決勝もスタート前に雨が降ってスタートディレイ、全体的に我慢のレースになっちゃった感じですね。そうでなくとも抜きにくいと言われるコース、そこに水たまりが出来ていればなおさら……という感じ。ただ、その中で終盤のペレスの走りはずば抜けたものでしたね。そんなワケで、F1シンガポールGP決勝のお話。
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また今回もフェラーリは勝てなかったワケですが
ルクレールがポールポジション、そしてフェルスタッペンが後方からのスタートという状況を考えれば、フェラーリにしてみてれば久しぶりの勝利を手にする絶好の機会だったハズなんですが、それでも勝てませんでしたね。レース後半、DRS解禁後にルクレールがペレスに接近してきたときにはルクレールが勝つかな、と思ったんですが、ルクレールがちょっとミスしてDRS圏内から外れたあと、ペレスがまだペースを持っていてルクレールを寄せ付けない走りを展開したのには驚きました。ルクレールにぴったり付かれていたときにはタイヤをロックアップさせるシーンが複数回あったので、かなり苦しいようにも見えたんですが……それでも崩れず、レース全体を通してペースを維持してみせたのはさすが。ペレス自身も、F1キャリアにおけるベストパフォーマンスだったと自画自賛してますね。
ペレスはセーフティカーランの間に2回に渡って10車身以上の間隔を開けたとしてレース後審議になっていましたが、結果として1回分のタイムペナルティを取られて結果に5秒プラス、ただルクレールとは7秒以上の差がついていたので優勝は確定、という形。もう一回分はお咎め無しとされたのはなんで?という話ですが、路面が濡れたコンディションが考慮されてのコトらしい。
ペレスの優勝が確定。SC規則に2回違反も、コンディションが考慮され5秒ペナルティにとどまる/F1第17戦 | F1 | autosport web
……これもしペレスとルクレールの差が5秒以内だった場合はどういう裁定になったんだろう?と考えちゃったりもしますが、まあいいや。ペレスは優勝にふさわしい走りをしましたしね。
ルクレールはレース前半のインター履いていたときでも、スタートやセーフティカー明けしばらくは食らいついていけるんだけど、そこから周回数を重ねていくとじりじり離されていく傾向があり、どうもやはりフェラーリのロングラン性能に足を引っ張られている感じはしました。サインツに至ってはまったく勝負に絡めなかったですね。特にインターで苦戦したと本人コメントしてますけど、ドライタイヤにスイッチしたあともペースは伸びなかったですね。
フェルスタッペンは単独で走れればフェラーリに余裕で追いつけるペースを持っていたと思うんですが、やはりこのコースだと苦戦してましたねえ。オープニングラップでかなり慎重に行ったものだから順位を落としましたが、そこからはじわじわポジションアップ。表彰台圏内くらいまでは戻れるか……と思いましたが、ノリスに仕掛けた際にタイヤをロックアップさせてしまい、タイヤもダメにしてしまったので一気に後退。しかもフェルスタッペンがピットから出てきたちょっと後にセーフティカーが出動するという間の悪さ。
フェルスタッペンのタイヤロックは濡れている路面のせいなのかな、と思いましたが、本人のコメントだと路面のバンプでマシンが底づきしてしまったためのようですね。まー全体的に運に恵まれないレースだったという感じ。最後の最後に再び追い上げて7位フィニッシュに持ち込みましたが、フェルスタッペンが表彰台に上れなかったレースってイギリスGP以来の今期4度目ってコトになりますね。まあここまで17戦やっての4回めなので、ふだんどれだけ安定してんだよって話なんですが。
これでフェルスタッペンとルクレール・ペレスのポイント差は縮まる形になったので、鈴鹿では余裕で決まると思っていたドライバーズタイトルはちょっとわからなくなってきました。具体的には、鈴鹿でルクレールに対して8ポイント、ペレスに対して6ポイントの差をつければタイトル確定になるんですが、8ポイントってコトはフェルスタッペンが優勝してファステストラップも取れればルクレールやペレスの順位を気にせず自力でタイトルを確定させるコトができる形。優勝はともかく、ファステストラップを狙おうと思うと難易度上がりますね。フェルスタッペンが今期優勝+ファステストラップを記録しているのは、エミリア・ロマーニャ、マイアミ、ベルギー、オランダの4戦。
あとは、フェルスタッペン1位・ペレス2位のレッドブル1–2フィニッシュであればこれもタイトル確定できますね。レッドブルファンやホンダファンにとっては一番望ましい形でしょうけども、さてどうなるか……。
あと、日本GPの週末なんか天気崩れそうなんですよねえ。できればドライで走って欲しいですが、今のところの予報だと金曜日と日曜日の降水確率が高め。これ現地観戦もちょっと骨が折れそうだな……。
炭鉱のカナリア状態だったラッセル
シンガポールの雨ってなかなかレアですが、一度雨が降ると湿度が高いせいもあってかなかなか乾かないんですね。レースが始まって多くのマシンが周回すればそれなりに乾いていくのかと思いきや、レース中盤までなかなかタイヤ交換の動きは起こらないまま。
最初に動いたのはピットスタートを選択して後方にいたラッセル、そしてソフトではなくミディアムにスイッチ。残りのレースディスタンスを考えてミディアムにしたんでしょうが、さすがにタイミングが早すぎてなかなかペースが上がらず。履き替えてから10周くらいはインターより遅いラップタイムでしたが、34周目に全体ベストを更新。これを合図に、他チームが続々とピットに押し寄せる格好になりました。ラッセルにしてみればポジションも後ろだったので失うもののないギャンブルとして早めの交換に出たんでしょうけど、他のチームにしてみればラッセルは実にありがたい存在だったでしょうねえ。
そして当のラッセルは入賞圏内近くまでポジションを上げたものの、ミックと接触してタイヤをダメにしてしまい、結局完走した中では最後尾という結果に。ラッセル自身レースの感触はポジティブだったようなのでそこは救いですが、なんだか気の毒な役回りではありました。
ラッセルのタイムを見てアルファタウリも2台共ピットに呼び込んでミディアムを履かせましたが、角田は履き替えて早々にクラッシュしてしまい、ガスリーは履き替える直前に7位を走っていたのに結果としては10位フィニッシュになってしまったりと、素早く動いたつもりが裏目にでてしまいました。まだウェットパッチが残っている中、換えたばかりのミディアムでは熱が入っているインターよりもタイムが伸びず、アンダーカットができる……というワケでもなかったんですよね。ラッセルの場合はもう十分に周回を重ねたタイヤだったワケで。
ルクレールもわずかな可能性に賭けてペレスより先にミディアムタイヤに履き替えましたが、まあ当然前に出るコトはできませんでした。まあ本当に判断が難しいレースだったと言えそうですね。もしラッセルがギャンブルに出ていなかったら、各チームどのように動いていたかっていうのもちょっと気にはなりますが。
そのほか
マクラーレンがどさくさに紛れて(?)4–5位でダブル入賞しているのは大きいですね。特にライバルのアルピーヌが全滅しているので。コンストラクターズでは22ポイントを上乗せして一気にアルピーヌとの順位をひっくり返してしまいました。特に予選で下位に沈んだリカルドのリカバリーがお見事でした。マクラーレンはラッセルのファステストを見たあともちょっと我慢してインターで走り続けた結果、セーフティカーが出動したもんだから一番オトクにタイヤを交換できたんですよね。スリックタイヤへの交換を急いだマシンがクラッシュする可能性を考えてステイアウトしていたのだとしたら、かなりの策士ですね(そしてまんまとやらかした角田……)。
完走台数14台というのは、サウジアラビア、イギリスと並んで今期最小ということになりますかね。鈴鹿ではもうちょっと落ち着いたレースになってくれれば良いなあと思いつつも、雨がなあ……気になるなあ……。