大須は萌えているか?

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F1[23] モナコGP 予選

かなりの接戦が展開されて、最後まで目が離せないメチャクチャ面白いセッションでしたね。F1モナコGP予選のお話。

アロンソとフェルスタッペンのバチバチバトル

そもそもモナコは著しく特殊なサーキットであり、コース幅が極めて狭い上に1周が短いこともあってわずかなミスも許容されず、マシンの性能よりもドライバーの力量が問われやすい場所であるとも言えますが、それゆえに思わぬ展開があったりもしますね。決勝ではピット戦術以外でのオーバーテイクは不可能に近いため、各チームとも予選に並々ならぬ力を入れてくるというのもありますし。今回は、そんなモナコの予選の魅力が凝縮されたような内容でした。

今回の予選を一番盛り上げてくれたのは間違いなくアロンソとフェルスタッペンの2人。アロンソモナコではアストンマーチンにも勝つチャンスがあることを良く承知しており、逆に言うとこれを逃すと今年中に勝利を挙げることは困難であることもわかっているワケですよね。なので予選での集中力は並々ならぬ物があり、Q3最後のアタックで暫定ポールタイムを叩き出したときの走りはホントにシビレました。追いかけるフェルスタッペンはセクター2の段階で0.2秒遅れており、これはアロンソのポール確定か……と思ったら、セクター3でこのタイム差をひっくり返すという鬼神の走りでっポール奪取に成功。最終コーナーを立ち上がったあともタイヤを軽くウォールにこすりつけるようにして走り抜けていく様は、ホントF1ドライバーってとんでもねえな、と。

チャンピオンシップの直接的なライバルであるペレスが早々にクラッシュしてしまい、最後尾スタートが確定的だったことを考えるとフェルスタッペンが無理する必要は全然なかったと思うんですが、彼はとにかくトップしか見ていないんですよねえ……。今までモナコでポールを獲ったことが無かったというのも、彼の闘争心に火をつけたでしょうか。フェルスタッペンとアロンソの差は0.084秒という、今季最も少ないタイム差。アロンソにしてみれば悔しさの残るセッションになったかと思いますが、しかしアロンソもまだ決勝でフェルスタッペンを出し抜く方策を考えているところでしょうね。モナコの決勝レースは得てして退屈な展開になりがちですが、アロンソがフェルスタッペンに食らいついてくれれば、思いの外面白い展開になるのかも。

アテが外れてしまったドライバーと、予想外に良かったドライバー

一方で、レッドブルアストンマーチンのもう片方、ペレスとストロールにしてみたら大いにアテが外れてしまった予選でしたね。ペレスが早々にクラッシュして姿を消してしまったのはさすがにビックリでしたが、クリスチャン・ホーナーが指摘するようにピットアウトしてきたアルピーヌに気を取られたりしてしまったんでしょうか。チャンピオンシップを考えるとかなり手痛いミスになってしまいましたが、ペレスとしてはここからなんとかポイント圏内を目指すレースになりますね。2018年のモナコでフェルスタッペンが最後尾スタートから9位入賞を果たしていますが、ペレスとしてはこれの再現を狙うことが目標になるでしょうか。

トロールはなにか大きなミスをしたワケでもないですが、Q2で14番手に終わりノックアウト。アストンマーチンのパフォーマンスを考えたら明らかに物足りない結果ですが、マイク・クラックのコメントによると

Lance had the pace to graduate into Q3. But a combination of factors – traffic, debris on the track, a delay at the weighbridge – meant he didn’t get a clean Q2. In particular, he ran over a large piece of debris at the exit of Tabac, which damaged his floor and affected grip in the final sector.

via: Mike Krack : What the teams said - Final practice and qualifying at the 2023 Monaco Grand Prix | Formula 1®

……とまあ、なんかいろいろあってダメだったみたいです。各車のタイム差が接近しているがゆえに、ちょっとしたマイナス要因が大きな差になっちゃうのはモナコあるあるですね。

逆に思いの外速くてビックリしたのがアルピーヌ、とりわけオコンですよねえ。一時的に暫定ポールタイムを叩き出し、結果的にも4番手タイム、そしてルクレールがグリッドダウンペナルティを食らってしまったので決勝は3番手スタートってコトになります。去年は同じく3番手スタートだったペレスが優勝していることを考えると、オコンもモナコウィナーになる可能性が……あるんだろうか?

あとは何と言っても角田。金曜日の段階では本人もそこまで自身のある感じではありませんでしたが、土曜日になってマシンのセットアップがいい方向に向かったようで、予選ではQ1を2番手タイムで通過、その勢いでQ2も突破してQ3進出してしまったのだから素晴らしい。Q2では最初のアタック中にブレーキングをミスってタイヤをダメにしてしまったので、Q3は難しいか……と思ったんですが、そのあと冷静にラップをまとめて結果に繋げたあたり、今年の角田の強さを感じます。予選順位が大きくモノを言うモナコだけに、このまま決勝もポイントにつなげてほしいところ。

アルファタウリはデ・フリースも今季ベストグリッドの12番手を獲得していますし、モナコでのパフォーマンスは上々と言えますね。まあモナコで速いからといって、バルセロナ以降も速い保証はないんですが……。

そのほか

フェラーリルクレールはポール争いに加わってくるかと思ったんですが、アロンソと僅差の3番手止まり。しかも、予選の最中にノリスのアタックを妨害したとのことで3グリッドダウンペナルティを課されてしまいました。これ、ルクレール自身というより、チームが無線でアラートを出すのが遅れてしまったという感じなので、ルクレールにしてみれば気の毒としか言いようがないですが。

今回、とうとう「ゼロポッド」コンセプトを見直してきたメルセデス、フロントサスも新しくしてドライバーの感触も悪くないようですが、予選結果としてはあんまし変わらないかな、という感じ。ハミルトンはFP3でミラボーのところでクラッシュしたり、予選も最初なかなかタイムが伸びずにヒヤヒヤしましたが。ハミルトンはアップデートされたマシンを"A son of a gun"と評しているみたいですが、手懐けるのに骨が折れるやんちゃ者、みたいな感じでしょうか。

‘This car is a son of a gun’ - Hamilton reflects on ‘tough’ qualifying in Monaco with P6 finish | Formula 1®

雰囲気的には優勝争いするのはフェルスタッペンとアロンソってことになりそうですが、ただルクレールが匂わせていたように雨がふるようなコトがあれば一気に状況が変わることもあるので、さてどうなるか。

そういや、毎度モナコと同じ週末に開催されるインディ500も、今年は佐藤琢磨がチップ・ガナッシから出走するということでどういう結果になるのかちょっと楽しみですね。さすがにこれはリアルタイムで見たりはしませんが。