大須は萌えているか?

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F1[19] イギリスGP 決勝

なんか思っていた展開とは全然違うレースになりましたが、あちこちでアツいバトルを見るコトはできて、面白いレースにはなりましたね。F1イギリスGP決勝。

明暗を分けた、ハミルトンとボタスのタイヤ戦略

スタートではボタスが先頭をキープしたまま1コーナーを取り、その後ハミルトンがボタスを厳しく攻め立てるもボタスがこらえ、メルセデス2台によるガチンコ優勝争いの流れ……になるハズでした。ハミルトンはスタートからほぼずっとボタスをDRS圏内に捉え続けていましたが、16周目にボタスがプッシュして、ハミルトンとの差を1.5秒弱まで広げてからピットイン。

ミディアムタイヤ勢はもっと引っ張るのかな、と思っていたんですが、メルセデスは最初から2ストップ狙いで、1ストップは考慮してなかったみたいですね。そもそもフリー走行でハードタイヤを試しておらず、データが無かったからというのもあったみたいで。しかし、21周目にジョビナッツィのスピンをトリガーにセーフティカーが出動し、ピットインのタイミングを伸ばしていたハミルトンにとってはドンピシャのタイミングでした。

ボタスはピットストップ後、ハミルトンにオーバーカットされないように(かつ、タイヤを使いすぎないように)巧みにペースコントロールしていたため、ハミルトンは可能な限りピットストップを引っ張り、ボタスよりできるだけライフの新しいタイヤを履いてコース上でのオーバーテイクを狙っていたんですね。しかし、そのタイミングでセーフティカーが出てくれたもんだから、ボタスと接戦になるハズが、一気にハミルトン大勝利の流れになってしまいました。

I was extending that first stint hoping that I’d come out… he was doing some good times so the gap was growing, in terms of me coming out maybe one second, one-and-a-half seconds to two seconds , and I was trying to keep it as little as possible before I finally stopped so that, so that when I came out, I had the advantage on a new tyre and could finally catch him up and try to get past – but the Safety Car came out and kind of intervened. But that was awesome.

via: Lewis HAMILTON : FIA post-race press conference - Great Britain | Formula 1

ミディアム⇒ミディアムと繋いだボタスに対して、ハミルトン陣営がミディアム⇒ハードと繋いだのも正解でした。どのみちボタスはもう一回確実にピットに入らなければならないワケで、それならハミルトン側としては、多少のリスクを考えてもハードタイヤに履き替えた方が有利。うまくいけば最後まで走りきれるし、もしダメでもピットの条件がボタスとイーブンになるだけの話。

ほいでもって、ハードタイヤが思いの外良かったんですね。ボタスは「第2スティントでハードを履くという案もあったけど、ミディアム⇒ハード⇒ミディアム、もしくはミディアム⇒ハード⇒ソフトというもので、1ストップは想定外だった。今日は、我々のクルマにとって最速の作戦はミディアム⇒ハードだった」と、作戦のミスを認めています。

One of us going for the Hard for the second stint but still the idea was for that car to do Medium-Hard-Medium or Medium-Hard-Soft. So one stop honestly was out of the question today, and was a mistake from our side. It was by far the quickest strategy today for our car – the Medium-Hard – we thought it would be much slower so, for sure, a learning point for us.

via: Valtteri Bottas : FIA post-race press conference - Great Britain | Formula 1

メルセデスは1ストップ作戦のオプションも考えているもんだと思っていたので、これはちょっと意外な感じでしたね。ハイスピードコーナーの多いシルバーストーンはそれだけタイヤに厳しいから、というコトでしょうか。

ボタスの後続も、セーフティカーのタイミングで皆ハードタイヤに履き替えていたため、ボタスは下手すると6番手くらいまで転落する危機でもあったんですが、ベッテルとフェルスタッペンが接触して後退し、ルクレールやガスリーはなんとか突き放すコトに成功したため、2位を守れたのは不幸中の幸いではありましたね。

しかし、最後ソフトタイヤに履き替えてファステストラップを出したと思ったら、ハミルトンがファイナルラップに、30周以上走ったハードタイヤでそのタイムを塗り替えてしまったのには驚きましたが……。そのことについてコメントを求められたハミルトンは「どうやったか覚えてない」と言ってますが、意識的に狙っていたとしか思えないよねアレ……。終盤、フリーストップの機会があったのにピットに入らなかった理由は、ハードタイヤのフィーリングが良かったのに、敢えてピットストップするリスクを取る理由が無かったから、というコトみたいですね。

セーフティカーが無ければ、最後までボタスとハミルトンのバトルが見られたかもなー、と思うと残念ですが、序盤のバトルと、ハミルトンの最後のファステストが見られただけでも良かったと言うべきかも知れません。いやしかし、ハミルトンは持ってるなあ。

レッドブルフェラーリがアツい

フェラーリはすっかりメルセデスのライバルの座を放棄してしまった感がありますが、その代わりといってなんですが、レッドブルとアツいバトルを繰り広げておりますね。優勝争いに絡めないのはアレですが、今回もまた繰り広げられたルクレール vs フェルスタッペンのバトルは見応え十分でした。ルクレールも今回はかなり「ハード」なブロックを見せておりましたが、お互い超えてはいけない一線はわきまえていたように見えますし、これぞF1ドライバーのバトル!という感じが素晴らしかったですね。

ルクレールもフェルスタッペンもバトルを存分に楽しんだようで、ルクレールは「自分のF1キャリアの中で一番楽しかった」とコメントしてますね。まだ短いキャリアだけどね。

Very happy. That was definitely the most fun I’ve ever had in my Formula One career. Well, it’s a short career, only one year and a half, but it was definitely very, very fun from inside the car.

via: Charles Leclerc : FIA post-race press conference - Great Britain | Formula 1

前回のオーストリアの因縁もあるのでどうなるかと思いましたが、お互い弁えつつギリギリのバトルを展開してみせるマシンコントロールとセルフコントロール能力は大したもんですね。この2人がこれからのF1を背負っていくのは間違いないところで……。

フェルスタッペンはルクレールを仕留めたあと、ベッテルオーバーテイクして表彰台圏内に上り詰めたものの、直後ベッテルに追突されるという驚きのシーンが。

ベッテルはフェルスタッペンがわずかに中央よりにラインを取ったのを見て、インサイドが空くと踏んで左に詰めていったみたいですが、そりゃあそこでイン側空けないでしょうよ普通。こういう場面で判断を早まっちゃうクセ、直りませんねベッテル。結果的にフェルスタッペンも完走はできましたが、5位がやっとでした。

レース終了後すぐにベッテルがフェルスタッペンの元に行って謝罪していたのは良かったですね。まだこの先何度もやり合うコトになるでしょうし、変に遺恨を残しちゃうとアレだしね。

にしても、ベッテルに追突されたフェルスタッペン、パワーステアリングが壊れたうえに、シートも固定されなくなってブレーキングやコーナーで体が前後左右に動く状態、かつフロアとリアも壊れていたとのコトなんですが、むしろなんで5位で完走できたんですかねこの人。しかも、前を行くガスリーとほぼ変わらない、っていうかむしろちょっと速いペースで走ってるし。

Verstappen ‘doesn’t know how he got car to finish’, as Vettel admits blame for crash | Formula 1

ガスリーも今回4位フィニッシュを果たして調子は上向きに見えますが、やっぱりフェルスタッペンは格が違うなあ……と思ったりもして。

そのほか

今回は、2ストップ狙いのマシンの多くが最初のピットストップを終えたあとにセーフティカーが入っており、このときまだピットに入っていなかったドライバーってそんなに多く無かったんですよね。スピンしたジョビナッツィ本人を除くと、ハミルトンとベッテルサインツ、あとウィリアムズの2台くらい。このとき、まだピットに入っていなかったドライバーは当然ピットに入ったワケですが、あとフェルスタッペンとリカルド、1周遅れてクビアトとルクレールが2度目のピットに入り、6~7周のみ走っていたミディアムからハードに履き替えてます。

これによりリカルドもクビアトも順位を下げているワケですが、結果的にはポイント圏内まで巻き返しているので、この判断は正解だったと言えますね。てか、それだけハードが良かったんだね。ライコネンなんかは、セーフティカーが出る直前にハードに履き替えており、そこから粛々と走り切って8位フィニッシュを飾っておりますし。タイヤマネージメントの達人たるライコネンらしいレースですね。

逆に、セーフティカーのタイミングでステイアウトしたノリスなんかは2度目のストップでポイント圏外に追いやられ、そのままフィニッシュした形。アルボンは13周目にソフトからミディアムに履き替えて、そこからずっとフィニッシュまで同じタイヤで走る羽目になってしまいましたが、これはパワーユニットの高圧電力系にトラブルが生じてしまい、安全面を考慮してピットストップさせなかった(させられなかった)という話。

アルボン、トラブルで入賞圏外へ「ピットストップできなくなり、タイヤに苦しんだ」トロロッソ・ホンダ F1イギリスGP

どういうトラブルなのかようわかりませんが、一応走らせ続けるコトには問題が無かったので、とりあえずポイントのチャンスがある限りは走らせ続けた、というコトでしょうか。これ、ドライバーにとってはフラストレーションのたまるレースだなあ……。

あと、最悪の予選から決勝の同士討ち、そしてダブルリタイヤという、目を覆わんばかりの惨状だったハースですが、シュタイナーさんがまた面白い(?)コメントしてますね。

“It was a very disappointing race for us,” said Steiner. “I’m just stating the obvious here. The best that our drivers could bring to the battle was a shovel – to dig the hole we’re in even deeper. We need to go back, regroup, and see what we do in future.

via: Grosjean and Magnussen’s driving 'not acceptable' says furious Steiner| Formula 1

「ウチのドライバーがバトルに持ち込めた一番のものがシャベルだ。我々をより深く突き落とす穴を掘るためのね」みたいな感じでしょうか。「(同士討ちを演じた)バルセロナのあと、こういうことはもうしないと明確にして、難しい状況下で皆血ヘド吐いて働いて、チャンスを掴んだと思ったらまたお互いぶつかるなんてのは受け入れられない」みたいなコトも言っており、相当おかんむりのようです。

スポンサーもドライバーもマシンも問題だらけ、シュタイナーさんぶっ倒れたりしないと良いけど……小松さんも頭痛いんでしょうねきっと。シーズン序盤の予選パフォーマンスはホント力強かっただけに、今の惨状からなんとか立ち直って欲しくはあるんですが。