大須は萌えているか?

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F1[23] オーストリアGP 予選&スプリント

今季2度目のスプリントフォーマット、今回は天候の変化もあったりしてなかなか面白い展開でしたねえ。そんなワケで、F1オーストリアGP予選・スプリントのお話。

予選

もはやレッドブルリンクの風物詩と言っても良いのかもしれませんが、トラックリミット違反祭りが開催されておりましたね。

タイム抹消は通算47周。数字で見る34回のトラックリミット違反/F1第10戦オーストリアGP予選 | F1 | autosport web

まートラックリミット違反が頻発することにより、ある種の意外性というか番狂わせが生じることもあり、それはそれでひとつのスパイスとして楽しめば良いのではないかとは思うのですが、しかしあんまりにも頻度が高いとタイムが更新されたあとも、そのタイムが消えるかどうかをしばらく見守らないといけないのが少々煩わしかったりもします。

そもそもなんでここまでトラックリミット違反が頻発するかといえば、このサーキットのターン9とターン10が極力スピードを維持しながら通過しないとタイムに響くレイアウトになっており、かつこのサーキットが短いもんだからちょっとしたタイム差でも順位に影響しやすいもんだから、そこのリスクとリターンの見極めがとっても難しい、というコトなんでしょう。

それにしても、ペレスはさすがにもうちょっと落ち着いて行けばいいのに……と思わずにはいられませんでしたが。

フェルスタッペンも複数回のトラックリミット違反をしており、最後の2つのコーナーをどこまで踏んでいくかというバランスに苦慮していたようにも見えますが、それでもきっちりポールを取るのはさすが。フェラーリがあとわずかなところに肉薄しており、なんかチームとしていい雰囲気に戻りつつありますね。問題はロングランでどれくらいのペースを維持できるかという点ですが、そこは土曜日のスプリントである程度の答えが出るんでしょう。

あとマクラーレンも好調でしたねえ。もうちょっと展開が味方していれば、2台揃ってのQ3進出も達成できていたでしょうし。ただマクラーレンは予選の好調さが決勝の順位に結び付けられていない感じもあるので、こちらもレースでどこまで行けるかっていう感じでしょうか。

メルセデスはなんだか消化不良の予選という感じでしたが、路面温度が低めだったのも災いしましたかねえ。その分レースで巻き返しができると良いんですが。

スプリントシュートアウト

セッション前に雨が降っており、ウェット宣言が出されていたもののセッション開始時にはレコードライン上は概ね乾いており、ドライタイヤでのアタックとなりましたね。状況的にはソフトタイヤ一択なのかな、と思いましたが、SQ1でフェルスタッペンやマグヌッセンがミディアムを使っていたり、SQ3でもヒュルケンベルグとかがミディアム使っていたのが気になりました。

SQ1みたいに周回を重ねるごとにどんどんコンディションが良くなっていく状況では、あえてミディアム履いてコースにとどまり続けるというのも一案なのかな、とは思うんですが、SQ3とかでの使い方見てるとミディアムのがタイム出そうだから履いている、という感じでしたしね。確かSQ1でもラッセルが最初ソフトで出て、あとからミディアムに履き替えたりもしていたし。

SQ1ではセッション前半ではアルファタウリもポンポンとタイムを出せていたので期待していたんですが、路面コンディションが改善されていくに連れて相対的にパフォーマンスが落ちていってしまいましたね。路面が完全に乾いちゃうと駄目らしい。逆にフェラーリルクレールはこうしたコンディションがどうも上手くハマらないみたいで、ポンとタイムが出せずに苦労している感じでしたね。結果的に、サインツにも負けてましたし。

SQ1はどんどん路面が良くなっていく状況だったので、あとからあとからタイムが更新されていく状況、つまりアタックするタイミング次第でタイムがかなり変わる上にトラフィックの影響も無視できず、運の要素も絡むセッションとなりハミルトンが早々にノックアウトされてしまうという番狂わせも発生。ルクレールもめちゃ際どいラインでした。こういうときの最終コーナー手前の渋滞は毎度見ていてヒヤヒヤするんですが。

セッション通して好調だったのはハースで、特にヒュルケンベルグは4番手を獲得。路面が冷えている状態ではハースのマシン特性がプラスに働くし、ヒュルケンベルグはこういう微妙なコンディション得意なので上手くハマった感じなんでしょうね。なんかハースのクルマって「局地戦仕様」みたいな感じになっているな……。

スプリントレース

スタート直後から2台のレッドブルバチバチにやり合う展開となったので、「同士討ちクル?」と一瞬ワクワクしてしまった(失礼)んですが、フェルスタッペン落ち着いてペレスを抜き去っていきました。レース後、ヘルメットを脱いだ後に状況を説明し合う二人の姿をカメラが捉えておりましたが、フェルスタッペンの表情はいつも通りというか、冷静ですよね。とても余裕がある。ペレスもちょっと険しい表情には見えましたが、お互いわだかまりがあるような状態では無いんでしょう。

ペレスはフェルスタッペンとやり合っている間にヒュルケンベルグに前に出られてしまい、それを攻略するのに時間がかかってしまったため、結果的にフェルスタッペンを追撃するどころの話では無くなってしまいました。ヒュルケンベルグが間に居なかった場合、ペレスがどこまでフェルスタッペンを追い詰められていたかは気になるところですが、それでもやっぱりフェルスタッペンが余裕をもって勝っていたんじゃないかな、という気はしてしまいます。

レースの展開的にはインターミディエイトで始まり、レース途中でドライのが有利になっていく形になり、どちらのタイヤを選択するかの判断が分かれたことで面白い展開になりましたね。周回数が短いだけに、タイヤを履き替えることによるロスをどこまで挽回できるのやら……と思いましたが、レース終盤にドライタイヤ勢がみるみるペースを上げてきて、ラスト数周でダイナミックな順位変動があったのが見どころでした。

ドライタイヤにいち早くスイッチしたのがラッセルでしたが、履き替えた直後に一度最後尾まで転落して、そこから8位入賞ですからね。ラッセルが履き替えたのが16周目、交換したあとにノリスやオコンとの差は25秒くらい離れていたんですが、最終的にはノリスの前、オコンとは0.009秒差での8位入賞。8周で25秒差を埋めたことになります。

2番手走行していたものの5番手までズルズル順位を下げていたヒュルケンベルグは18周目にピットインしてミディアムタイヤに交換。ポイント圏内のトラックポジションを捨ててまで交換する価値あるか……?とも思ったんですが、このときインターでのタイムがかなり悪化しており、どのみちこのまま引っ張ったのではポイント圏内を維持するのは難しい、加えて先行してタイヤ交換していたラッセルのタイムも悪くなかったので、そっちに賭けたんでしょうね。

ヒュルケンベルグはいったん12番手までポジションを下げますが、前を行く数台もピットに入ったことですぐに9番手までポジションを回復。21周目には前を行くオコンやアロンソよりも3.5秒速いラップタイムを記録、その翌周には4秒以上速いタイムと、みるみるうちに前とのギャップを縮めることに成功。最終的には5位アロンソの1秒後方まで詰め寄っていたので、あと1周あれば4位は確実でしたね。ソフトタイヤを履いていたラッセルはヒュルケンベルグよりもさらに速いタイムで走っていたので、オコンを攻略しきれなかったのは残念。

ただ、スリックに履き替えた皆が上手くいっていたかというとそうでもないようで、マグヌッセンなんかはヒュルケンベルグと同じくミディアムタイヤに交換したものの、タイムがそこまで伸びずに14位で終了。フェラーリルクレールも9番手走行中の19周目にミディアムに交換していますが、なかなかタイヤがワーキングレンジに入らなかったのか、タイムを伸ばし切ることができずに12位フィニッシュで終わってますね。

結局このへんは周回数が少ないこともあって、タイヤを履き替えてすぐにグリップを引き出せるクルマかどうか、という点が大きかったということなんでしょうね。その点では、同じハースでもヒュルケンベルグとマグヌッセンに結構な差が生まれてしまったり、メルセデスラッセルが上手くタイヤのグリップを引き出して見せていたのが意外っちゃ意外だったりもしました。このへんはドライビングスタイルなどの問題もあったりするのかな……。

そうした目まぐるしい展開があった中、一人インターのままトップを悠々と守っていたフェルスタッペンはもはや別カテゴリーとっていも良いでしょう。相変わらず安定感がすごすぎる。