大須は萌えているか?

gooブログからこっちに移動しました

F1[22] エミリア・ロマーニャGP 決勝

微妙なコンディションだったがゆえに、思わぬ展開が見られたりもしました。しかし、やはり強いクルマを手に入れてもフェラーリフェラーリだったなあ、と妙な安心感を覚えたりもして。F1エミリアロマーニャGP決勝の話。

俺たちのフェラーリ

ニューマシンが大当たりで開幕からルクレールが極めて順調な滑り出しを見せ、レッドブルの信頼性不足も手伝ってチャンピオンシップを大きくリードしているフェラーリですが、今回の舞台は地元イタリア、かつ観客を入れた状態で行われるレースということで、フェラーリにとっては否が応にも勝ちたいレース。スプリント予選ではフェルスタッペンに敗れたルクレールではありますが、ペース的にはほぼ互角という感じだったので決勝ではどうなるか……と楽しみにしていたのですが、蓋を開けてみたらフェラーリにとって踏んだり蹴ったりなレースになっちまいましたね。

まずスタート時の路面がハーフウェット状態で、1・3番手という奇数グリッドを押さえていたレッドブルに対してフェラーリは2・4番手という偶数グリッドだったというのが最初の不幸でした。どうしても奇数グリッドのほうが路面の状態は良かったでしょうし、それにイモラってスタートしてすぐ1コーナー……とはいっても全開で行くところなので実質的にはストレート扱いですが、それでも軽くステアリングを切りながら加速していく格好になるので、よりグリップ不足が顕著に出てしまったんじゃないかって気もします。

スタートで出遅れたコトによりルクレールはペレスとノリスに前に行かれてしまい、そしてサインツはリカルドと接触してあえなくサンドトラップに捕まり、メルボルンに続いてまたしてもスタート間もないタイミングでレースを終えるという不幸。どちらかといえばリカルドのミスによる接触だったので、サインツにとってはただただ不幸な出来事ではあったんですが、なんか巡り合わせが悪いときってこういうコト続いちゃいますよね。しかし、序盤で2台のうちの1台が消えてしまうというのは戦略の幅が狭くなってしまうし、コンストラクターズタイトル争いを考える上でも大きなマイナスになってしまうし……。

ポジションを失ったルクレールはなんとかポジションを挽回したいところでしたが、ノリスは攻略できたもののペレスを仕留めることができないまま周回を重ねていくことに。路面は次第に乾いていって、16周目にリカルドがミディアムにスイッチしたのを皮切りに皆ドライタイヤに履き替えてはいましたが、レコードライン以外は濡れているためうかつに仕掛けられない状態。DRSも34周目までは使えない状態でしたし。インターミディエイトからドライタイヤにスイッチしたタイミングでルクレールは一瞬ペレスの前に出られたものの、先にタイヤを交換していたペレスがまだタイヤに十分熱が入っていなかったルクレールをパス。これにより再びペレスの後ろに封じ込められる形になったルクレール、この時点で勝機はかなり失われた格好になりました。

ただ、チャンピオンシップではルクレールが圧倒的なリードを築いていることを考えれば、このレースは3位で良しとしておいてもなんら問題は無かったワケですよね。レース後半になって、ペレスとの差が2秒、そして3秒と開き、これ以上縮まらない状態になってしまったところで、後ろを走っているノリスに対してフリーストップできるだけのマージンがあったため49周目にチームはルクレールをピットに呼び込みソフトタイヤに交換。この時点で、フェラーリは3位を守るレースに切り替えたんだなー、と思っておりました。……フリーストップかと思いきやノリスには一度抜かれちゃいましたけど。

しかし、レッドブルルクレールの動きに反応して、翌周にペレスをピットに呼び込んだワケですね。そして、ソフトでアウトラップをかっ飛ばしたルクレールが再びペレスのすぐ後ろにつく格好に。こうなるとまあ、なんとかオーバーテイクしてやろうって思っちゃいますよね。しかしそこでプッシュしすぎたルクレール、昨年の予選で角田がやらかしてしまっていたターン14〜15のシケインでスピン。なんとかクラッシュは免れたものの、ポジションを大きく失う格好になってしまいました。

こういう場面でつい欲が出て裏目に出てしまう、というのはルクレール自身の若さでしょうか。ミディアムのロングランでもペレスを攻めきれなかったところを見ると、今回のレースはレッドブルに分がある格好でしたね。ルクレールとしては確実にポイントを守りに行くべきレースだったワケですが、それでもやはり目の前にペレスがいたら食らいついていきたくなるのはレーサーとしての性というべきか……。もしレッドブルがそこまで見越してペレスをピットに呼び込んだのなら大したものですが、さすがにそれはないか。

そういう意味では、今回一番仕事をしたのはペレスだったのかもしれないですね。

オープニングラップが肝だった

今回のレースのトップ10を見てみると、ダブル入賞できたチームがレッドブルを除くとアストンマーチンだけ、というちょっと珍しい結果になっております。アストンマーチンは今季初入賞がダブル入賞っていうのは面白いですね。彼らもレッドブル同様にこのコンディションを味方に付けられたチームだった、と言えるかもしれません。2人のドライバーもこういうコンディション得意ですしね。

アルファロメオはもともと周冠宇がピットスタートだったので順位が離れてしまったのは仕方のないところだったんですが、二人共がトップ10圏外からのスタートだったメルセデスラッセルが4位だった一方でハミルトンが13位と、ずいぶん明暗が分かれる格好になってしまいました。ハースもマグヌッセンが8番手スタート→9位フィニッシュ、ミックが10番手スタート→17位という有様でしたが。

ラッセルもマグヌッセンも、オープニングラップでかなり順位を上げることに成功しているんですよね(マグヌッセン3ポジションUP、ラッセル5ポジションUP)。ダブル入賞したアストンマーチンの二人もそれぞれ4ポジションUP。一方でハミルトンは14番手から2つ順位を上げるに留まり、ミックは接触の影響で大きく順位を失うことに。最初に順位を上げられずに集団の中に埋もれてしまうと、そこから身動きが取れなくなってズルズルと周回を重ねてしまう結果になってしまった感じ。今回7位入賞を果たした角田も、オープニングラップでトップ10に入れたのは大きかったですよね。ガスリーも3つポジションを上げていますが、もともとが17番手スタートだったのでそのまま集団に埋もれる格好になり、レースが終わっちゃった感じ。

オープニングラップが終わってセーフティカー入った状態でのトップ10って、リタイヤしたアロンソを除けばそのまんま入賞したドライバーというコトになるので、いかに1周目のポジションが重要だったか、というレースになりました。大きく順位を上げたラッセル、ベッテル、ストロールといったあたりは奇数グリッドだったので、それを見るとやはり奇数側が有利だったのかなって気もしますが、マグヌッセンや角田は偶数側ですからね、一概にどうとは言えないのかも。

それにしても、そのトップ10圏内で、後ろからまとわりついてくるストロールを抑え込みながら、終盤にかけてペースアップして7位までポジションを上げてみせた角田はお見事でしたよね。ルクレール関連を別にすれば、レース後半にトップ10圏内で順位を上げてみせたのは角田だけだと思いますし、これはかなり誇っていいレースだったんじゃないでしょうか。昨年予選でクラッシュしてその経験不足があらわになったコトを思うと、一年の成長を感じられる素晴らしいレースになったと思います。予選・スプリント・決勝とずっとガスリーの前で走れたのも良かった。

もちろん、予選から決勝までを完全制圧したフェルスタッペンも素晴らしかったんですが、個人的にはペレスと角田をDRIVER OF THE DAYに推したくなるレースでした。