最近ではふつーのニュース記事でも使われる程度に浸透してきた感のある「聖地巡礼」の話。
アニメに登場した風景を求めてそのロケハンが行われた地域を訪れるいわゆるひとつの聖地巡礼、その起源が『おねてぃ』なのか『天地無用』なのかは知りませんが、一般のニュースでも取り上げられるきっかけとなったのは『らき☆すた』の鷲宮神社でしょうね。
んで、その鷲宮神社の初詣参拝客数がアニメ放映後5年経っても高水準をキープしている、という話が。
アニメ「らき☆すた」の舞台となり、ファン巡礼の“聖地”として知られる埼玉県久喜市(旧鷲宮町)の鷲宮神社で、12年の三が日の初詣参拝客数が前年と同じ47万人だったことが5日、明らかになった。参拝客はアニメ放送が終わった08年から4年連続で増え、現在、放送前の5倍を超えるまでに達しており、5年連続増はならなかったが、人気は定着しているといえそうだ。
via: 鷲宮神社:“アニメ聖地”の初詣参拝客数は47万人 5年連続増ならずも人気定着 - MANTANWEB(まんたんウェブ)
1クールもしくは2クールでバンバン作品が入れ替わっていく深夜アニメにおいて、5年前の作品というと最早「懐かしい」といえるレベルですが、それでも鷲宮神社の参拝客数が高止まりしているというのはスゴイこと。
でも、確かに『らき☆すた』って京アニ制作でコアなファンもついているアニメだとは思うんですが、未だに『らき☆すた』について熱く語りまくっている人というのはとんと見かけた記憶がありません。
なのに聖地である鷲宮神社がその人気をキープしているのはなぜなのか?
原作漫画がまだ続いてるからってのもあるでしょうが、他にもいくつか理由がある気がしてて、ざっと考えてみると
- 鷲宮神社そのものの価値
- 初詣・お祭りという馴染み深い行事の存在
- 立地の良さ
- 地元の努力
1.まず鷲宮神社自体が「関東最古の大社」を謳う由緒ある神社であること。アニメの聖地である以前に、元々歴史的・文化的に価値のある場所なワケですね。
2.神社というのは初詣や祭りといった行事があるワケで、こうした誰にとっても馴染み深い行事があるとファンも出掛ける口実になりやすい。「初詣行きたいね」→「じゃあせっかくだから鷲宮神社行っとく?」的な。「聖地巡礼のためだけに出掛けるのもちょっと……」というライト層の人でも、プラスアルファの理由があるコトで出掛けやすくなる。そして初詣やお祭りというのは年に一度必ずあるイベントなので、定番化しやすい。
3.鷲宮神社があるのは埼玉であり、東京などからアクセスしやすい。
4.これらの好条件に加えて、地元商工会等が『らき☆すた』という作品のコトを理解し、オリジナルグッズやイベントを企画するなどしてファンに対するウェルカムムードを醸成するコトに成功した。
これはグッズやイベント目当てで来る人が増えるという意味以上に、ライトなファン層にしてみれば聖地巡礼に行ったりしたら地元住民に不審な目で見られないだろうかという懸念が付きまとうモノであり、地元が率先してアニメの舞台であるコトをPRするコトでそうした懸念を払拭できるワケです。
また、スタンド使いはスタンド使い同士引かれ合うように、アニメファンはアニメファン同士引かれ合う習性があり、地元がその作品を「わかってらっしゃる」ほど、そこに足を運ばざるを得なくなります。逆に生半可な「わかったフリ」をしてしまうと総スカンを食らう諸刃の剣なのですが、そこは地元の努力の賜物というコトでしょう。
アニメの聖地巡礼というと、ふつーはアニメに登場した場所を訪れることで作品世界をより深く楽しむためのものであり、その性格ゆえにアニメの放送が終わり人気が一段落すると巡礼者も減っていくモノだと思うんですが、鷲宮神社の場合アニメの聖地としての価値が、神社・初詣・お祭りといった元々日本人に馴染み深い場所とイベントに結びつくコトによりここまで定番化したのかなー、と。
そう考えると、鷲宮神社の事例というのは条件的に相当恵まれており、この事例だけを見て他の地方の人が「ウチも聖地巡礼で町おこしを!」って盛り上がるのは少々危険なのかもな、という気もします。……次の記事でももうちょっとこのネタ引っ張ってみよかな。