大須は萌えているか?

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ステマに始まりステマに終わった2012年

最近になって逮捕者が出たコトで久しぶりにその名前を見た「ペニーオークション」ですが、それに付随してそのペニーオークションサイトを紹介していたという芸能人ブログが問題視されていますね。

入札するたびに手数料がかかるインターネット競売「ペニーオークション」サイトを使った詐欺事件で、「同サイトで商品を落札した」と虚偽の書き込みをしたタレントほしのあきさん(35)以外にも、複数の芸能人が別のサイト名を挙げて同様の書き込みをしていたことが分かった。消費者には広告とは分からない「ステルスマーケティング」と呼ばれる手法で、京都、大阪両府警もこうした実態を把握している。

via: ペニオク詐欺:「ステマ」に芸能人二十数人が関与か- 毎日jp(毎日新聞)

よくよく考えると「食べログ」のやらせ投稿問題が取り沙汰され「ステマ」という言葉がWEB上を席巻したのが今年の正月の話でしたね。

「食べログ」にやらせ投稿 カカクコムが法的措置も  :日本経済新聞

そして年末に芸能人が金銭を受け取って詐欺サイトのステマをしていたコトが発覚するという、まさに2012年はステマに始まりステマに終わる年となりました。すげえなステマ。「はちま起稿」やらが2chから転載禁止措置を受けたのも今年の話だし、ホントWEB上における広告のあり方が問われる一年となりましたねぇ。

んでもって、食べログに端を発したステマ騒動を受けて、今年の半ばには消費者庁も動きを見せたりして。

消費者庁、評価操作の“ステマ”は不当表示、景表法ガイドラインを一部改定 -INTERNET Watch

このとき改訂されたガイドラインってのが「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」というものなんですけど、この中の「景品表示法上の問題点」として書かれている文章が以下。

口コミサイトに掲載される情報は、一般的には、口コミの対象となる商品・サービスを現に購入したり利用したりしている消費者や、当該商品・サービスの購入・利用を検討している消費者によって書き込まれていると考えられる。これを前提とすれば、消費者は口コミ情報の対象となる商品・サービスを自ら供給する者ではないので、消費者による口コミ情報は景品表示法で定義される「表示」には該当せず、したがって、景品表示法上の問題が生じることはない。

ただし、商品・サービスを提供する事業者が、顧客を誘引する手段として、口コミサイトに口コミ情報を自ら掲載し、又は第三者に依頼して掲載させ、当該「口コミ」情報が、当該事業者の商品・サービスの内容又は取引条件について、実際のもの又は競争事業者に係るものよりも著しく優良又は有利であると一般消費者に誤認されるものである場合には、景品表示法上の不当表示として問題となる。

via: 「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」の一部改定について(PDF)

ちなみに、このガイドラインにおける「口コミサイト」の定義にはブログも含まれており、ご丁寧に『ブログについては、特に芸能人等有名人のブロガーによるブログにおいて、「おすすめ 商品」等に関する記事が掲載されることが多くなっている』とも書かれていたりして。今話題になってる芸能人によるステマ記事が書かれたのがだいたい2010年~2011年頃なので、その辺の流れも受けての記述なのかもしれません。もちろん、この時点ではまだステマだと断定できるモノでは無かったわけですが。端から見ると限りなく怪しかったにせよ。

つまり、たとえ詐欺サイトじゃなかったとしても、事業者からギャラを貰い、その事実を明らかにしないまま「このオークションサイトすごく良いよ!」とかブログに書いちゃったら、その時点で景品表示法上の不当表示に該当する可能性があるってコトです。しかも、実際はオークションサイトを利用していないにも関わらず「オークションで安く購入した」と書いていたりした人もいるみたいで、ますます悪質ってコトになりますね。そして結果的に宣伝していたのは詐欺サイトという、見事な数え役満ぶり。

世の中にはなぜか「あの芸能人も利用している」みたいな売り文句に釣られちゃう人もそれなりに居るみたいですが、それってのは「有名な芸能人が怪しいものの宣伝をするハズがない」みたいな思い込みによるものなのかなと。そしてその芸能人が広告では無く口コミとしてオススメしている = 良いものに違いない的な。ステキな合わせ技。

しかしまー有名人だっつっても、ヤの付く商売の人の宴席に出席していただとか、ヘンテコな宗教団体の広告塔になっているだとかって話もあるワケで。最盛期には結構稼いだけどその後落ち目な芸能人なんかだと、ちょっとアヤしい相手でも手っ取り早くギャラくれるなら仕事したいって人はいそうだし、ちょっとアヤしい商品やサービスを売る側は手っ取り早く消費者の信用を得るためにそこそこ名の知れた芸能人に宣伝させたいっていうのもあるだろうし、なんかそーゆーところで互いの思惑が一致しちゃったりしているケースは結構ありそう。

つまりは「ああ、この人久しぶりに見たなぁ」みたいな芸能人がなんかようわからん商品やサービスの宣伝をしていたら、少し生暖かい目で眺めるくらいでちょうど良いかもよ、というお話。

そしてその芸能人でもステマをする、というコトが明らかになった今(いやそんなん前からモロわかりだろというツッコミはさておいて)、なんかもうWEB上の「口コミ」というものの胡散臭さが急上昇中な感じがします。

というか、「口コミ」というのはユーザー側から自然と発生するところに価値というか信頼があったワケですが、その信頼を手っ取り早く欲しがる事業者やら広告代理店が「なら口コミを誘発させれば良いじゃない」→「誘発させるのも面倒だから自分で作っちゃえば良いじゃない」とやった結果がご覧の有様なワケで、まさに「本末転倒」を地で行くよーな結果になりつつあるよーな気がします。

来年はWEBにとってもう少し良い年になるといいですね。