なんか思いのほか見ごたえのあるレースでした。個人的にはハミルトンに逃げ切ってほしかったですが、まあ今年のレッドブルには敵わないね……そんなワケで、F1アメリカGP決勝のお話。
- 決勝結果: FORMULA 1 ARAMCO UNITED STATES GRAND PRIX 2022 - RACE RESULT
- 決勝ダイジェスト: Verstappen beats Hamilton to United States GP victory as Red Bull secure an emotional constructors’ title win | Formula 1®
- 決勝後各チームコメント: What the teams said - Race day at the 2022 United States Grand Prix | Formula 1®
やっぱりレッドブルは強かった
コンストラクターズタイトル決定自体はほぼ確実な情勢だったとはいえ、ディートリッヒ・マテシッツの訃報を受けてレッドブルとしては是が非でも勝ってタイトルを決めたいレースだったのは間違いなかったところでしょう。しかしフェルスタッペンがスタートダッシュを決めてトップに躍り出たのは良かったですが、強風の影響でなかなかペースが上がらなかったり、ピットのミスでタイムをかなり失ってしまったりと一筋縄ではいかない展開となりました。それでも最終的にはきっちり勝ってコンストラクターズタイトルを決めてみせたんだから、まあ今シーズンのレッドブル+フェルスタッペンのコンビネーションは強いとしか言いようがありません。
今回はハミルトンもかなり食い下がってみせたので、フェルスタッペンがピットのロスで順位を下げたときには「これはハミルトンの勝利の可能性あるかも?」なんて思ったんですが、最後ミディアム履いたフェルスタッペンのペースには太刀打ちできなかったですね。とはいえ、最終的にフェルスタッペンの5秒後ろでフィニッシュできたのはポジティブな結果だったとも言えます。フェルスタッペンを追いかけるハミルトンがトラックリミット違反を指摘しまくっていたのも微笑ましかったですが(?)。ハミルトン自身にも黒白旗の警告が出ていたのもご愛嬌。
これでフェルスタッペンはシーズン13勝目となり、ミハエルとベッテルの年間勝利数記録に並んだワケですが、この勢いなら14勝目を挙げるのも間違いなさそうな感じしますね。メキシコではペレスに勝ってほしい気はしますが。今年ここまでフェルスタッペンが圧倒的な勝ち方をするなんてシーズン序盤に想像できた人は居なかったんじゃないかと思いますが、この勢いが来年以降も続いていくのか気になるところですね。ベッテル時代のようなレッドブル黄金時代になってしまうと、それはそれでアレなんですが。……しかし、今思うと4連覇を達成したベッテルがその後はタイトルを獲れないまま引退するなんて思いもよらなかったので、ホントF1はなにが起きるかわかりません。
目立てなかったフェラーリ
アメリカにはフェラーリファンがかなり多いようですが、今回のレースあまり存在感を発揮できなかった感じでしたね。サインツが鈴鹿に続いてオープニングラップでレースを失ってしまったのが痛すぎる。その後フェルスタッペンがやや苦戦していたコトを思うと、もしサインツがフェルスタッペンの後ろでレース出来ていれば勝機もあったかもしれないのに。
そういやサインツって今シーズンの序盤にも2戦連続でオープニングラップあたりでレース失ってたよな、と振り返ってみると、オーストラリアとエミリア・ロマーニャがそうでしたね。まあ全部が全部サインツのせいというワケでは無いものの、シーズンで4回スタート直後にレースを失っているというのはトップチームとしては辛いですよね。さすがにフェラーリがコンストラクターズ2位の座を失うコトは無いでしょうけど、ドライバーズランキングだとサインツは現在ラッセルの後ろの5位となっており、6位のハミルトンとは4ポイント差。今回ラッセルにぶつけられたコトでレースを失ったサインツとしては苛立たしい状況な気もしますが、この辺の争いもどうなるやら……。
ルクレールはグリッドダウンペナルティがあったコトを考えると表彰台圏内まで追い上げたのは上々と言えますが、比較的オーバーテイクがしやすいハズのCOTAでのレースだったコトを思うともっと上まで行きたかった、という感じでしょうね。ルクレールとフェルスタッペンの立場が逆だったとしたら、フェルスタッペン勝ててたんじゃないかって気もしちゃいますし。今回もルクレールはタイヤのデグラデーションに苦しめられたとコメントしており、フェラーリはこの問題に後半戦ずっと悩まされ続けている感じ。来年までになんとかなるんでしょうか。
今回のようにレッドブル・メルセデス・フェラーリで表彰台を分け合うような展開のレースは面白いと思いますし、来年はコンスタントにそういう状態になれば良いなあと思うんですが。
アルピーヌのペナルティを巡るゴタゴタ
アロンソがストロールに追突して空を飛びかけたクラッシュはヒヤッとしましたが、ストロールはそのままリタイヤしたのにアロンソはピットに入ってレースに復帰、挙げ句7位フィニッシュまでしてしまうというのはどういうコトなんでしょうか。レース後ペナルティが課されてポイント圏外になっちゃったけど。アルピーヌのマシンって頑丈にできているんですねえ……。
アロンソのペナルティはマシンの右サイドミラーがクラッシュの影響でグラついており、その後走行中にちぎれ飛んだコトに対してハースが抗議(マグヌッセンは散々オレンジボールを出されているので)、これが受け入れられてペナルティが決定されたもの……なんですが、この決定に対してアルピーヌ側も抗議をしているようで。
アルピーヌ、アロンソへのペナルティに異議申し立て。ハースF1の抗議は”そもそも”無効と主張
つまり、ハースはレース中にもアロンソのサイドミラーがダメージを負っているコトをレースコントロールに指摘していたにも関わらず、結局その訴えはスルーされていたワケですね。さらに、レース後抗議できる期限を過ぎてからハースが改めて抗議をしたコトでペナルティが決まったことから、アルピーヌとしてはこのペナルティは無効、と主張していると。レース中、アロンソのサイドミラーがグラついていることはオンボードカメラの映像からもはっきり確認できましたし、私も映像を見て気になっていたんですが、そもそもレースコントロールはレース中になんでこれをスルーしていたのか、というのが気になるところですね。マグヌッセンがウイングのエンドプレートを壊したときなんかはすかさずオレンジボール出していたのにね。
この件もFIA側の判断のばらつき具合を示す問題になりそうな気配をはらんでいますが、まあなんかFIAとしても来年に向けて課題山積みって感じですねえ。まあ、アロンソのペナルティが据え置かれたほうが角田の順位が1つ上がるので、日本目線から言うとそちらのほうが嬉しいですが……(?)。
そのほか
角田はギヤボックス交換ペナルティもあってほぼ最後尾スタートだったので、入賞圏内まで上げて来られたのはちょっとビックリ。最終スティントのハードタイヤではペースが伸びずに観ているほうとしてももどかしい感じでしたが、なんとか入賞できて良かった良かった。ガスリーの後ろでつっかえたときには、なんで角田を前に出さなかったのか不思議で仕方なかったんですが。そのとき角田とポジションを争っていたノリスは最終スティントで面白いように順位上げてましたね。ハードで苦しんでいた角田とは対照的。
ベッテルは今回もDRIVER OF THE DAYを獲得していますが、特に最後のマグヌッセンとのバトルは良かったですねえ。なんかシーズンが終わりに近づくに連れ、ベッテル自身の闘争心に火がついているようにも見えます。ベッテルはこれで今季初の3戦連続入賞。しかし、バトルしていたマグヌッセンもベッテルを称賛するコメントしているのがまた良いですね。
Of course, I’m gutted to lose a position to Sebastian. I have to say it was some driving from him, that’s when you realize why he’s a four-time World Champion.
via: Kevin Magnussen : What the teams said - Race day at the 2022 United States Grand Prix | Formula 1®
これならまだベッテル全然現役でやれるじゃん、なんて思ってしまったりもするんですが、おそらくコレって残りのレース数が限られているからこそのパフォーマンスなんだろうなあ、とも思います。ベッテルって、チーム全体が自分をもり立ててくれていて、自身の気持ちにも火がついているときには素晴らしいパフォーマンスを出せるんだけど、そこにわずかでも疑念が差し挟まると露骨に結果に響くタイプな気がしますね。