大須は萌えているか?

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「挑戦し続けること」が結果に結びついた琢磨のインディ500優勝

普段インディなんて全然観ない私ですが、モナコGP決勝を観て、寝て、朝起きて、ニュースをチェックして、「佐藤琢磨インディ500優勝」なんて見出しを見るやいなやGAORA契約して再放送の録画してしまいました、ニワカかつミーハーで申し訳ありません。

インディは観てないものの、やはりF1好きとしては佐藤琢磨というドライバーには思い入れありますしね。ザウバーを駆る小林可夢偉の走りにも興奮させられた(鈴鹿の3位フィニッシュも現地で見たし)モンですが、日本人F1ドライバーの中で一番興奮させられたのはやはりBARホンダを駆る琢磨でした。実際、日本人初のF1優勝ができるんじゃないか、って期待を抱かせてくれたのは2004年の琢磨だけでしたからね。

ただ、琢磨がF1ドライバーとして一流だったかというと、そうとも思ってなくて。琢磨だけじゃなくて他の日本人ドライバーにも言えるコトなんですけど、好不調の波が激しいんですよね。ツボにはまれば滅法速いけど、チームやマシンがやや劣ってしまうとガタガタと崩れてしまう。

オマケに、琢磨が亜久里以来の日本人2人目の3位表彰台や、日本人初の予選フロントロウ獲得(2番手)、日本人初のリーダーラップ記録等々、日本人ドライバーとしての記録を打ち立てまくった2004年は、なにせチームがコンストラクターズランキング2位を記録するという極めて戦闘力の高いマシンを持っていたワケです(異次元の強さを発揮していたフェラーリを除く)。

この年、琢磨は1度の表彰台を含む34ポイントを獲得してドライバーズランキング8位となりましたが、チームメイトのジェンソン・バトンは優勝こそ無かったものの、2位4回・3位6回と10度の表彰台を獲得して85ポイント・ランキング3位(フェラーリの2人を除く最上位)。バトンの数字を見ちゃうと、琢磨の3位表彰台1回というのはむしろかなり「控えめ」な数字にも見えてしまいます。

翌2005年はマシンの戦闘力低下やレギュレーション違反による失格騒動等、チーム自体が波乱の年となってしまい、琢磨が獲得できたのはわずか1ポイントのみ。ただ、そんな年でもバトンは37ポイントを獲得しているワケです。結局、この年限りで琢磨はBARを離れてスーパーアグリへと移籍したワケですが、その後のチームが辿った顛末はご承知の通り。

琢磨がBARを離れざるを得なかったのは、バトンの二重契約問題(ウイリアムズと2006年の契約を結んでいたものの、バトンが翻意して違約金払ってBARに残留した件)に依るところもありますが、そんなナメくさった態度のバトンはそれでもチームから必要とされ、琢磨は放出も止む無しと判断されたワケで。

F1って、上り調子のドライバーには景気の良いオファーが次々舞い込んでくるモンですが、一度「落ち目」と見做されちゃうと、そこから這い上がるのはまず無理ってくらい厳しいですよね。スーパーアグリではエースとして気を吐いた琢磨ですが、いざスーパーアグリが消滅してしまうと、他にF1のシートを空けてくれるチームはありませんでした。

F1は、どんな状況でも常に実力を証明し続けなければいけない。だからこそ、F1で勝つというのは最高の栄誉たり得るのですが。

2010年からインディカーに移籍した琢磨は、2011年には日本人初のポール獲得、2012年にはあと一歩でインディ500優勝(結局17位)、2013年には日本人初の優勝と、それなりに見せ場は作ってはいるものの、シーズン通してのランキングはあまり高くない(最高は2011年の13位)。結果だけ見ると、やっぱり波が激しい感じ。

ただ、インディカーの良いところって、たぶんチャンスは常にあるところなんですよね。オーバルレースは不確定要素が多いため思わぬチャンスが転がり込んで来るコトはあるし、1チーム2台という制約があるF1と違ってチーム当たりの台数制限が無いので、戦闘力のあるシートを掴みやすいし。琢磨は参戦8年目にしてインディ500優勝経験の豊富なアンドレッティ・オートスポーツに移籍したワケですしね。

一度落ち目になったら勝利への挑戦権すら得られなくなってしまうF1と違って、インディは常に勝利への扉をノックし続けられる環境にあるのが良かったのかな、と(これは琢磨とホンダの関係性に依るところもあるでしょうが)。F1のシートが無くなろうが、ファイナルラップインディ500の優勝を取り逃がそうが、とにかく琢磨は扉をノックし続けた。

そして今年、7年間インディに乗り続けて培った経験、名門チームのサポートと豊富なデータ(アンドレッティはインディ500に6台ものマシンをエントリー)、ツボにハマった琢磨、そして最後に運が噛み合った結果、大一番での勝利を呼び込んだ。大舞台でのレースにこだわって、海外でインディに参戦し続けた琢磨の粘り勝ち。まさに継続は力。F1はそもそも継続させてくれないからね……。

なにはともあれ、挑戦し続けるコトが大事なのだ、と教えられた気もする琢磨のインディ500勝利でした。ホンダさんも、どうか「継続」を大事にしていただきたく。主にF1方面で。

そういや、6月にはル・マン24時間が開催されますが、復帰後6年目となるトヨタは今年こそ勝てますかね?いや勝てるよね?インディ500に続いて、ル・マンで日本車&日本人ドライバーが優勝したら、日本のモータースポーツ界はもうお祭り騒ぎでしょう。

そうなりゃあとは、モナコGPを制覇する日本人ドライバーが登場するのを願うのみ……。