※画像多めです
先週、またウチのかーちゃんが「名鉄のウォーキングイベントに参加するから随行せい」と言ってきたので、日曜朝からほっつき歩いてきた話。ただ、今回は個人的にも興味を引かれたので参加したんですけどね。
新美南吉と彼岸花
そんなワケで足を運んだのが愛知県は知多半島の半田市。名鉄のウォーキングイベントなので当然名鉄に乗って出掛けるワケですが、今回のコースは住吉町の駅からスタートして、駅周辺をぐるーっと歩いて知多半田駅がゴールになる9kmくらいの道のり。ちょうど秋らしい気候になってきて、歩くには良いコンディションでした。
コースに従い歩いて行き、まず新美南吉記念館に到着。『ごんぎつね』の人ね。
新美南吉が特に好きというワケでも無いので館内は見てませんが、今年が生誕100周年らしくてなにやら賑わっておりました。あと、周辺には子供が描いたと思われるキツネの画が幟として掲示してあったのですが、どうも面長のピ○チュウに見えてしまいます。
そのあとはすぐ近くを通ってる矢勝川という川沿いを歩いて行くんですが、ここ川の堤防沿いに大量の彼岸花が植えてあり、観光名所になっているみたいで。時期的にはやや遅く、すでに枯れかけているものもあったんですが、田んぼの緑と彼岸花の赤のコントラストはなかなかに見事な光景。
それから道中に「家康公が渡った橋」というのがあったんですが、どう見てもコンクリート製です本当にありがとうございました。
まぁ、さすがにその当時の橋が残っていたら危なくて渡れないだろうけど……。
赤レンガ建物
そして新美南吉生家の前を通りつつ、たどり着いたのが半田赤レンガ建物。私の狙いはここです。
ここ、元々は「カブトビール」というビールを造っていた工場なんだそうな。ビール工場として稼働していたのは明治31年から昭和18年という昔の話になっちゃうんですが、その当時は結構あちこちに広告を出しており、名古屋駅前にも「カブトビール」の看板があったそうな。
んで、この名古屋駅前の「カブトビール」の看板、宮崎駿最後の長編アニメ(?)である『風立ちぬ』にも登場するんですよね。主人公の堀越二郎は実在の人物をモチーフとしてますが、堀越が入社したのが三菱内燃機製造(現在の三菱重工)で、赴任した工場は今で言う名古屋航空宇宙システム製作所大江工場。一頃は一部が三菱自動車の工場としても使用されていたとこです。
そんなワケで、作中でも堀越が就職し名古屋駅に到着するシーンがあり、そこにこの「カブトビール」の看板も描かれています。この赤レンガ建物は現在半田市が買い取り保存しているそうですが、年に数回一般公開をしているとのコト。で、この日はその一般公開日だったワケです。
そして中ではしっかりと『風立ちぬ』に登場したコトをアピールしております。映画観て見物に来る人、結構いるのかな?
中ではカブトビールや赤レンガ倉庫の歴史について説明したパネルや、当時のビール瓶、ポスターなどが展示されてます。明治時代はビールもコルク栓だったとは驚き。
このカブトビールの創業メンバーもなかなか興味深くって、今でも半田に本社のある中埜酢店(「ミツカン」ブランドで「味ぽん」とか酢を作ってるとこ)の社長・中埜又左衛門と、後に敷島製パン創業者になる盛田善平によって設立されたんだそうな。この盛田さんは、あのソニー創業者の一人である盛田昭夫を輩出している盛田家の分家筋。盛田家って元々常滑(半田市の隣)の造り酒屋なんですよねぇ。
そんな由来を持つカブトビールですが、その後譲渡や合併を経て戦時中にこの工場(赤レンガ建物)が徴用されたため、ビールの生産を終えたとのこと。その後終戦まで中島飛行機の衣糧倉庫として使われたそうな。そしてその中島飛行機の半田工場がここから東に数キロ離れた場所にあり(現在はもちろん無い)、戦闘機「天山」及び「彩雲」を生産していたんだとか。
えー、それどっちもまだ開発できてないー、とか思ってしまう程度の「艦これ」脳の私ですが、こんなところでも戦闘機の話に結びつくとは。愛知県って結構戦闘機の名産地(?)だったんですかね。
話が素晴らしく脱線しましたが、建物内では復刻版カブトビールと、さらには『風立ちぬ』に登場以来ちょっとしたブームになっているという「シベリア」までもが販売されてました。なんという便乗商法。両方買いましたけどね!
屋外では冷やした瓶も売っていたので、これも購入しその場で飲む。電車で来ると、昼間っから酒飲めるのがメリットですね。
このカブトビール、実際飲んでみるとすごい独特な味で、まずビールなのに泡が少ない。そして味が濃い。黒ビールなんかよりも濃い。ビールなのに結構ズシンと来ます。のど渇いてたのでグイッと飲んだら、「なんだこの濃さは!?」とビックリ。ちょっと今まで飲んだコトの無い味でした。アルコール度数は7度くらいで、ビールとしてはちょっと高めくらい?
赤レンガ建物はこの記事書いている週末(2013年10月5日、6日)の公開を最後に改修工事に入り、2015年春から常時公開を目指しているそうです(⇒ 半田市/よみがえれ半田赤レンガ建物!改修直前大公開!!)。改修されたらまた来ようかなぁ。
ちなみに、建物北側には戦時中米軍機から機銃掃射を受けた跡もそのまま残っているらしいんですが、写真撮り損ねた……。ちなみに東側の壁にもなんか穴が空いてたりしますけど、これは関係ないよね?
ともあれ、かなり興味深い来歴を持つ建物でした。
知多半田駅まで
その後ウォーキングのコースは運河沿いに進み、
日本酒「國盛」の「酒の文化館」に到着。ただし、到着した時間はちょうど団体予約向けの時間だったらしく、見物はできませんでした。ちなみに「國盛」もミツカングループ。酢と日本酒って似て非なるモノですしね。
そして今度は「酢の里」というこれまたミツカンの酢造りの歴史などが展示された博物館へ。奥に見えるビルがミツカンの本社ビル。半田って完全にミツカンの企業城下町っぽいですね。
そして名鉄知多半田駅の手前にあるJR半田駅を一枚。ここの跨線橋、明治43年に完成したそうで、現存するJRの跨線橋の中では最古のものなんだとか(⇒ 半田駅 - Wikipedia)。
跨線橋の右に写ってる赤レンガのランプ子屋も明治42年完成のものだそうで。物持ち良すぎでしょう。あとは名鉄の知多半田駅まで歩いて、ウォーキングは終了。
そして帰宅後
シベリアをツマミにカブトビールという、どう考えてもアンマッチな組み合わせを楽しみながら、零戦に思いを馳せておりました。いや戦闘機のコト全然詳しくないんですけど。
あ、ちなみに『風立ちぬ』は劇場に観にいったんですが、ブログにまったく感想を書いていないことから私自身の評価はお察しください。端的に言えば箸にも棒にも……ああいや、毒にも薬にも……ああいやなんでもないです。でもとりあえず、観たらシベリアは食べたくなるね。