大須は萌えているか?

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F1[22] アゼルバイジャンGP 決勝

レース序盤に導入されたVSCによりレッドブルフェラーリで分かれたピット戦略、果たしてどちらが正解なのか……とその先のレース展開を楽しみにしていたら、、ということで、F1アゼルバイジャンGP決勝のお話を。

まさかのフェラーリ全滅

そもそも序盤のVSCの原因を作ったのがサインツのリタイヤだった、というフェラーリにとっては波乱の幕開けでしたが、そのタイミングを利用してルクレールをピットに呼び込んだというのはちょっと面白いな、と思ったわけですよ。理論上は残り周回を走りきれたとしても、結構しんどい周回数にはなりますし、レッドブルのほうがレースペースには優れているようにも見えたので、仮にレッドブルのタイヤ交換のタイミングで再びルクレールが先行できたとしても、最終的にはかなりホットなバトルが見られるんじゃないか、と期待したからです。

レッドブルが序盤のVSCのタイミングで2台をステイアウトさせたのは、早めのピットインを嫌ったというのもあったでしょうけど、無理にVSCのタイミングに乗らなくてもルクレールに追いつけるだけのペースがある、という自信の表れでもあったでしょうから。

んで、レッドブルの2台がタイヤ交換を済ませて、そこからルクレールの追撃体制に入った……と思った矢先に、まさかのルクレールがマシントラブルでスローダウン。まだレースの半分も終わってないのにフェラーリ全滅ですか……。2台共がマシントラブルによるリタイヤ、しかもそれぞれ別の要因によるトラブル。チャンピオンシップを争う上でダブルリタイヤなんて最も避けなくてはならないコトなのに、なんでこうなるの。

不思議なもので、シーズン序盤はレッドブルの信頼性不安が目立ち、「このままだとフェラーリが独走しちゃうからレッドブル頑張って……」とか思っていたのに、今やフェラーリのが壊れまくってて「このままだとレッドブルが独走しちゃうから(以下略)」と願わずにはいられない有様。ていうか、さすがにルクレールが気の毒になってきました。レース後の表情も厳しいですね。

Charles Leclerc: Engine blowout in Azerbaijan GP ‘more than frustrating’(動画)

レース後の記者会見で「不運の真っ只中にいるルクレールに共感するところはあるか?」みたいに訊かれたフェルスタッペン、「いつも言っているけど、嫌なことは起きるものなんだ。それがレースだ」と達観したコメントしてますね。昨年このレースでクラッシュしたあと、タイヤを蹴飛ばしていた本人が言うと重みがあります(?)。

I would always say shit happens. Yeah, that’s racing. You know, it happened to me, it happened to many people in the past. Unfortunately, it’s happening to Charles. Yeah.

via: Max VERSTAPPEN : FIA post-race press conference - Azerbaijan | Formula 1®

問題はどうしたって起きる、それをどう乗り越えて、再発しないように心がけていくかが肝心だというワケですが、まあこれは何にでも言えるコトではありますね。

フェラーリにとっては信頼性の問題が最も今乗り越えなくてはいけない問題なのは明らかですが、それに加えてレースペースの欠如も気になるところではあります。今回、スタートでペレスに先行されて以降、レッドブルのペースになんとか付いていくのに精一杯という感じでしたし。もしPUトラブルが無かったとしても、正直フェルスタッペンが勝っていたような気がしちゃうんですよね。

今後PUの使用上限を超えてペナルティを貰わなければならないのも確定的ですし、フェラーリにとっては悪循環にハマっていきそうで怖い流れではあります。でもねー、このままレッドブルがぶっちぎっちゃうのもつまんないしねー。

レッドブルのチーム内対決が盛り上がるのならばそれはそれでアリですが、正直フェルスタッペンとペレスだとやはり役者が違うのではないかな、という気はします。モナコに続いてこのバクーでも予選でペレスが前に出てちょっとびっくりしましたが、決勝ではフェルスタッペンが貫禄を見せた感じでしたしね。ペレスに対して「戦うな」っていう無線が飛んでましたけど、あのペースの違いを見たら致し方ない指示だったとも思いますし。ただ、ペレスのピットストップ時に無駄に時間が掛かっていたのはちょっと引っかかりましたが。

第三のチームとしては上々のメルセデスですが

フェラーリが全滅したこともあって、ラッセルが今季3度目の表彰台を獲得。相変わらず信じられないような安定感ですが、今回ハミルトンもラッセルの後ろ4番手でフィニッシュしてDRIVER OF THE DAYを獲得する走りを見せていたのは印象的でした。マシンのパフォーマンス自体は悪くなさそうに見えるので、ホントにバウンシングの問題がなんとかなれば……という感じなんですが、そのバウンシングのせいでレース後のハミルトンがマシンから降りるのすらしんどそうにしていたのはさすがにちょっと痛々しい。

Lewis Hamilton: ‘Painful’ Azerbaijan GP was ‘the worst race ever’(動画)

ハミルトンが相当しんどそうにしていたので、次戦カナダは欠場するんじゃないかっていう見方まで出ていたくらいですが、一晩寝たら随分回復したようでどうやら問題なくカナダも出場できそうな雰囲気。

Hamilton wouldn’t miss Canadian GP “for the world” despite back struggles

ハイスピードでかつバンプの多いバクーのコースだったがゆえに、いつも以上にバウンシングのダメージが蓄積してしまったのかもしれませんが、しかしこうして今のマシンがドライバーの体に過度の負担をかけている様を見ると昔のウイングカー時代と同じ過ちを繰り返していないかってちょっと心配になりますね。ラッセルは今のマシンのバウンシング問題がいずれ大きな事故に繋がると警鐘を鳴らしていますが、ただこれ一番の実害を被っているメルセデスのドライバーが主張しているという点ではあまり共感を得られにくいのかもしれません。

ラッセル、ポーパシングの危険性を改めて訴える「重大な事故に繋がるのは時間の問題」

ただ、もうある程度見慣れてきてしまっているとはいえ、高速で走っているマシンが縦にガタガタ揺れているオンボード映像はやはり見ていて怖い感じはしますねえ。他のドライバーや、ロス・ブラウンの見解も聞いてみたいものですが。

アルファタウリの角田への対応にはちょっとビックリ

アルファタウリはガスリーが5位フィニッシュと今季ベストの結果を残した一方で、角田はリヤウィングのトラブルにより緊急ピットインを強いられ、13位という残念な結果に。トラブルが無ければ楽々入賞だったのに……。ただ、あのトラブルが発生してもチームはしばらくそのまま角田を走らせ続けたっていうのはちょっと驚きましたけどね。角田に対してオレンジボールが出されてからチームもピットインを指示したみたいですけど、その際にも理由を告げていなかったようで、角田はスローダウンせずに走っていたみたいですし。

最初から修復して再びコースに送り出すつもりだったから、スローダウンさせずに呼び戻したってコトなのかもしれませんが、あの状態からさらにダメージが拡大していた場合、それこそ大きなクラッシュに繋がっていたかもしれないと思うとゾッとします。角田自身も大きな違和感が無かったためペースを落としていなかったんでしょうが、だからこそチームの方からペースを落とすように指示すべきじゃないかと……。

もちろんバクーは最後までどういう展開があるかわからないサーキットでもあるので、少しでもチャンスがあるなら走り続けるっていうのは正しい姿勢でもあるのですが、どうも角田に対するチームの姿勢は安全性を軽視しているようにも見えてしまったのでした。ポーパシングの件も合わせて見ていると、どうもまたF1は全体的に安全性を過信してきてはいないか?と思ったりもしてしまいます。グロージャンの事故なんかを見ても、現代のF1マシンとて絶対に安全ではないのだ、というのはよくわかると思うんですが……。

そのほか

あとはアルピーヌ驚異の直線番長ぶりだとか、チームオーダーの末に今季初めてチームメイトの前でフィニッシュしたリカルドだとか、これまたツキに恵まれない周冠宇だとか、どうにも泥沼傾向にあるハースだとか、ていうかカスタマーチームでもトラブル相次いでいるようだけど本当に大丈夫なのフェラーリPU、とったあたりが気になったところですが、長くなってきたのでこのあたりにしたいと思います。

なお、いつものことながらカナダのリアルタイム視聴は諦めております。