大須は萌えているか?

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『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』を観てきた話(ちょっとネタバレあり)

先日、レイトショーで『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』を観てきました。

世間的な話題性から言ったら、今映画を観に行くならば『トップガン マーヴェリック』なのではないか、という気もするのですが、それよりもこの令和の時代になって、ファーストガンダムの、よりにもよって(?)「ククルス・ドアン」を劇場で観られる機会というのは非常に貴重なのでは無いかと思い、つい観に行ってしまった次第。レイトショーなんだけど特別料金とかいって1,900円掛かったりしましたけど。

あと、劇場に行ったときにはほぼ必ず視聴する作品のパンフレットを買うようにしているんですけど、売り場で「ククルス・ドアンのパンフレットありますか」と尋ねたら「通常版は売り切れてしまってまして、値段の高い数量限定版のみになるんですがよろしいですか?」と言われ、高いゆうても2000円ちょいくらいかなと思い「それで良いです」と答えたら4,400円と言われてビビりました。まあ買っちゃいましたけど、自分の人生において最も高額な映画パンフレットとなりました。

んで映画の内容なんですけど、まあなんというか本当に『ククルス・ドアンの島』で映画一本作っちゃったんだなあ、という感じ。もともとがTVシリーズの1話分しかないエピソードだったものを、丁寧に肉付けして映画サイズにした……というそれ以上でも以下でも無い作品、という感じ。

監督が安彦良和なので、ストーリーの時系列としては『THE ORIGIN』に準拠しており、ジャブロー編がオデッサ作戦の前にある形。ククルス・ドアンのエピソードはホワイトベースが南米のジャブローからヨーロッパに向かう途中の話とされており、ククルス・ドアンが潜伏している島はカナリア諸島のアレグランサ島と明示されています。この島は実際に存在しており、作品内に登場する灯台なんかも実在しているっていう。聖地巡礼にいくにはかなり大変そうな場所ですが。

この島は火山島のようで、島の南西には大きな火口が存在していますが、戦闘シーンではこの火口の地形も大きなカギを握っており見どころのひとつになってますね。

ククルス・ドアンの島』って初代ガンダムの中では異色のエピソードであると同時に、「作画崩壊」で有名になってしまっている回なので内容を知っている人は多そうだし、エピソード的には完全に「ネタバレ」状態の中でどうやって話を盛り上げるんだろうか、と思っていたんですが、そこはククルス・ドアンの過去の因縁と、島自体にジオンの秘密が隠されている、という新要素を足すことで補っている感じですね。ただまー全体としては大きな意外性は無かったかな、という気もします。

逆に、実在の島を舞台にするなどしたコトでテレビ版よりもリアリティラインを引き上げようとしているコトにより、ククルス・ドアンと子どもたちの生活がどのようにして成り立っているのか?という点が余計に気になるようになちゃったりもするんですよね。子供の人数もTV版だと4人だったのが、この映画版だと20人という数になっているので、そもそもドアンはこんな人数の子供をどうやって戦場から保護してきたのか、という点も気になりますし、子どもたちは最初から素直にドアンに懐いたのか、という点も気になってしまいます(人数が人数だし)。

島では井戸水を引いたり、ヤギを飼ったり、狭いながらも畑を耕してある程度の自給自足体制を整えているようですが、それでもあれだけの子供たちを養う生活物資や食料をすべてまかなえるとは思えませんし、そうなるとおそらく定期的に隣の島の街に買い出しに行ったりする必要があるだろうな……と思うんですが、脱走兵の身としてはあまり目立ちたくはないだろうし、そもそも生活してくための資金ってどうやって賄っているんだろうか……等々いろいろ気になってしまうのでした(脱走する前にかなりの蓄えがあったのだろうか)。

作品内で、そういったあたりの描写が全然無かったのは不満点のひとつですね。そのぶん、ホワイトベースの面々やマ・クベといったあたりの描写が結構あったりするんですが、マ・クベはさておきホワイトベースのメンバーってストーリーの展開的には居ても居なくてもあんまり変わらないっていうのがちょっと……。なんかファンサービス的に出番増やしました的な意図が透けてしまっていて、作品のテーマがちょっと薄くなってしまっているようにも見えました。

ドアンがかつて隊長を務めていたという「サザンクロス隊」が乗っている高機動型ザクはなかなかカッコいいし、テレビ版の作画崩壊を逆手に取ってデザインされたドアン専用ザクも面白いので、ザク好きな方は観ておいて損はない作品かとは思います。あと、マ・クベがかなりマ・クベぽくてステキ(?)。