大須は萌えているか?

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F1[22] イギリスGP 決勝

なんだか内容が盛りだくさんすぎて頭が追いつかなくなるようなレースでした。スタート直後のクラッシュは肝が冷えましたが、終盤のバトルは間違いなく今シーズンのハイライトのひとつ、ていうか今後語り草になるような熱いものでしたねえ。そんなワケで、F1イギリスGP決勝の話。

周冠宇の大クラッシュ

最初にこちらに触れておきたいんですが、スタート直後に発生した周冠宇のクラッシュはホントに驚きました。画面上、逆さまになってコースアウトしていくマシンがちらっと見えたのは確認したんですが、誰かがわからずモヤモヤし、どうやらそれが周冠宇だとわかったもののカメラはその現場を映そうとしないものだから、どうもこれはかなりマズい状況なのでは……?と余計モヤモヤすることに。

スタートのリプレイもなんなか流されない中、Twitterのタイムライン上に事故のきっかけを作ったガスリーのオンボード映像が流れてきており、テレビ映像より先にそっちで事故の状況を見るコトになりました。流れとしてはハードタイヤでスタートしたラッセルがやや出遅れ、周が左から抜き去ろうとし、さらにその間にガスリーが鼻先を入れていこうとしたところにラッセルが寄ってきて接触、体制を崩したラッセルが周の側面に激突して周のマシンはラッセルのマシンに乗り上げるような格好となって横転……という感じ。

周の無事が確認されたあとにはテレビでも映像が流れましたが、かなり衝撃的なクラッシュですね。

WATCH: Red flags at Silverstone as Zhou barrel rolls out in chaotic British GP start | Formula 1®(動画)

なにが衝撃的かって、ひっくり返った状態でコースオフした周のマシンが、そのままタイヤバリアに激突後、それを乗り越えて客席のフェンスに衝突する形になってしまっていたこと。F1のクラッシュは多々見てきましたが、こうしてマシンがタイヤバリアの向こう側にまで飛んでいってしまうクラッシュというのはちょっと記憶にないレベルです。

また、クラッシュしたあとの周のマシンを見ると、横転時にドライバーの頭部を保護するためのロールフープが潰れてしまっていたのは衝撃でした。

Zhou declared fit after Lap 1 crash at Silverstone, as conscious Albon flown to hospital for precautionary checks | Formula 1®

これちょとやそっとの荷重では潰れないハズなんですが、それが原型を留めていないというのはかなり衝撃的な光景。マシンの上部がこんな風になっているのを見るのは、鈴鹿ビアンキの事故以来じゃないですかね。それでも周が大きな怪我も無く戻ってこられたのは、これはもうヘイローのおかげでしょうね。F2のレースでもヘイローによりドライバーが助かったクラッシュが発生してましたが、立て続けにこうした事故を見せられるとホントにヘイローがあって良かったとしか言いようがありません。

F1の安全性を改めて実感することにもなりましたが、しかし一歩間違えば飛び散った破片が観客席に飛び込む危険もあったワケで、ドライバーやマーシャルだけでなく、観客にとってもモータースポーツのリスクというものを考えさせられる事故だったと言えそう。

周はポイントを狙えるレースを失う結果にはなりましたが、どうやら次戦には問題なく出場できそうな感じですし、改めてそのパフォーマンスを発揮してもらいたいところです。

サインツ初優勝

周のクラッシュのインパクトが強かったので書くのが後回しになってしまいましたが、なんとサインツが初優勝ですよ。まさか勝つとは思わんかった(失礼)。

いや確かに予選ではポールポジション取ってましたけど、それはタイミングに助けられたりしたのもあったからであって、最速はフェルスタッペンだろうなあと思っていたワケですよ。実際問題、なにも問題が無ければ決勝でもフェルスタッペンは速かったと思うんですけど、そのフェルスタッペンにトラブルが発生してしまったもんだからサインツにとっては大ラッキー。どうやらコース上のデブリをまたいだ時にフロアを壊してしまい、マシンのエアロバランスが完全にイカれてしまったようですが、これでフェルスタッペンは優勝どころか表彰台も失うコトに。

ていうか、最初のスタート時にはソフトを履いたフェルスタッペンが先行していたのに、すぐさま赤旗が出たコトにより予選の順位のままスタートやり直しになったのもサインツにとってはラッキーでしたね。もし赤旗が無かった場合、タイヤがどこでタレてくるかっていう問題はあるものの、しばらくはフェルスタッペンが悠々リードを築く展開になっていたでしょうし。

フェルスタッペンが優勝争いから脱落したあとも、ルクレールが後ろに張り付く格好になり、ハードタイヤに交換したあとルクレールにポジションを明け渡す格好になるワケですよね。後ろからハミルトンが迫ってきている状況で、サインツのペースが十分ではないという判断で。

2022 British Grand Prix: Ferrari order Sainz to give Leclerc race lead(動画)

このままいけば、サインツの勝ちは望み薄……と思ったら、今度はオコンがコース上でストップしたコトによりセーフティカーが入り、これでまた流れが変わることに。フェラーリは前を走っていたルクレールをステイアウトさせる一方で、サインツをピットに呼び込んでソフトタイヤに交換。同じくトップ争いに乱入しつつあったハミルトンもソフトに交換したコトによって、17周オールドのハードタイヤを履くルクレールの後ろに新品ソフトを履くサインツとハミルトンが並ぶ格好になったと。

フェラーリはリスタート直前に、トップのルクレールをハミルトンから守るためにサインツに対してルクレールから10車身分の間隔(レギュレーションで許容される目一杯の間隔)を空けるように求めたものの、サインツはハミルトンからのプレッシャーがきついことを訴えてこれを拒絶。結果としてサインツはリスタート後にルクレールをパスし、あとはそのままチェッカーまで逃げ切ったワケですね。

正直なところ、レースを通してのサインツのペースは他のドライバーに比べて最速ってワケでは無かったものの、終盤のセーフティカーにより思わぬチャンスを手に入れ、そしてチームの要求を上手いこと突っぱねる強かさがあったからこそ勝てたのかな、と思います。今シーズンはなにかとツキに恵まれて来なかったサインツですが、今回のレースはなんだか妙にツキが回ってきた感じでしたし、最後の最後でそのチャンスをガッチリ手繰り寄せたという感じ。この勝利によって、サインツの流れが変わってきたりはするんでしょうか。

一方のルクレールにしてみれば納得のいかないレースだったでしょうが、まあフェラーリにとってもあのセーフティカーのタイミングでどう動くかっていうのは悩ましいところだったでしょうね。ルクレールサインツの距離が近く、またサインツのすぐ後ろにハミルトンも居る状況だったのでダブルストップは避けたかったし、ルクレールを入れた場合ハミルトンがステイアウトしてトラックポジションを失うのでは、という危惧も理解できるところ。そもそも、ハミルトンはタイヤ交換を引っ張っていたので、セーフティカーが入った時点ではまだ彼のハードタイヤは5周しか走ってなかったですしね。仮にルクレールのタイヤを換えていた場合、ハミルトンをオーバーテイクすることは十分可能だったようにも見えますが、ハミルトンのペースがかなり良かったことからオーバーテイクにかなり手こずるかもしれない、仮に前に出られたとしてもタイヤが最後まで持たないかもしれない、なんて考えてしまったのかもしれません。

意地の悪い見方をすれば、フェラーリサインツのタイヤを交換してハミルトンの真ん前に置くコトで、ルクレールとの間の壁にする腹積もりだったんじゃないかっていう気がしますが、サインツがあっさりその役目を放棄したコトで目算が崩れた、という気がしないでもありません。まあ、ルクレールが表彰台圏外まで落ちた結果を見ると、フェルスタッペンにとってはラッキーな展開だったとも言えます。

そのほか

しかしまーメルセデスが久しぶりに優勝に絡めそうなところまで来たのは喜ばしいですね。コースに助けられた部分は結構ありそうですが、アップデートの効果もそれなりにあったんじゃないでしょうか。バクーのレースが終わったあとはこのままだとハミルトンの体ボロボロになってしまうんやないかと心配でしたが、ここまで速さが戻ってきたのはなにより。

それから気がつけば2位フィニッシュを飾ったペレス、驚異的なリカバリーでしたね。順位を大きく落としたあと、気がつけば上位に戻ってきていてビックリ。セーフティーカー後のルクレール、ハミルトンらを相手にしたバトルも熱かった熱かった。ペレスは若干ライン取りが横着というか、ペナルティにならないギリギリのところだったような気はしましたが、そこらへんはベテランの上手さというコトなんでしょう(?)。

‘That was Formula 1 at its best’ says Hamilton after battling to P3 in home Grand Prix | Formula 1®

結果的にルクレールに対してドライバーズポイントのリードを稼ぎましたし、タイトル争いでレッドブルが支配的な立場にあるのは変わらず。

角田とガスリーの接触はまー完全に角田の判断ミスかなと思うんですが、角田ってガスリーの後ろで数周に渡ってつっかえているような状態だったので、「俺のが速いんだから先に行かせてくれよ」という思いが強かったのかなーとは思います。コーナーで飛び込んでいけば譲ってくれるだろう、とイージーに考えてしまっていたのかも。チームメイト相手に実力をアピールするチャンス、という場面でもありましたが、こういう場面で同士討ちを演じてしまってはむしろ大きなマイナスですからね。角田自身、来季以降のことを見据えてレースをしなければならない状況ですが、そういう時に一番避けなければいけないミスだったとも言えます。最近は良くない流れにハマってしまっているのが気になりますね。

ミックはついに初ポイントを獲得しましたが、終盤フェルスタッペンに対しても果敢に仕掛けていくところは見応えありました……が、やりすぎてまたスピンしたりしないかとヒヤヒヤしたりして。フェルスタッペンも容赦ないブロックしますよねしかし。順位がどうあれ、1つでも多くのポイントを持ち帰ろうとする姿勢はさすが。

しかしまー、全体を通しての見応えという点では現時点での今季ベストレースだったんじゃないですかね。