大須は萌えているか?

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F1[16] スペインGP 決勝

スタートの思わぬ展開から思わぬドラマが。F1スペインGP決勝。

史上最年少優勝

当然のようにメルセデスが勝つと思っていたレースが、まさかの同士討ちでレッドブルフェラーリのガチンコ対決に早変わり。この展開にも驚いたんですが、その結果レースを制したのがレッドブル初レースのマックス・フェルスタッペンとは。ここまで予想のナナメ上を行くレースは久しぶりですね。さすがマルドナド師匠がF1唯一の優勝を飾った地と言うべきか。

メルセデスの同士討ち、それからベッテルとリカルドが選択した3ストップ作戦が結果的に失敗だったという運が味方した部分もありますが、じゃあフェルスタッペンの勝利がまったくのラッキーだったかといえば、そんなワケもありません。なんせケツにはずっとF1現役最年長のレース巧者、タイヤのマネージメントに定評のあるライコネンが張り付いていたんですから。

普通なら、まだ10代の頭に血が上りやすいお年頃、しかもF1優勝が見えているという状態ですぐ後ろに百戦錬磨の元ワールドチャンピオンが居たらさ、アクセルやブレーキ踏むのにちょっと力入り過ぎちゃってタイヤずるずる摩耗させちゃったり、コース飛び出しちゃったりしそうなもんじゃないですか。しかし彼、極めて冷静に、レースのほぼ半分にあたる32周を1セットのミディアムタイヤできっちりマネージメントして見せたワケですよ。

トロロッソでのフェルスタッペンの走りもキレキレでしたが、時折やはり若さ故の行きすぎたシーンや血気盛んなコメントがあったりもして、そんな彼がこれだけの長いスティントでライコネンを封じ込めるコトはできないと思ってました。しかし、初めてのレッドブルのマシンだからこそ、良い意味で慎重になれたのかもしれませんね。

これまでの史上最年少優勝記録はもちろんベッテルが記録(21歳73日)したものですが、フェルスタッペンはなんと18歳228日で優勝を記録。現在スーパーライセンスの発給は18歳以上でないとダメになっているので(フェルスタッペンデビュー時にはこの制限は無かった)、今後この記録が破られるコトは恐らく無いでしょうね。18歳でデビューしていきなり優勝、なんてミラクルが無い限り。まさに歴史的な勝利というワケです。

にしても、ミハエルにしろアロンソにしろハミルトンにしろベッテルにしろ、大成するドライバーってのはやはり若いときから何か持ってるもので、フェルスタッペンがこれだけの早さで初優勝を成し遂げたのを見ると、彼がワールドチャンピオンの器というのは間違い無いでしょうね。いや、恐れ入りました。

レッドブルの思惑?

一方で、一度はトップを走りながらも3ストップ作戦を選択したコトで4位に転落、さらにはタイヤのパンクにまで見舞われたリカルドにとっては散々なレースとなってしまいました。リカルドのコメントからもその不満の程がうかがえますね。

‘We threw away win’ with strategy - Ricciardo

問題は、レッドブルがリカルドに対して3ストップ作戦を命じたその理由ですよね。ベッテル&ウェバー時代に、なぜかウェバーの方にメカニカルトラブルが頻発したり、よくわからんピット戦略を選択させられたりといったコトがありましたが、今のリカルドはまさに当時のウェバーなんじゃないかと危惧する声も。

クリスチャン・ホーナーは2ストップと3ストップのどちらに利があるか分からなかったので作戦を分けた、と説明していますが、それはまぁ分からんでもない。ていうか、せっかくメルセデスが共倒れして転がり込んできた優勝を手に入れる数少ないチャンスですし、理論上は3ストップが最速とされる一方でコース上のオーバーテイクが難しく2ストップの方が速いという見方もあった(そして実際そうだった)ワケですし。

しかし、2回目のピットストップ時、フェラーリが動いたワケでもなしに、ラップリーダーのリカルドを先にピットに入れたのは何故か、という疑問は残ります。ていうか、リカルドもタイヤマネージメントに定評のあるドライバーですし、フェルスタッペンを3ストップにしてリカルドを2ストップにする方がなんとなくしっくり来るような気がするんですが。

リカルドが2度目のピットに入った28周目時点でベッテルとの差は2.2秒と詰まっている状態でしたが、ラップタイムは拮抗しており、ベッテルの動きを見極めてからでも良かったような。オマケに3度目のピットインはベッテルが先に動き、それをリカルド陣営はフォローするどころかずるずる引き延ばして結果的に逆転されちゃいましたしね。

まぁ、この辺の流れを見るとレッドブルはわざとリカルドの順位を落とさせた?と邪推したくなりますわな。レッドブルにしてみれば、ベッテルの後釜となるヒーローを欲しているワケで、リカルドよりも話題性のあるフェルスタッペンにトップを走らせた方が美味しい、と考えても不思議ではありません。仮にライコネンに逆転されても、レース後半にフェラーリとトップ争いを繰り広げるだけでも十分ニュースになりますしね。

……と、まぁ邪推は邪推なのであまりウダウダ言うのもアレなんですが。ただ、それを差し引いてもフェルスタッペンが本物だ、というコトに変わりはありません。ていうか、フェルスタッペンにしてみれば初優勝で注目度がさらに高まったこれからがホントの勝負ですね。

やっちまったメルセデス

メルセデスの同士討ちについてはレーシングインシデントとして処理され、どちらかにペナルティが科される様なコトは無かったようで。まぁそうなるな。

Mercedes drivers split over ‘racing incident’

3コーナーからの立ち上がり、ロズベルグの加速が鈍くハミルトンが一気に追いついたのは、ロズベルグがエンジンモードの選択をミスってパワーをロスしていたみたいですね。で、そのまま仕掛けようとしたハミルトンの動きを見たロズベルグがインを閉めに行ったところ、ハミルトンがグリーンにはみ出し両者激突、コースアウト。

Race: Mercedes drivers out on lap one after colliding(動画)

ハミルトンのオンボード見ると、彼がインにクルマを向けたときにロズベルグも反応しており、「あ、このまま行くとダメだな」というのは分かっていたハズ。半車身並び掛けて居る相手に切り込んでいくのはドアウトですが、ロズベルグはかなり前もって反応しています。このシチュエーションは、ハミルトンがアクセルを戻すべき状況でしょう。

ラウダ御大もハミルトンに非があるとコメントしているようです。

メルセデスのノン・エグゼクティブ・チェアマンを務めるラウダは、この事故について「私にとっては、いたってシンプルだ。これはルイスの誤算だった。ニコではなく、ルイスの責任が大きい」と語った。

「チームにとっては受け入れがたい事故だ。ルイスはアグレッシブに攻めすぎた。ニコはトップを走っているのだから、ルイスにスペースを空けてやる必要はない。まったく必要のない接触だった。それで2台が消えた。大惨事だ。なぜ、ここで? 私に説明してほしい」

via: ニキ・ラウダ、オープニングラップの同士討ちでハミルトンを非難 | AUTO SPORT web(オートスポーツweb)

まだ冷静に振る舞っているように見えるハミルトンですが、このスペインでも1コーナーでロズベルグに先行されたコトに対する焦りが無かったとは思えません。「ここで先に行かれてはどうにも不利になる」という気持ちが、アクセルを戻すコトを躊躇わせたように思えちゃうんですよね。ほんのコンマ1秒にも満たないくらいの躊躇いですが。

この一件が今後にどう影響しますかねぇ……。

そのほか

なんかレッドブルメルセデスのコトだけでずいぶん長くなってしまいました。

あとはえーと、ホンダさんソフトウェアの問題でエンジン止まるとかマジ勘弁してください。アロンソ気の毒です。バトンの後ろに留まるようにチームに言われたとかで、そうでなくてもフラストレーション溜まってるっぽいですけど大丈夫でしょうか。

Q1ノックアウトから8位まで追い上げたマッサはステキですね。

あと、ルノーの2台もファイナルラップで同士討ちしていたみたいですが、メルセデスと違って13位争いというポイント圏外でなにやってんだお前ら的な事例であります。こちらはマグヌッセンに非があるとされたみたいですが。

Magnussen penalised for intra-Renault clash

さて、次はモナコだ。