大須は萌えているか?

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F1[23] メキシコGP 決勝

ほんとレースはいろいろなコトが起きるなあ、と思いつつ、なんか見ているこっちまで感情が乱高下するような展開でした。F1メキシコGP決勝のお話。

冒すべきリスク

今回のレースで印象的だったのは、やはりペレスとルクレール接触、そして角田とピアストリの接触ですね。どちらも1コーナーでの出来事であり、ちょっと似たシチュエーションにも思える事故ですが、ペレスと角田の置かれた状況というのは結構違ったのかなあ、という感じもします。

ペレスについては、あそこで仕掛けていったことがリスキーだったと本人も認めており、そのリスクを承知で行った感じなんですよね。それだけ、地元で勝ちたかったと。

I went for it and to be honest I wasn't expecting Charles to brake as late as he did and simply, there was not room for three cars. I wanted this victory badly and I knew it was risky but if it had worked, I would have ended up in the lead. At your home grand prix, after being on the podium twice you want to give it your all and I went totally for it, I really wanted the win today and I massively tried to get that.

via: Sergio Perez : What the teams said - Race day at the 2023 Mexico City Grand Prix | Formula 1®

表彰台を目指すだけのレースはしたくなかった、ということですよね。とにかく勝ちたかった。過去、3位表彰台はすでに獲得しているワケですし、それにあと勝てるチャンスはあまり残されていないでしょうしね。来年もレッドブルで続投となった場合でも、おそらく2025年にはレッドブル残留ということは無いでしょうし、そうなると今年か来年しかチャンスは無い。

チームとしてはコンストラクターズタイトルも決まっている状態なので、リスクを取っても差し支えない状態でもありました。差し支えがあるとしたら、ドライバーズランキングでハミルトンがさらに迫ってくるリスクはありましたが、それはペレス自身も納得ずくでしょう。ましてやチームメイトが強すぎるので、それくらいのリスクは取らないと勝負にならない。

ペレス自身、ルクレールのさらに向こうにフェルスタッペンが居るのはわかっていたでしょうし、「シャルルがあんなにブレーキングを遅らせてくるとは思わなかった」というペレスのコメントはさすがに楽観的すぎるようにも思えます。ただまー、それくらいイチかバチかの勝負に出ていた、ということですよね。

そんなペレスの思いを知ると、なんとか勝ってほしかったなあ、とも思ってしまうのですが、しかし現実は非常であります。まあ、だからこそ結果を残せたときの喜びも大きいのですが……。地元のファンとしても、あっという間にペレスが姿を消してしまったのはショックだったでしょうね。しかし、だからといってレース後にルクレールにブーイングを浴びせるのはお門違いも甚だしいとは思いますが……。ルクレールにしてみれば、完全なとばっちりですよね。

冒さざるべきリスク

一方で角田の接触、あれはちょっとなあ……と思ってしまいました。

接触自体は両者お咎めなしのレーシングインシデントとして処理されましたが、まあ傍目から見てもどちらが悪い、とは言いづらい感じかなあと思いました。ただ、その前から嫌な感じはしていたんですよね。角田がずっとピアストリの後ろでつっかえている状態で、抜きあぐねている状態だったので。ペース的には明らかに角田のほうが速いんだけど、オーバーテイクを完遂するだけの決め手にも欠ける状態。

んで、ピアストリも負けん気が強く、後ろの角田のが速いのはわかっていたでしょうけど、目一杯抵抗していたワケですよね。まあこの辺はレーシングドライバーなんだから当たり前といえば当たり前なんですけど。お互い闘争心に火がついている状態なので、これ角田がだんだんヒートアップして無理な追い越しをかけないと良いんだけど……と思っていたら、やっぱりやっちゃった感じ。

もちろんピアストリに仕掛けるのは当然の流れなんですけど、ただ角田としてはまず何よりも優先すべきは「ポイントを持ち帰る」ことなんですよね。アルファタウリにしてみれば、1ポイント2ポイントの上乗せでもすごく大きいのだから。タイトルを確定させているレッドブルとは状況がまったく違う。正直、最後尾スタートだったことを考えれば8位フィニッシュでも上出来すぎるくらいなんだから、そこはもうちょっと考えてほしかった。

もちろん、グズグズしているとタイヤのグリップが落ちてくるわ、ブレーキの冷却も厳しくなってくるわとオーバーテイクの条件が厳しくなってくる、という焦りがあったのは理解できますが、あのときの角田は焦りが前に出すぎて少々冷静さを欠いているように見えました。マシンのパフォーマンスが良く、リカルドがさらに前を走っていたこともあって、もっと上を目指さなければいけない、という思いも強かったんでしょうね。

ただとにかく、チームの状況を考えたら、まず何よりも完走して1点でも2点でもポイントを持ち帰る、これを最優先に考えるべきでした。そこが本当に残念。このレースに関しては、リカルドと角田の経験値の違いを見せつけられたように思います。そして角田がさらに上のステージに進みたいのであれば、これはなんとかしないといけないポイントじゃないかな、とも。

赤旗を見越してセーフティカーの段階ではステイアウトを選択する、といったあたりは非常に冴えた判断ができていただけに尚更ね……。いやほんと、久しぶりにテレビ画面を見ながら頭を抱えてしまいました。

そのほか

フェルスタッペンが年間16勝目を上げた、というのはもう特に驚きもないと言いますか、なんかもうそういう次元を通り過ぎてしまっている感があります。そして2位に入ったハミルトン頑張りましたね。タイヤについて無線でボヤいてましたが、そうしてボヤきながらなんやかんやマネージメントしてしまうのはさすが。レース終盤にかけて路面温度が下がっていったのも奏功した感じでしょうか。フェラーリも思っていたよりレースペース悪くなかった感じ?

マクラーレンのノリスは後方から怒涛の追い上げで5位フィニッシュ、彼のオーバーテイクは実に上手いと言うか、低速コーナーで上手いこと相手のラインを潰しながら抜き去っていきますよねえ。リカルドのオーバーテイクはタイヤスレスレの抜き方だったのでヒヤっとしましたが、ただそれもリカルドならそれでも大丈夫、との判断だったんじゃないかという気もします。ノリスは今が一番脂が乗っている感じがするなあ。