ルクレールにとって会心のレースになるはずだったんですが、彼にとっては地元モナコを前にしてちょっと嫌な流れになっちゃってますね。F1スペインGP決勝のお話。
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まさかのPUトラブル
今回のフェルスタッペンはターン4でコースオフしてしまいポジションを失ったり、そこから挽回しようとしたところで予選に続きまたしてもDRSがうまく開かないというトラブルに襲われてしまい、なかなかラッセルを攻略できないという状況にハマりこんじゃったもんだから、もうルクレールの余裕勝ち……になるはずだったんですが。レースの折返しにも満たない27周目に突如パワーを失い、そのままリタイヤ。開幕から高い信頼性を誇っていたフェラーリが、まさかのトラブルでした。
逆にレッドブルは毎度いろいろなマイナートラブルは出しておりますが、致命的なコトにはならず今回1−2フィニッシュを達成。これにより、レッドブルはドライバーズタイトル・コンストラクターズタイトルの両方でフェラーリを逆転してトップに立ちましたが、まさかこんなに早いタイミングで逆転してしまうとは思っておりませんでした。フェラーリにとってはまさに痛恨のトラブルですが、詳細な原因はわかってないようでちょっと心配ですね。
とはいえ、ルクレールはマシンを止めるまでは非常に快調なペースで走っており、レースペース的には何ら問題がないように見えたのはポジティブな要素ですよね。ハミルトンを除き皆ソフトタイヤでスタートしたのはちょっとびっくりしましたが、ルクレールはかなり暑いコンディション下で上手くタイムも一定に保っていましたし。ニュータイヤの恩恵もあったかもしれませんが。
フェラーリがある程度レースペースの改善を達成できているならば、今後のレッドブルとの争いはまだまだ面白くなりそう……と期待。ただサインツはちょっとピリッとしなかったよな……。
ペレスはほんとなら勝てた?
一方のレッドブルで気になった点といえば、ペレスが無線でちょっと不満げなコトを言ってたところでしょうか。ペレスは結果的に2度に渡ってフェルスタッペンにポジションを譲る格好になったワケですが、最初ターン4でコースオフしたフェルスタッペンに譲ったときにはチームから無線で「あとでポジションは取り戻せる」みたいに言われたようですね。ペレスは自分が2ストップでフェルスタッペンが3ストップ作戦で動いていると認識していたのでそのまま譲ったワケですが、その後フェルスタッペンはDRSの問題でラッセルを抜けない状態に陥り、ペレスはその後ろでスタックする状態になっちゃったんですよね。
ラッセルとフェルスタッペンが13周目にピットに入り、ペレスは17周目まで引っ張ってピットに入りましたが、ソフトタイヤで引っ張ったコトもあってフェルスタッペンの8秒くらい後方でコースに復帰。そこからまたラッセルらとの差を詰めていきますが、フェルスタッペンがまだラッセルの後ろにいたもんだからまたしてもその後ろにつっかえる形に。流れを変えるためにフェルスタッペンは28周目にピットに入ってソフトに交換、ラッセルはそのまま走り続けますが、ペレスはDRSを使ってこれを31周目にオーバーテイク。
その後、ラッセルとの差が6秒弱程度まで広がった36周目にラッセルがピットイン、そしてその翌周にペレスがそれをカバーする格好でピットイン。この時点で、レッドブルとしてはペレスも3ストップにすると決めていた感じでしょうか(というか、ラッセルに合わせる作戦か)。その間にフェルスタッペンがトップに立ち、44周目に3度目のピットインをしてペレスの約6秒後方で復帰。7周オールドのミディアムを履いているペレスと、新品ミディアムのフェルスタッペンという形になるため、フェルスタッペンのがペースは上。そこで追いついたフェルスタッペンに譲るように指示が飛び、ペレスは2番手に。その後ラッセルが3回目のピットに入りマージンができたので、ペレスも結局3ストップに。
この流れを見ていると、ペレスにしてみれば「どうしてこうなったんだ?」という思いが出るのは当然でしょうね。ていうか、フェルスタッペンがDRSのトラブルが出ていてラッセルを抜けないのなら、自分を先に行かせてくれよっていうのもありますよね。それに2ストップだから譲った順位は取り戻せる、と思っていたのに、いつの間にか3ストップになってフェルスタッペンには2度も譲ることになっているし。最終的にペレスはチームの作戦に納得して、満足しているといったようなコメントをしていますが、当初の見立てが大きく狂い、不完全燃焼だったという思いは間違いなくあったでしょう。フェルスタッペンがコースアウトしたあとにペレスがポジションを譲らず、そのままラッセルを出来ていれば、あるいは勝ち目があったかもしれませんし。
まー、フェルスタッペンがコースアウトする前からペレスはラッセルの後ろに張り付いていたので、その時点でさっさとオーバーテイクできていれば良かったんですけどね?さらに言ってしまえば、予選でラッセルに前に行かれていなければ、という話になってしまうんですが。
メルセデスのレースペースはガチ
今回フェルスタッペンとのバトルも見せつつ表彰台に登ったラッセルもお見事でしたが、オープニングラップでマグヌッセンと接触し、19位まで順位を落としながら5位フィニッシュ(終盤のオーバーヒート問題が無ければ4位だった)を飾ったハミルトンはかなり驚きでしたね。知らない間にみるみる順位を上げてきていた感じ。
ラップタイムを見ていても、正直フェラーリやレッドブルと比べてもまったく遜色なく、もしあのマグヌッセンとの接触が無ければどうなっていたの、と思えるくらい。正直、レースペースがここまで強力だというのはびっくりですね。順位を落としたときにはかなりやる気を失っていたように見えたハミルトンですが、チームが無線で入賞圏内まで返り咲けるぞ、と励ましていて「ホンマかいな」と思っていたらほんとに驚異的なペースで挽回しちゃうっていう。ハミルトンのタイヤマネージメントの上手さも発揮できていたのかなと。
それだけに最後の最後にオーバーヒート問題が発生したのが残念でもありますが、ポジションダウンは最小限におさえられたのが不幸中の幸いでした。信頼性の問題は少々気になるところですが、これ予選のペースをもうちょい改善できれば、普通にトップ争いに絡めそうですね。なにやらシーズン中盤以降が楽しみになってまいりました。
そのほか
アルファタウリはガスリーがストロールとの接触でレースをフイにしてしまったのに対し、角田は堅実にレースをまとめて10位フィニッシュ。アルファタウリは予選ダメなときはレースペースそんなに悪くないのか……?なんとか予選と決勝を両立するようなマシンを仕上げてもらいたいところですが。
トップ10スタートだったミックは今度こそ初ポイントなるかと思いきや、レースペースがいまいちでまたしても入賞ならず。マグヌッセンもハミルトンと接触して以降下位に沈んでチームとしてもノーポイント。マイアミに続いてちょっと流れが悪くなっている感じしますね。
マクラーレンのノリスは扁桃炎で体調が悪い中の出走でしたが、堅実な走りを見せて8位入賞してみせたのはさすが。いっぽうでリカルドはレースペースが悪く、12位に沈んでしまったのが気になるところ。リカルドは決勝でポイント獲得できたのがオーストラリアのみ(あとはイモラのスプリント予選)という状態で、獲得ポイントはノリスの1/3以下。なんかこのままだとマクラーレンから放出されてもおかしくない気が……。