大須は萌えているか?

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トンネル崩落事故のインプレッサについて一言

事故の話に絡んでいるので不謹慎かとは思うんですが、思わぬ形でインプレッサが注目を集めているようだったので。

笹子トンネル崩落から脱出したNHK記者のインプレッサに注目が集まる - Togetter

山梨県で発生したトンネル崩落事故で、たまたま崩落の瞬間にトンネル内を走行していたNHK記者の方のインプレッサが破損しながらもトンネルから脱出し、その車両がテレビに映ってたコトから話題になっていたようで。

私も元インプレッサ乗りなのでこういう話題は気になってしまうんですが、この話見て「インプレッサすげえ!」というのはちょっと違うかなと。いや、確かにインプレッサWRXの加速性能と運動性能、それにボディ剛性は極めて高いです。ラリーベースのターボ四駆なめたらアカン。

ただ、この件に関して言うと、なんとなく思うのはクルマがインプレッサだったからというより、このクルマのオーナーさんがとても真面目にクルマと、その運転技術に向き合ってきたからなんだろうなぁと思うのです。

まずこのインプレッサなんですが、型式がGC8と呼ばれるセダンの四駆ターボモデルです。私が乗ってたのもコレなんですが、94年に初代WRXが発売されて、2000年にフルモデルチェンジするまでの6年間に渡り生産された、結構モデルライフの長いクルマだったりします。私が乗っていたのはGC8の中でもF型と呼ばれるモデル。98年に生産されたモデルで、それがそのまま私のIDにもなっていたりするんですが……。

で、このNHK記者さんが乗っていたインプレッサなんですが、上空からの写真しか見てないので正直当たってるか自信ないんですけど、たぶん私のヤツよりひとつ前のモデルじゃないかと思います(ヘッドライドの形状がなんかそれっぽい)。たまたま手元にあった当時のインプレッサのカタログ(なんで持ってるんだ)でいうとこの世代↓。

んで、そうなるとコレ97年~98年頃に生産されたクルマなんですよ。15年前のクルマ。中古で買ったんじゃないとするとずいぶん長いコト同じクルマを運転しているコトになります。中古で買ったんだとしても、そう最近の話ではないような気がするんですよね。これだけ年式の古いクルマとなると。

クルマを意のままに操ろうと思ったらどうするのが一番良いかって、同じクルマに乗り続けて運転し続けるコトだと思うワケです。そうするコトでクルマの加速・減速・コーナリングの感覚やクセをイヤでも体が覚えます。すると、咄嗟のときの判断も感覚的にできるようになってくるんですよね。急ブレーキで停まるか、ステアリング操作で回避するか、むしろ加速した方が良いのか、頭じゃ無くて体のセンサーが反応する感じ。

こんな時にマンガの話を持ち出すのもアレなんですが、『頭文字D』の拓海が運転うまくなったのは、毎日ひたすらハチロクで走り続けていたからという話もありまして。

高速道路を走っていたら突然トンネルが崩落してくるなんて状況を普通想像したりしませんが、体に染みついている感覚があればこそ咄嗟に反応できた、というのはある気がします。

あと、元記事は消えてしまっていますが、このインプレッサをメンテしているというショップの方のブログ記事(⇒はてなブックマーク - 笹子トンネルで崩落事故 : 中津スバルの濃いスバリストに贈る情報)なんかを見ると、きっちりメンテもされていたようです。

GC8はミッションが壊れやすいコトに定評があり、特に前期型は「ガラスのミッション」などと呼ばれていたくらい。そんなクルマを15年間に渡り性能を維持させようと思ったら、こまめなメンテは不可欠です。このオーナーさんは、その辺も抜かりなくやっていたんでしょうね。

最後にもうひとつ、事故に遭遇したインプレッサを見るとルーフベンチレーター(屋根に付いているフタみたいなヤツ)が付いてます。これ、パカッと開けて車内に外気を取り込むモノなんですけど、なんでそんなモンが必要なのかと言えば、ラリーカーではエアコンなんて付いてないし、窓も開けられないため。もちろん、市販のクルマではそんなモン要らないはずなんですが、GC8ではType RAというグレードと一部の特別仕様車にはコレが付いてます(天井に穴を開けて「後付け」する人もいましたが)。

じゃあType RAってどんなグレードかというと、モータースポーツベースに使用するために快適装備を一切省いて、ギヤ比もクロスレシオ(加速性能を良くするために、各ギヤ比を近づけてある。その代わりシフトチェンジがせわしなくなり、最高速も伸びない)にしてあるスパルタンモデル。事故に遭遇した車両がType RAなのかどうかはわかりませんが、なんにせよルーフベンチレーターが付いている時点で「ただのGC8」ではありません。ターボモデルの中でも、さらにエッジの効いたヤツです。

(さらに言うと、当時インプレッサWRXセダンにはブルーのボディカラーは設定がありませんでした。例外として、スバルのWRC世界ラリー選手権)タイトル獲得記念モデルである「Type RA V-Limited」にはワークスラリーカーと同じ色である「ソニックブルーイカ」が設定されていたので、おそらくそれじゃないかと推定します。限定555台のレアモデルですけど……)

となると、おそらくこのオーナーさんは自身でモータースポーツをやっているのでしょう。ラリー、ダートラ、ジムカーナ、あるいはサーキット走行辺りのなにかを。長年同じクルマに乗って車両のクセを知り尽くし、そしてモータースポーツもやっていれば……そりゃあドライビングスキルはセミプロレベルですよ、きっと。

そんなワケで、まず賞賛されるべきはインプレッサよりも、長年クルマとドライビングに対して愛情を持ち続けてきた(であろう)このNHK記者さんなんじゃないかなぁと思ったのでした。だから、みんなもまずクルマの性能がどうとか以前に、自分のクルマに愛着を持って長く乗るところから始めれば良いと思うよ。あ、でもインプレッサはホントに良いクルマだよ!

2012/12/4 追記

記事内で、事故に遭遇したインプレッサのモデルについて私の乗っていたF型のひとつ前、つまりE型ではないかと推測したんですが、はてなブックマークでD型との指摘を頂いておりました。

oakrw 残念、これはD型なんだ。

via: はてなブックマーク - トンネル崩落事故のインプレッサについて一言 - 大須は萌えているか?

気になったので毎日jpのサイトに上がっていた写真↓を見たんですが、確かにD型ですね。

写真特集:中央道・笹子トンネル崩落事故

D型とE型の手っ取り早い見分け方として、E型以降は内装がフォレスターと共通化され、大幅に変わっています。しかしこの事故車両のちらっと見える内装が前期型と同じであるため、E型ではないと判断できるワケです。加えて、リアコンビネーションランプのウインカー部分がクリアになっているので、これはD型(それ以前はクリアじゃなかった)。

D型にも「Type RA V-Limited」は存在し、これも限定555台。ボディカラーは「ソニックブルーイカ」ではなく、ソリッドカラーの「スポーツブルー」。近くに寄った写真だとよくわかりますね。

写真特集:中央道・笹子トンネル崩落事故

ご指摘ありがとうございました。