周目にウェットからインターに履き替えましたが、この時点でフェラーリの2台は32秒台のラップタイム、そしてインターを履いていたガスリーが31秒台前半のファステストラップを記録しています。これを見てレッドブルは動いた感じですかね。
そして18周目にルクレールとフェルスタッペンが動き、ウェットからインターに交換。ペレスから2周あとの交換でしたが、この間にペレスはかなり速いペースで走れていたんですよね。18周目のセクター1・2だけでルクレールに対してペレスは4秒以上速いタイムを刻んでおり、これによりペレスはルクレールをアンダーカットすることに成功。
一方、サインツはステイアウトしてドライタイヤに直接履き替えるコトを考えていたワケですが、autosportの記事なんかを見ると、どうもルクレール自身もインターに履き替えるつもりは無く、サインツ同様もう少し待ってドライタイヤに履き替える心づもりだったようにも見えます。
"I’ve been asked questions if I wanted to go from the extreme wets to the slicks and I said, ‘yes but not now, a bit later on in the race’, but I don’t understand what made us change our minds and go on the intermediates.
via: Leclerc: Ferrari made “too many mistakes” in Monaco GP defeat
無線でウェットからスリックに交換したいか?と確認されたルクレール、「そうしたいけど今じゃない、もう少しあとだ」と返したらしいんですが、なぜかインターに交換することになってしまった模様。チーム側がなにか勘違いをしたのかなんなのか。
一方のサインツは21周目にハードタイヤにスイッチするわけですが、この間にもペレスはサインツとのタイム差をグイグイ縮めており、サインツがピットに飛び込んだ段階でペレスとの差は約2秒。その翌周にペレスがピットに飛び込むわけですが、この時点でサインツとの差が約21秒あり、まんまとサインツの前に出ることに成功。このとき、フェラーリはサインツとルクレールを同時にピットに呼び込んでいますが、サインツとルクレールの間隔が3秒チョイしかないことに気づいたピットが「これダブルストップさせるとタイムロスになってまうやん」と思い慌ててルクレールに「ステイアウト」の指示を飛ばしたものの、すでにピットに飛び込もうとしていたルクレールは今更進路を変えるワケにもいかず無線でキレるというドタバタぶり。結果的に、ルクレールがコースに復帰したときにはサインツとの間にノリスが挟まってしまうという状態になってしまいました(ノリスは翌周にピットに入りますが)。
その翌周にレッドブルもペレスとフェルスタッペンのダブルストップを敢行しますが、このときのペレスとフェルスタッペンの間隔は3.8秒程度。フェルスタッペンとルクレールの間隔も21秒程度だったので、レッドブルのクルーにしてみればメチャクチャプレッシャーがかかるシーンだったんじゃないかと思います。しかし、このダブルストップを見事成功させて、ペレスはサインツの前、そしてフェルスタッペンはルクレールの前に出るという、レッドブルにとっては「してやったり」の結果。
フェラーリのピット戦略の混乱、それからインターミディエイトを履いたときのペレスとフェルスタッペンのペースが合わさって、ルクレールは表彰台圏外に追いやられてしまったのでした。レッドブルにしてみれば、フェルスタッペンも直接のライバルであるルクレールの前でフィニッシュできたのだから完全勝利と言ってもいいですよね。モナコの予選でフロントロウを独占しておきながら、2位と4位という結果に終わったフェラーリは散々なレースといっていいでしょう。サインツもF1初優勝に手が届きそうでなかなか届かないよね……。サインツ自身の作戦は悪くなかったんだと思いますが、インターを履いたレッドブルのペースが想像以上に速かった、というコトなんでしょう。
サインツ自身は、ハードに履き替えたあとのアウトラップで周回遅れ(ラティフィ)に引っかかってタイムロスしたコトも逆転された原因に挙げていましたが、しかしまーその前の段階でペレスに対してかなりタイムを失っていたのが大きいですよねえ。運の問題もあったとは思いますが、レッドブルの戦略勝ちでしたね。
そのほか
上位争い以外で印象に残ったシーンというと、……正直あんましないな。ミックのクラッシュはもちろんビックリしましたが、ドライバーは無事だったので一安心。しかし、ハースはまたマシンが大破してしまいましたが、予算的な意味で大丈夫でしょうか。マグヌッセンもリタイヤで終わってしまい、チームとしてはこれで3戦連続でノーポイント。このままズブズブ沈んでしまわないか心配ですが……。
メルセデスは再びマシンの挙動に悩まされて予選では苦労していたようですが、決勝ではラッセルがしぶとく5位フィニッシュしているのはさすがですね。開幕以来の連続5位以内フィニッシュ記録は継続中。んで、開幕戦以外はずっとハミルトンの前でフィニッシュしているんですよね。予選でもハミルトンに勝ち越しているんだから、まあほんとに素晴らしい。ていうか、ハミルトンって一度こういう状態になるとシーズン終わりまでズルズル引きずってしまう印象もありますね、マクラーレン時代とか見てると。メルセデスに来てからずっと「強いハミルトン」を見てきたので、なんだか懐かしさすら覚えます(?)。
中団勢で一番ポジションを上げたのがガスリーで、まさかのQ1ノックアウトを喫しての17番手スタートから11位フィニッシュ。早々にインターには履き替えてからのペースが印象的でしたが、それだけに下位からのスタートだったのが悔やまれますね。逆に角田は予選11番手から17位フィニッシュという、チームメイト同士で順位を入れ替えるような格好になってしまいました。インターに履き替えたガスリーのペースが良かったもんだから、チームはその後角田もピットに呼び込んでインターを履かせたワケですが、トラックポジションを失うだけの結果になってしまったような……。
レース前半の路面が徐々に乾いていくシチュエーションでは、各チームの戦略の違いによって順位変動が見られたものの、ミックがクラッシュしてからの赤旗再スタート以降は皆がドライタイヤを履いてほぼそのまま最後まで走り切る格好になったので、順位変動もまったくと言っていいレベルで無かったですね。アロンソがかなりのスローペースで走ってハミルトンが苛立っていたりもしましたが、それでも抜けないのがモナコ。
正直このレース後半のような状態は見ていて退屈といえば退屈なんですが、それでもモナコってやはりF1の象徴みたいなところがありますし、今後も継続して開催してほしいところです。