日本はまだ梅雨空が続きますが、シルバーストーンの予選は雨が降りそうで降らない……F1イギリスGP予選。
- 予選結果: FORMULA 1 ROLEX BRITISH GRAND PRIX 2019 - QUALIFYING
- 予選ダイジェスト: British Grand Prix 2019 qualifying report and highlights: Brilliant Bottas beats Hamilton to British Grand Prix pole | Formula 1(動画有)
- 予選後各チームコメント: What the teams said - Final practice and qualifying in Great Britain | Formula 1
- 予選後記者会見:FIA post-qualifying press conference - Great Britain | Formula 1
僅差の上位陣
パワーサーキットの性格が強いシルバーストーン、FP3ではフェラーリの2台が1-2のタイムを記録しており、予選もフェラーリが主導する形で進んでいくのかなー、と思いきや、メルセデスの2台がフロントロウを独占する形に。どういうことなの。しかもポールを獲ったのは、シルバーストーンで4年連続ポールのハミルトンではなく、ボタスの方。ボタスはスペイン以来のポールになりますか。
にしても、ボタスのポールタイムはQ3の一発目に出したタイムであり、二発目はボタス自身はタイムを更新できなかったものの、他にそのタイムを上回るドライバーが居なかったためにポール獲得、というやや肩透かしを食らう結末でもありました。ボタスが二発目のアタックでタイムが伸びなかった理由は風の影響とかが考えられますが、リズムを上手く作らないとタイムが出ない、というシルバーストーンの難しさもあるのかも知れません。ハミルトンだって、一発目のアタックはターン6の立ち上がりでミスをし、二発目のアタックのセクター1では自己ベスト更新できてませんしね。そこで自己ベスト出せていれば、ハミルトンがポールでした。
How close? 🤔
— Formula 1 (@F1) July 13, 2019
This close! 😵#BritishGP 🇬🇧 #F1 pic.twitter.com/ozgSBx4xVm
結果として、ボタスとハミルトンは0.006秒という僅差となったワケですが、3番手のルクレールもボタスから0.079秒、4番手フェルスタッペンでもボタスから0.183秒という、0.2秒の中に上位4台がひしめき合う結果となりました。しかも、メルセデス、フェラーリ、レッドブルがそれぞれ入っているのが面白いところ。
謎のソフトスタート
ただ、メルセデスとレッドブルはミディアムタイヤでQ2をクリアしたのに対し、フェラーリはソフトタイヤでQ2を突破することを選択。トップ3チームの中では唯一ソフトスタートとなりました。フェラーリは金曜フリー走行のロングランペースがあまりよろしく無かったようで、それにも関わらず敢えてソフトスタートを選択したコトにはフジテレビNEXTの解説陣も「は?」という感じのリアクションだったりもして。
ルクレールやビノットのコメントを見てみると、金曜日から土曜日にかけてより良いセットアップを見つけるコトができ、ソフトタイヤスタートでもある程度引っ張れると踏んだから、というコトのようです。ただ、Q2でルクレールはミディアムで一度アタックを行ってタイムを出しており、最初からソフトで行く作戦だったのなら、この最初のアタックは何だったの?という気もしてしまいます。
ベッテルはQ1の時点で「ミディアムじゃダメ」と結論を出していたようですが、少なくともルクレールについてはギリギリまで迷っていた感じはしてしまいますね。せめて2台で作戦を分ければ良いのに、と思ったりもするんですが、ルクレールは前回のオーストリアもソフトスタートで最後まで優勝争いを演じてみせた、というのもこの判断に影響を与えたりしているんでしょうか……。
ただ、それならばQ3でポールポジション、悪くてもフロントロウの一角は占めたいところでは無いかと思うんですが、ルクレールが3番手、ベッテルに至っては6番手に終わってしまったのは痛恨じゃないかと思うんですけど。ただ、ルクレールのコメントを見ると「この結果には満足」とのコトで、ホンマかいな?と思ったり。ラップ後の無線のやり取りだと、P3だと告げられたルクレールは「このラップには満足だけど、足りなかった……」みたいなコトをぼやいており、やっぱりフロントロウ欲しかったんだよね、と。
AHHHH! 😫
— Formula 1 (@F1) July 13, 2019
Charles gave it his best shot today 💪#BritishGP 🇬🇧 #F1 pic.twitter.com/HgV6OykWak
なーんかどういうポリシーで戦っているのか良く分からないんですよね、フェラーリ。
ピレリのマリオ・イゾラ曰く「2ストップが最善」とのコトですが、ソフトスタートを選んだフェラーリはまあ2ストップ作戦になるのかな。あとはメルセデスとレッドブルがどうするか、ですね。基本1ストップ狙い、展開次第で2ストップを視野に入れる、くらいでしょうか。どのチームもレースペースには自信があるようなコトを言ってますので、タイヤ戦略を含めて面白い決勝レースになる、かも。
そのほか
レッドブルのガスリーが、金曜から土曜のフリープラクティスすべてでフェルスタッペンのタイムを上回ったと話題になっておりましたが、予選ではフェルスタッペンがきっちり帳尻を合わせてきました。やっぱりすごいなフェルスタッペン。ガスリーは残念ながら予選では勝てませんでしたが、これはガスリーが遅いというよりはフェルスタッペンが出来過ぎですね。このガスリーの調子がどこまで続くかが気になります。
オーストリアでは振るわなかったルノーの2台が、今回は揃ってQ3進出。なんなんでしょうね、このムラは……。安定感という意味ではルノーよりマクラーレンのが優れており、これがコンストラクターズポイントにもそのまま現れている感があります。ドライバーのラインナップとしてはルノーのがむしろ良いくらいだと思うんですけどね、このルノーの波はなんなんだろう……。
ルノーよりさらに一貫性が無いのがハースで、前回のオーストリアで予選ペースがやや立ち直りかけたように見えたのに、今回はまた下位に沈む格好に。シュタイナーが「ラップタイムのアップダウンが激しすぎる」と言っていたり、マグヌッセンも「こんなにペースを失っている理由がわからない。何も変えてないのに、突然フロントのグリップが失われるんだ」みたいなコメントをしており、どうも未だにマシンの性格をチーム自身が把握できていない感じも。
今やコンピュータ上で相当に精度の高いシミュレーションが出来ると言われるF1ですが、それでもやはりトップチームより人員の少ない中団チームにとっては、自分達のマシンをきっちり把握するのも一苦労なようで……。
そういや、ハースのタイトルスポンサーであるリッチ・エナジーもロゴの不正使用で敗訴したり、CEOがTwitterでハースへのスポンサードを打ち切ると一方的に宣言したと思ったら、そこからCEOと株主の内部対立が表面化したりと、かなり香ばしいコトになっているみたいですね。
- リッチ・エナジー社CEOのF1撤退宣言を株主が否定し、内部抗争が表面化。ハースF1チームはタイトルスポンサー契約は有効と明言
- 著作権侵害で訴えられた『リッチ・エナジー』社、ハースF1との契約詳細や財政状況を強制的に公開へ
イギリスGPではまだハースのマシンはリッチ・エナジーのロゴを付けたまま走っていますが、この先どうなるのか楽しみ……いやさ心配ですね。いずれにせよ、8月1日までにリッチ・エナジーはホワイト・バイクス(ロゴの盗用でリッチ・エナジーを訴えていたイギリスの自転車メーカー)に対して、エナジードリンクの販売本数やハースF1チームへのスポンサー金額等も含めた財務内容を公表しなければならないらしいので、そこである程度のオチは見えるのかな?