大須は萌えているか?

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F1[22] シンガポールGP 予選

視聴環境が整ったので初めてF1の予選を4Kで視聴してみたんですが、これは良いものですね……ナイトレースだから有機ELテレビとの相性もいいし……これならテレビ新しくした価値はありました(ただしクレジットの請求残高は見ないものとする)。セッションの内容自体も予想ができない面白い展開でした。そんなワケで、F1シンガポールGP予選のお話。

フェルスタッペンの奇妙な行動

シンガポールのレースで雨が降るのって珍しいと思うんですが、FP3開始前からかなりの大雨になっており、結局FP3は走行時間が30分だけという形に。雨は止んだものの路面に水が残り続けており、予選開始時点でもドライタイヤは履けないコンディション。やがてセクター1はドライで問題ないところまでいったものの、セクター2・3で水たまりが残っており、ホントにQ3開始時点までタイヤ選択をどうするかっていうのが悩ましいセッションでしたね。

サーキットのレイアウト的には低速コーナーが多く、ストレートもあまり長くなかったりするので、フェラーリが有利では……なんて話も出ていましたが、Q3で「普通にアタックできていれば」フェルスタッペンが最速でしたねえ。しかし、最後の最後でアタックを2周連続で取りやめるというちょっと今まで見たことない事態が発生し、一番タイムが出せるコンディションでアタックができなかったフェルスタッペンは8番手に沈むコトに。

状況的には、フェルスタッペンがQ3最後のアタックに入っていたものの、セクター3の途中でバックオフしてアタックを取りやめ、セッション終了間際のタイミングでコントロールラインを通過して再度アタックラップに入ったんですよね。このときアタックを取りやめた理由は、最後の最後に最良の条件でもう一回アタックするため、というコトみたいです。でもせっかく途中まではベストタイム更新してきていたんだから、バックオフせずにタイムを出し、そのままもう一周やれば良かったのでは……と思ったりもしますが、その場合前にいたガスリーに引っかかるからバックオフせざるを得なかった、と。

「前にガスリーがいたんだ。あのままアタックを続けると、今度は最後のアタックでガスリーに引っ掛かる。燃料搭載量を考えたら、最後のアタックの方が論理的には速いはずだから、最後に賭けたんだ」

via: レッドブル&HRC密着:まさかの燃料不足でアタック断念。チームはフェルスタッペンのピットレーンスタート回避を優先 | F1 | autosport web

そして改めてアタックに入ったフェルスタッペン、今度も最速ペースで走ってきていたので、これでポール確定か……と思いきや、今度はラップ完了直前になってチームからピットに入るよう促され、フェルスタッペンは不満を爆発させながらもピットイン。そしてポールはルクレールの手に転がり込んだのでした。

ピットがアタックを取りやめさせたのは燃料残量が足りなくなる(アタックを完了させることはできるが、その後のインラップと車検用のサンプルが足りない)懸念が強かったから、というコトのようですね。もし燃料サンプルが出せなければ予選タイムが抹消となり最後方から追い上げなくてはならなくなるので、それを思えばアタックを取りやめさせるほうがまだマシ、というワケです。それでも燃料が足りなくなるのはチームの計算ミスだろ、という話でもあるんですが、そもそもアタックラップを1回余分にやっているワケなので、基本的にギリギリの燃料しか入れない予選にあってはそりゃあ燃料足りなくなっても仕方ないわな、という気はします。

話の流れ的に、てっきりフェルスタッペン自身の判断で最後の「エクストラアタック」を敢行し、チームにとっての計算外となってしまったのかな……と思ったんですが、しかしフェルスタッペンのコメントを見ると

We were a little surprised by the additional lap at the end, we didn’t expect to have to do that. I was on for a good lap when I aborted before starting the last lap, it might have been pole. In hindsight we should have finished the penultimate lap, instead I had to abort two laps, but hindsight is a great thing.

via: Max Verstappen : What the teams said - Qualifying at the 2022 Singapore Grand Prix | Formula 1®

「最後のアディショナルラップにはちょっと驚いたよ」みたいなコトを言っているので、てことはフェルスタッペンの判断ではないってコトですよね。そうなると、フェルスタッペンにしてみればチームからの指示でラストアタックを仕切り直すコトになって、挙げ句やり直しのラップの最後にピットに入れって言われたコトになり、だとしたらそりゃあキレるわ……。

ここ最近のレッドブル&フェルスタッペンは赤いチームとは違って完璧なレースしてるなーと思っていたんですが、なんか久々に大きな綻びが表れた感じがします。ゆうても、タイトル争いにはもはや大きな影響はないでしょうが。ただ、このシンガポールで確定する可能性は大幅に後退しましたね(もともとかなり厳しい条件でしたが)。

オーバーテイクが難しいとされるこのコース、フェルスタッペンもそれは口にしていますが、しかし彼ならば早いうちに表彰台圏内くらいまでは上がってくるだろう……と思ってしまうんですがどうなりますか。

上位陣が大接戦

フェルスタッペンがタイムを伸ばせなかったのに対し、今回ハミルトン好調でしたねえ。金曜日もFP1でトップタイム出したりしてましたが、予選でも3番手に食い込んできました。金曜にはまたバウンシングが激しくなっている、みたいなコメントもしていたと思いますが、チームもここに来てセットアップの勘所をかなり心得ている感じはします。まあもうシーズン終盤戦ではありますが。

にしても、予選トップ3が皆1:49.4というところまではタイムが同じっていうのは面白いですねえ。4番手のサインツも1:49.5なので、予選トップ4がほぼ同じタイムで並んでいるっていう。1周がこれだけ長いコースでこれだけタイムが接近しているっていうのはなかなか見られるものではないかなと。

ポールのルクレールは久しぶりの勝利にモチベーションは高い状態ですが、気になるのはタイヤのデグラデーションですよね。ピットレーンのロスタイムが大きいため1ストップが望ましいところですが、その場合ミディアム→ハードか、スタートの蹴り出し重視でソフト→ハードと繋ぐか。あるいは、2ストップとするか。タイヤに問題がないのであればルクレールがそのまま勝てるのかもしれませんが、もしフェラーリのタイヤがまた厳しい状況になるようであればペレスやハミルトンにチャンスが出てくるか……?

8番手スタートのフェルスタッペンが上位争いにどこまで絡んでこれるかというのも注目点ですが、レッドブルルクレールはFP2でセッティングの変更にかなりの時間を費やしていましたし、FP3はセッションの時間が半分になったりしたので、ロングランあまりやっていない感じするんですよね。そういう意味でも、決勝は結構不確定要素が多いようにも見えます。まあそのほうが観ている方は面白いんだけど。

決勝ももしかしたら雨が降るかも、っていう話もあるので、そうなったらますます状況が読みづらくなるでしょうね。シンガポールで雨となったら、セーフティカーのリスクも格段に高まるでしょうし(ドライでも出動する可能性は高いけど)。

そのほか

アルファタウリの2台が揃ってQ3進出できたのは素晴らしいですね。角田は初めてのシンガポールで、しかもフリー走行で十分走れていないのにちゃんと決めるべきところで決めてタイムが出せたのはかなりポジティブだったんじゃないでしょうか。ただ、シンガポールって長いレースになりがちなので、決勝のレースディスタンスをいかに生き残るかっていうのはまた難しかったりはしますが……鈴鹿に向けて、ポイントゲットを期待したいところ。

アルピーヌとマクラーレンの争いも気になるところですが、今回アロンソが5番手・ノリスが6番手、そしてリカルドが17番手でオコンが18番手と、エライ離れたポジションでそれぞれのドライバーが横並びになるという面白い状態になっております。しかしリカルドはとうとうスランプからの出口を見いだせないままだなあ……。アロンソはこういう難しいコンディションで俄然強さを見せるあたり、まだまだ余裕で現役続けられそうな感じですね。

今回ラッセルがQ3に進出できなかったのが意外でしたが、どうもブレーキに問題を抱えていたみたいですね。問題自体はハッキリしているようなので、決勝でどこまで巻き返してくるかも気になるところ。