ドライバーズタイトルが決まってしまったので一気に消化試合感が増してきましたが、一応まだコンストラクターズタイトルは決まってないんでしたね。北米・南米のレースはオンタイムで観るコトが難しいので、余計に気が抜けてしまうところもあるのですが……そんなワケでF1アメリカGP予選のお話。
- 予選結果: FORMULA 1 ARAMCO UNITED STATES GRAND PRIX 2022 - QUALIFYING
- 予選ダイジェスト: 2022 United States Grand Prix qualifying report and highlights: Sainz takes pole for the 2022 United States Grand Prix ahead of Verstappen | Formula 1®
意外な(?)ポールポジション
ポール争いは例によってルクレールとフェルスタッペンの争いになるのかな、と思っていたんですが、意外なコトにポールを奪ったのはサインツ。繰り上がりとなったベルギーを別にすれば、イギリスGP以来のポールってコトになりました。それに、COTAでフェラーリがポールを獲ったのってコレが初めてなんですねえ。ルクレールが2番手に続いてフェラーリが1–2となりましたが、ルクレールはPUのエレメント交換で10グリッドダウンが決定済み。2列めに並んでいるレッドブルの2台のうちペレスも5グリッドダウンが決まっているので、フロントロウはサインツとフェルスタッペン、2列目にはハミルトンとラッセルというメルセデスの2台が並ぶことになります。
フェラーリはこのレースでレッドブルに対して19点以上多くポイントを獲得できなければ、レッドブルのコンストラクターズタイトルが決まるというコトなので、まあよほどの番狂わせが無ければここで決まるだろう……という情勢ですが、予選前にレッドブルの共同創設者であるディートリッヒ・マテシッツが亡くなったというコトが発表されており、レッドブルとしては「勝ちたい」レースでしょうね。
決勝レースはタイヤマネジメントも重要なファクターになるであろうコトを考えると、フェラーリがそのポジションを難なくキープできるとはちょっと思えず、そう考えるとレッドブルのが有利なんじゃないのかなあ、なんて思ったりしてしまいます。
全体的にメルセデスPU勢が好調に見える
今回アップデートを投入したというメルセデスは感触としては悪くないようで、COTAを得意とするハミルトンがトップ2チームに肉薄するのでは……と思われたりもしていましたが、残念ながらそこまでは届かず。相変わらずの「3番めのチーム」ポジションですが、スタート位置としては2列めになるので、ここからどこまで順位を守っていけるのかは気になるところ。
それから今回アストンマーチンも良いんですよねー。ストロールがノリスより前の7番手タイムをマーク、決勝のスタート位置は5番手。12番手のベッテルも繰り上がりで10番手スタートとなるので、2台揃ってトップ10スタートというコトになります。繰り上がり込みでアストンマーチンが2台揃ってトップ10スタートとなるのはベルギーGP以来の今季2度目ってことになるかと思います。予選ではパッとしない印象が強いアストンマーチンですが、決勝では割とコンスタントに入賞を果たしており、チームとしてノーポイントで終わったレースって今まで18戦やってきた中で6戦だけ。なので今回も決勝はダブル入賞が期待できる……かもしれない。
今回ウィリアムズのアルボンも11番手タイムで決勝は8番手スタートとなる見込みなので、なにげにスタート位置トップ10のうち6台がメルセデスPU勢というコトになります。ていうかアルボンもスゴイですねえ。まあラティフィが最後尾に沈んでいるのは仕方ない(?)としても、リカルドも復調のきっかけが掴めないままなのは辛いところですね。来年は浪人生活になるコトがほぼ確定的ですが、調子が上向かないままシーズンを終えてしまうと復活のチャンスも狭くなってしまわないかちょっと心配。
日本GPでの問題の調査結果
そういや、日本GPで問題視された雨の中でのガスリーと回収車両のニアミス問題についてFIAが調査結果を発表してましたね。
F1日本GPで発生したインシデントに関する手順の見直しを実施。サインツ車回収のための車両導入は"早すぎた"と結論 | F1 | autosport web
SCに追いつくために規定以上の速度を出していたガスリーにはすでにペナルティが課せられていますが、回収車両を投入するタイミングの判断についても適切なタイミングでは無かったことを認める形になってますね。また、アメリカGP以降で即時実施される対策として、今まで交代制としてきたレースディレクターの2人体制を改めて1人にすると発表されていますが、つまり日本GPを担当していたエドワルド・フレイタスはこれにてお役御免というコトになったようで、コレも一種の更迭人事なのでは?という気がしないでもありません。
昨年の最終戦で紛糾した件を経てマイケル・マシを更迭し、レースディレクターの負担を軽減するために導入されたはずの2人体制も頓挫してしまうという有様を見るに、なかなかF1の混乱は収まりませんねえ。フジテレビの中継の中で、元ホンダの山本さんが個人的意見としながら「マイケル・マシを呼び戻したほうが良い」みたいなコトを言っており、レースディレクターという職責の難しさを考えずにはおれません。20年以上レースディレクターを務めていたチャーリー・ホワイティングってホント凄い人だったんだな……。
また、回収車をコース上に出すときはFIAからチームにそれを通知し、チームからドライバーに対して伝達するコトも義務化するみたいですね。今年のレースコントロールはそうした情報を通知していなかった、という話は川井ちゃんが指摘していた問題でもありました。
これらの即効性のある対策に加えて、タイヤやサーキットの排水性能やコース脇の看板についても検証していくとのコトなので、現状ひとまずは満足のいく結論となっているんじゃないでしょうか。レースの3時間ルールやポイント配分に関するレギュレーション解釈のあいまいさも是正される見込みみたいなので、おそらく来年以降は日本GPのような珍妙な事態は起こらなくなるのでしょう。もしチャンピオンシップがもっと白熱している状態であんな解釈論争が起きちゃったら、もっと収集がつかない事態になっていたでしょうしね。
あとは2023年以降のレースディレクターはニールス・ヴィティヒが1人でやる、という体制がそのまま継続していくことになるんですかね?