大須は萌えているか?

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iPhoneは設計が間違ってる、もしくは情弱が使っちゃいけないモノらしい

敢えてちょっと揚げ足取りっぽい話。

先日、ニューヨーク・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートの最中にiPhoneのアラーム音が鳴り響き、指揮者が演奏を中断したというニュースが話題になってました。

CNN.co.jp:NYフィルの公演中に携帯の着信音、指揮者が演奏中断

上記の記事にはiPhoneであるとは書かれていませんが、後に持ち主が指揮者に謝罪したことで、持ち主は60歳過ぎの男性で、iPhoneを使い始めたばかりであり、マナーモードに設定していたもののアラームが鳴り響いてしまったなどというコトが判明。

鳴り止まぬiPhone NYフィル演奏妨害に男性平謝り、2日間眠れず - MSN産経ニュース

この記事の元になったと思われるのが以下のニューヨークタイムズの記事。

Ringing Finally Ended, but There’s No Button to Stop Shame - NYTimes.com

んで、これらのニュースを元に書かれたこんな記事がありました。

iPhoneに買い換えたばかりの老紳士は「2日間眠れなかった」とニューヨークタイムズ紙に答えていて、サイレントモードにもしていたそうです。それでもアラーム・クロックは作動して鳴る仕組みにしていたアップルの設計思想に間違いありです。

via: アップルの設計思想が間違い:NYの演奏中断事件(団藤保晴) - BLOGOS(ブロゴス)

サイレントモードでも音が鳴るようにしたAppleの設計思想がダメというお話。そうきたか。

個人的にはiPhoneのアラームの設計はダメでもなんでもなくて、なんせ日頃基本的にサイレントモードにしてて目覚まし代わりにアラームを使っているので、サイレントでアラームまで鳴らなくなっちゃうと目覚ましとして役に立たなくなるのです。

あと、iPhoneのアラームって設定ごとにサウンドを選べるようになってて、サウンド「なし」ってのも選べるんです。ちなみに「なし」にしとくとバイブも無しになります。画面にダイアログが出るだけ。

これを見ると、アラームで何らかのサウンドを設定しているというコトは、その時間になったら音を鳴らすコトをユーザーが明示的に設定しているとも言えるワケで、そう考えるとサイレントモードだからといって音を鳴らさないのはむしろおかしいのではないか、と思うワケです。

なのでiPhoneのアラームってかなり気が利いている機能だと思っていて、これを「設計思想に間違い」とか言われるのはちょっとなぁ、と。

ついでに以下の部分。

ブラックベリーからiPhoneに買い換えた直後で、妻がアラームをセットしたことも知らなかったそうです。鳴っているのが自分の携帯電話であることにも指揮者に言われるまで気付かなかったといいます。何と言っても、サイレントモードにしてある安心を裏切った設計の方が絶対に悪いと思えます。ジョブズが生きていたら何と言うでしょうか。

via: アップルの設計思想が間違い:NYの演奏中断事件(団藤保晴) - BLOGOS(ブロゴス)

「妻がアラームをセットした」とあるのですが、元のニュース記事にそんなコト書かれてましたっけ?あるとしたらニューヨークタイムズの以下の部分かなと思うんですが、

“I didn’t even know phones came with alarms,” the man said.

But as Mr. Gilbert was glaring in his direction, he fiddled with the phone as others around him did, just to be sure, pressing buttons. That was when the sound stopped. It was only in the car going home that his wife checked the settings on his phone and found that the alarm had been set.

via: Ringing Finally Ended, but There’s No Button to Stop Shame - NYTimes.com

これって、「妻がアラームをセットした」じゃなくて、コンサート帰りの車中で妻が男性のiPhoneの設定をチェックしたところ、アラームがセットされていたのを見つけた、って話じゃないのかな?(中学生レベルの英語力なんで、間違ってたらツッコんでください)

あと、「ジョブズが生きていたら何と言うでしょうか」つっても、iPhoneのアラームの仕様はジョブズが第一線にいたころから変わってないと思うんで、たぶんジョブズが生きていても「アラームとはこういうものだ。必要ならアラームの音も消すことができる」とか言うんじゃないすかね。

結局のところ、男性がいつのまにかアラームをセットしてしまっていたコトに気付かず、さらにコンサート会場で電源をオフにするコトもしなかったという二重のミスによるものという話なんでしょう。ひょっとしたら電源をオフにする方法もよくわかってなかったのかも知れません。

……ただね。その一方で、このBLOGOSの記事のコメント欄も少々香ばしい感じにはなっていて、『使い方をわからないような情弱は「ハイテクツールは持つな」ということだろう』とか、『使い手のスキルが低い』なんてコメントも寄せられています。

でもまー、Apple直感的に使える、洗練されたインターフェイスとかってアピールしてるし、iPhoneiPadがリリースされたときには「小さな子供でも直感的に使える!」みたいな紹介記事が踊ってたりしたコトを考えると、なんだろうこの落差は、という気がしないでもありません。

「情弱」には使いこなせないようなデバイスであるならばあんまし「直感的」なんてPRするのもアレですし、しかしすでに広い世代に使われているデバイスでもあるので、もうすこしわかりやすい説明書を用意するべきなのかもしれません。初心者にとって、電源の切り方がわかりにくい、あるいはサイレントモードにするとアラーム音も鳴らないと誤解しやすいのは事実だと思いますし。

コメント欄には

あと自分の知識のなさをひけらかすために「iPhoneには説明書がない」と書いてる人もいますがちゃんと電源のON/OFFから説明している”薄っぺらい説明書”がついてます。Appleのサイトにもありますし1分で読み通せるのでぜひ一度見てくださいね。”老紳士”とやらはこんなものすら読んでないってことですよ。

via: アップルの設計思想が間違い:NYの演奏中断事件(団藤保晴) - BLOGOS(ブロゴス)

てな書き込みも寄せられていますが、

いやコレ60過ぎの人が1分で読むのは厳しいんじゃないかな……裏面もあるねんで……私も1分なんてむり……。あ、画像は手持ちのiPhone4のものですけど、引用元でPDFリンクが貼られている4Sでもボリューム的には似たようなモノ。

それにさー、電源の切り方についてどう書かれているかといえば、『iPhone の電源を切る、または再起動するには、電源ボタンを数秒間押し続けてから、スライダをドラッグして操作を確定します』ですよ。たぶん初めてiPhone触る年配の人なんて、「スライダをドラッグして操作を確定」の時点で意味不明でしょう。あと、アラームについては記述自体無し。

そんなこんなを見ていると、これだけ老若男女問わず使われつつあるiPhoneについて、Appleは今一度その操作方法についてのガイドを再考する余地はあるよーに思えるんですよね。実はあんまり直感的に使えないとしても、こんなステキなデバイス、「情弱は使うな」ってちょっと残酷じゃありません?