大須は萌えているか?

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F1[22] 日本GP 決勝

観ている側にとってもかなり大変なレースでした。そして予想の斜め上な結末にもビックリ。F1日本GP決勝のお話。

観ている方にとっても長いレースだった

近年の天気予報は直近のものであればかなり正確になっているのは皆の知るところですが、それでもなんかうまい具合に鈴鹿サーキットの辺だけ雨雲が避けてくれないかなーなんて淡い期待をしたりもしていた……けどダメでしたね。12時からのドライバーズパレードのときはまだ雨は降っていなかったんですが、それからすぐに雨がポツポツと。最初は弱めの降り方だったので、これならまあ……と思っていたら次第に雨脚が強まっていき、スタート進行が始まる頃にはれっきとしたウェットコンディションに。

コース上の雨量としては走行に差し支えがあるようなものではなく、実際最初のスタート時には皆インターミディエイトでスタートしたワケですが、200Rでサインツがクラッシュしたことでセーフティカー導入→赤旗という流れに。赤旗になったのは雨の量というよりはウォータースクリーンによる視界の悪化が懸念されてというコトだったんでしょうね。雨雲レーダーを見てみると当分雨雲が弱まる気配はなく、これは相当長引くのでは……と思いしばらく様子を見ていたら、14:50にレース再開というアナウンスが入り一安心。

ところが、直前になってレース再開が取り消され、再びひたすら待つ状態に。予報の段階では金曜よりは雨の量が少ないだろうと思っていたんですが、明らかに金曜より降ってましたね。おまけにだんだん風も強くなってきて、体感温度は結構寒かったです。再開の目処が立たないことから、客席を離れて出口の方へ向かう人もちらほら居ましたが、多くの人はじっとレース再開を待っていましたね。日本人ってこういうときホント辛抱強いよな……。

そんな状態の中、本来のスタート時刻から2時間以上が経過した16時過ぎになって、16:15からのレース再開がアナウンスされたときはサーキット全体が盛り上がってましたね。周回数的には本来の半分ちょいという形になりましたが、それでもレースが行われ、最後にチェッカーが振られてレースが終わったことに安堵しました。

え?チャンピオン決まったの?

レースの内容的には、まずはフェルスタッペンの圧巻の走りですよねえ。一番最初のスタート時にルクレールが前に出て、「マックスやられた!」と思ったらアウト側から被せるように抜き返し、赤旗からの再開後はやっぱりタイヤが苦しいルクレールを尻目に圧倒的なペースでレースを支配、完璧な勝利でした。まあホントに今のフェルスタッペンは手が付けられない。というか、フェラーリのデグラデーションの激しさはホントになんとかせんといかん。

F1分析日本GP編|ルクレールを苦しめた、激しいデグラデーション

そしてファイナルラップルクレールシケイン飛び出した、というのは場内アナウンスで聞こえてきたんですが、仮にそれでペレスが2位になったとしてもフルポイントレースじゃないからタイトル決定は次戦に持ち越し……と思っていたら、なんかレース後のジョニー・ハーバートによるトップ3インタビューの最中にフェルスタッペンのワールドチャンピオンが決まったよ、という一報が。ちょっと意味がわからんくて「は??」という状態だったんですが、まあなんだかわからんけどチャンピオン決まったのか、そりゃおめでとうと拍手したりはしてました。

んで、レース後にメディアの記事を見てみると

新しいポイントシステムに関するレギュレーションの文言(競技規則第6.5条)は、レースがフルディスタンスで行なわれなかった場合のすべてのケースをカバーしているわけではなかった。『決勝レースが中断され、再スタートができなかった場合』と限定されているのだ。つまり、レースが再開できずに終わったレースのみに適用されると解釈できる。

日本GPは、赤旗中断を含めて最大3時間とするレギュレーションによって、28周で終わったがレースは行なわれチェッカーも振られているため、FIAはこのレギュレーションの対象にはならないと判断。最終的に走行距離によってポイント付与が左右されることはなく、フェルスタッペンはフルポイントの25ポイントを獲得することになったわけだ。

via: フェルスタッペンの戴冠条件で混乱。レギュレーションの”エアポケット”が原因か?

……ってなんだそりゃ!

面白いのは、チーム関係者ですらチェッカー振られたあとにタイトルが決まったとは思っていなかったというところ。このレギュレーションの解釈はチーム関係者やメディア関係者にとってすら寝耳に水の話で、フェルスタッペン本人もしばらく困惑していたという有様。逆にいうと、このルールを厳格に解釈したFIAはこういう「抜け穴」があることを知っていた、というコトにもなりますが……。レギュレーションの意図からして、この抜け穴は完全に想定外のケースなのは明らかなんだから、それに気づいていたなら指摘して修正するなりすればいいのに……。それとも、FIA側もこれに気づいたのが決勝レースの最中だったりしたんですかね?

それならせめて、レース中に国際映像のテロップで「このままチェッカーまでレースが行われた場合、入賞者にはフルポイントが与えられるよ」っていう解説のテロップを出すとかできなかったんでしょうか。後からテレビ中継見てみたら、レース途中のポイント計算のテロップなんかは確かにフルポイントの前提で表示されてましたけど、なまじレギュレーションを知っている川井ちゃんなんかは「これは無視してください」とか言っちゃってたし。

なんらかの形で事前に通達というかレギュレーション解釈の周知があれば、こんな間抜けなタイトル決定の瞬間にはならなかったと思うんですが。おそらくこの抜け穴は来シーズンが始まる前には塞がれるコトになるんじゃないかと思うんですが、そもそもこのレギュレーションが発行されるきっかけになったのは昨年のベルギーGPが記録上1周でレース成立となってしまった反省からであり、そのレギュレーションの抜け穴によってスパ・フランコルシャンと友好協定を結んでいる鈴鹿サーキットでこうした事態が発生してしまった、というのは因果なものを感じます。

まあ今年のドライバーズタイトルはフェルスタッペン以外ありえない状態だったし、それなら鈴鹿で決めてもらいたいとは思っていたので結果そのものに文句を言うつもりは無いんですが、もう少しなんとかならんかったのか、と思わずにはいられません。

あと、シンガポールではペレスの裁定にレース終了後結構時間が掛かったのに対し、今回のルクレールの5秒ペナルティはすごい速さで裁定が下ったことにビノットさん怒っているみたいですね。

しかしビノット代表は、ルクレールに話を聞くことなく裁定を下したことについては「非常に苛立たしい」と語った。
「すぐに決断をするならば、シンガポールでは少なくとも5秒のタイム加算ペナルティがすぐに下されるべきだった」
そうビノットは言う。
「そうであれば、その時の状況を全く違う形で過ごすチャンスを得られたはずだ。勝利の可能性だってあったのだからね」

via: フェラーリ、F1日本GPでのルクレールへの”超速”ペナルティ決定に憤慨

シンガポールではペレスの行為がレース後審議になって、ドライバー本人へのヒアリングも行われたのに対し、今回はヒアリングもなしにサクッと決められてしまったという一貫性の無さに怒っているワケですね。まあ前回のペレスの件は情状酌量の余地があると考えられたためヒアリングまで行ったけど、今回のルクレールの飛び出しはヒアリングするまでもない、と判断されたってコトなんでしょうけど。しかしまー、このスピード裁定はフェルスタッペンのタイトルを確定させるために急いで出した、という印象はあるかな。

雨の鈴鹿の悲劇を繰り返さないために

現地で観戦してたときは全然気づかなかったんですが、赤旗が出たあとにコース上にまだマシンが走行していたにも関わらず、クラッシュしたサインツのマシン回収のためにトラクターが出動してコース上に入り、ガスリーのマシンとニアミスするというシーンがあったみたいですね。

ガスリー、コース上で遭遇した作業車に憤慨「ここで何が起きたのか分かっているのか!」関係者からも非難続々|F1日本GP

雨の鈴鹿でトラクターといえば、過去にジュール・ビアンキが死亡する原因となった事故が思い起こされるワケですが、それを思うとガスリーが激昂するのも理解できます。問題はなぜ、まだマシンがコース上を走行しているタイミングでトラクターが出てきていたのか、ですね。

サインツのクラッシュのあと、コース上に散乱した広告看板をガスリーが拾ってしまい、一度ピットインしているんですよね。なので、セーフティカーが入ったあとも隊列に追いついておらず、単独で後ろのほうを走っていた状態。なのでおそらくセーフティカーランの最中とはいえそれなりにスピードは出ていたと思われ、余計に危なかったでしょうね。セーフティカーの隊列に従っていたとしても、水煙の中からトラクターが表れたらビックリするでしょうし。

今はコース上のマシンの位置を正確にトラッキングできるワケですし、普通で考えたらそんなミスが起きるとは考えにくいんですけどね。まだコース上にマシンがいるけど、セーフティカーランの速度なんだから大丈夫やろ、と見切りで出してしまったのか……。雨量はそこまでではなかったとはいえ、あれだけ視界が悪い状態の中でのニアミスとなると、ビアンキと同様の事故が起きていても不思議ではないところでした。

FIAはこの件について詳細な調査を実施する構えのようなので、どういう結論が出るのか気になるところ。視界が良いドライコンディションならセーフティカーランの最中にクレーンでマシン回収するのはOKでしょうけど、雨でスピンする危険がある、視界も悪い、コース幅も狭いという状況下で同じ判断を下すのはどう考えても間違ってますからね。

An FIA spokesman said on Sunday night that a thorough review of the circumstances would now take place to see what lessons can be learned to ensure no repeat problems in the future.

A statement said: “While it is normal practice to recover cars under safety car and red flag conditions, due to the particular circumstances and also taking into account feedback from of a number of drivers, the FIA has launched a thorough review of the events involving the deployment of recovery vehicles during the Japanese Grand Prix.

“This is part of the common practice of debrief and analysis of all race incidents to ensure continual improvements of processes and procedures.”

via: FIA launches investigation into F1 Japanese GP tractor incident

そのほか

なんかいろいろ裁定まわりの疑問はあるものの、レース自体は観てて楽しめましたね。ウェットコンディションの中でも、ペレス vs ルクレール、オコンvs ハミルトンといった白熱したバトルも見られましたし。しかしメルセデスはストレートが遅い……。鈴鹿ラストランとなったベッテルが6位入賞&DRIVER OF THE DAYを獲得したのも良かったですね。最初のスタート直後にアロンソ接触してスピンしてしまったときにはどうなるかと思ったんですが、いち早くインターに切り替えてからのリカバリが見事でした。最後はアロンソバチバチにやり合って、前でフィニッシュしたのもお見事。F1辞めたあとも、ぜひ何かのイベントとかで鈴鹿に来てほしいものです。

角田は赤旗中断時点でポイント圏内に居たので期待が高まりましたが、残念ながらポイントには届かず。アルファタウリのマシン自体、そこまで戦闘力無かったですしねえ。アルファタウリは途中でピットインする作戦を取りましたが、結果的にはポジションを失っちゃいましたね。同じくタイヤ交換した周冠宇がファステストラップを記録したので、新しいタイヤを履いたほうが分があると考えたんでしょうけど、トラックポジション失うマイナスの方が大きかったですね。入賞圏内だとアロンソもタイヤ交換してますが、ポジション的にはトントンでしたし。戦略的には、ウェットでハーフディスタンスになったからこその難しさと面白さがあるレースでしたね。

現地観戦のもうちょっと詳細な感想なんかは、記事を改めて書いてみたいと思います。