大須は萌えているか?

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メールでのファイルのやり取りを全部やめたい

ちょっと前に、中央省庁がメールに添付するファイルをパスワード付きZIPで圧縮する慣習をやめるっていう話が出ていたじゃないですか。

霞が関でパスワード付きzipファイルを廃止へ 平井デジタル相 - ITmedia NEWS

巷では「PPAP(『Password付きzipファイルを送ります、Passwordを送ります、An号化(暗号化)Protocol』の略)」などと名付けられたりもしていたこのルール、送信側も受信側も手間が増えるくせにセキュリティレベルの向上にはほとんど役に立っていないと散々指摘されたりもしていたんですよね。なにせ、ほとんどの場合解凍用のパスワードもメールで送信するもんだから、もしメールの内容が盗聴されているのであればパスワードも盗聴されている可能性が高い、またパスワード付きにされてしまうとメールサーバのウイルスチェックを素通りしてしまう、といった具合。

“じゃない方”のPPAP 政府が廃止を決めた、メールの「PPAP」って何? 詳しく解説!(岡田有花) - 個人 - Yahoo!ニュース

しかし、「プライバシーマーク(Pマーク)」制度の資料なんかではPPAPをむしろ推奨するようなコトを書いていたのでは……?と思っていたら、当のPマーク認証団体が「ウチも以前から推奨してねえです」と公式声明を出すに至り、PPAPが全否定されるという熱い展開になっております。

制度関連のNEWS|メール添付のファイル送信について|プライバシーマーク制度|一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)

実のところ、自分が知っている中でもいまだPPAP方式でファイルのやりとりをする会社というのは存在しており、自分もそういう会社の人にメールを送る際には、相手の流儀に従ってPPAPで送ったりしたコトもあります。ただ幸いなコトに、しばらく前からSlackやBacklogといったビジネスチャットやプロジェクト管理ツールの導入が進んだコトで、ファイルのやりとりをメール経由で行う機会そのものが激減しました。

こうしたツールを使えば使うほど、「もう一切メールでファイルの授受をしない」という風にしてしまった方が幸せになれるんじゃないか、って気がするんですよね。ビジネスチャットでファイルのやり取りをする最大のメリットは、送信先を間違えるリスクが少ないこと。メールと違って、相手のアイコンで判別できますからね(ただデフォルトアイコンのままだとダメなので、参加者にはユニークなアイコンを設定してもらうようルールを作っておいた方が良い)。また、万一間違ってもすぐに消すコトができるのもメリット。あと、メールでいちいち宛先指定して文面書いてファイル添付して……なんてやるより、ビジネスチャットのほうが楽。めっちゃ楽(仕事の効率を考えたときに、「楽である」というのは非常に重要)。

ビジネスチャットはプランによってストレージ容量の制約が厳しかったりもしますが、オンラインストレージにアップしてダウンロードURLを相手に通知するってやり方もありますしね。これなら容量のデカいファイルでもやりとりできるし。それにエンタープライズ向けのオンラインストレージなら、共有範囲や公開期間なんかも設定できたりするんで、機密性の高いファイルでもやりとりしやすい。

問題は社外の人間とやり取りするときに、相手がそうしたビジネスチャットのアカウントを持って無い場合ですが……その場合Slackでワークスペース作って相手を招待するとか、TeamsやZoom使ってゲストで通話に入ってもらって、そこでやりとりする、とかですかねえ。コロナ渦の今、オンラインミーティングの機会はどんどん増えているので、その手のツールをまったく使ったこと無いって人は次第に減っているんじゃないかと思うんですが。

また、メールでのファイルのやりとりをしない、と決めてしまうコトで、怪しいメールに添付されてきた怪しいファイルを開いちゃった、という事故も無くせるワケですよ。いまだにこの手の事故は後を絶たないし、それによって1台の端末がおかしくなるだけならまだマシですが、場合によってはファイルサーバをランサムウェアで暗号化されてドヒャー、みたいな話だって有り得るワケでして。この手の事故を防ぐために、抜き打ちでダミーのフィッシングメールを送ってうっかり開いちゃった社員に指導を行うなんてコトをしている企業もありますが、これ抜本的な解決策になってないですしねえ。

とはいえ、人は慣れ親しんだ手段を簡単には捨てられないようで、メールにこだわる人ってのもまだまだ居るんですよねえ。PPAPの撲滅ついでに、メールにファイル添付するのやめようぜ、っていう風潮にならないかな。