大須は萌えているか?

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F1[18] アブダビGP 決勝

まさに今シーズンを象徴するかのようなレースでした。F1アブダビGP決勝。

Still I Rise

ボールからスタートしたハミルトンが完全にレースをコントロールしての勝利。レース序盤にライコネンがマシントラブルでホームストレート上にマシンを止めてしまい、それに伴いバーチャルセーフティカーが入ったタイミングで早めのピットイン、あとは交換したスーパーソフトを最後まできっちりマネージメントしての危なげない勝利でした。

僚友のボタスはレースが進むにつれジリジリと状況を悪くさせていき、フェラーリライコネンが早々に消え、ベッテルは遅くは無いもののハミルトンほど速くも無いという、まあ今シーズンを象徴するようなレース展開となりましたね。いやシーズン開始当初は「これ今年はフェラーリいけるんちゃう?」という状況ではあったハズなんですが……。やはり全21戦の長いシーズン、序盤戦だけを見てシーズン全体を占うコトはできないってコトですねえ。

表彰台でのシャンパンファイト時、いきなり脱ぎ始めたハミルトンにはちょっとビックリしましたが、あれはハミルトンなりの「メッセージ」だったようで。

(表彰台で上半身を脱いだ理由について聞かれ)前からやりたかった。(背中に入れた)“Still I Rise”(それでも私は立ち上がる)の文字を見せたかった。今日はその完璧なタイミングだと思った。まさに今年がそういう感じだったんだ。“Still I Rise”の言葉を知らない人に教えたい。詩の一節だから読んでみてほしい。つまずいている人、落ち込んでいる人は理解できるはずだ。

via: 勝者ハミルトン、表彰台で脱いだ理由は「伝えたいメッセージがあった」:F1アブダビGP日曜

原典はこれかな?

And Still I Rise - Wikipedia

この詩の作者、マヤ・アンジェロウは黒人女性作家であり、アメリカの公民権運動にも参加して黒人の人権向上に大きく寄与した人物(2014年に他界)。アメリカでは非常に著名な方だそうですが、すいませんよく知りませんでした。ハミルトンのコメント見るまでこの詩のコトも知らなかったので、ググって詩の本文も(英語が苦手なりに)読んでみたんですが、「どんな目に遭おうとも私はまた立ち上がる」という並々ならぬ決意とエネルギーに満ちた詩であり、ハミルトン曰く「今年がそういう感じだった」というのはちょっと驚きだったりもします。だって、もうF1界で押しも押されもせぬ頂点に上り詰めているじゃないですか、彼。

ただ、イチ視聴者からはそう見えても、ハミルトンからするとまだ色んな軋轢を感じているのかもしれませんね。それにフェラーリが好調だったシーズン前半は「勝って当然」と目されていたメルセデスにあって、想像以上の責任を感じていたのかも。これだけ勝ちまくっても、さらに自分を高いところへ持っていこうとするハミルトンのモチベーションは、そういうところにあるのかもしれない。

ただ正直、テレビ画面越しでは「Still I Rise」の文字はちょっと読めなかったな……。

アロンソのラストレース(?)

今回が(一応の)ラストレースとなったアロンソ、11位フィニッシュとなりポイントゲットはならず。それでも、最後にはセクター2で全体ベストを出すなど気合いの入った走りを披露しており、思わず私もDriver of the Dayの一票をアロンソに投じてしまいました。

最後はハミルトン、ベッテルと共にホームストレートでドーナツターンを披露しておりましたが、なんか良い風景でしたねアレ。シューマッハを倒して新世代のチャンピオンとなったアロンソ、その後新たな黄金時代を築いたベッテル、ルーキー時代にアロンソのチームメイトとして衝撃的なデビューを飾り、今やF1界の頂点に上り詰めたハミルトン。

Hamilton, Vettel and Alonso sign off 2018 season with display of donuts | Formula 1(動画)

それから、3位表彰台にはさらに新しい世代のチャンピオン候補であるマックス・フェルスタッペン。また、F1の一つの時代が終わって、新しい時代が始まる瞬間なのかなーって感じがしますね。まさに、ミハエル・シューマッハが(最初の)引退をしたときのような。まあ、マクラーレンの戦闘力を考えると、少々寂しい最後ではありますが……。

しかし、あの3台によるドーナツターンは予め相談していたものではなくて、アドリブだったというのもニクイ話ですねえ。

チェッカーを受けた後、アロンソルイス・ハミルトンメルセデス)やセバスチャン・ベッテルフェラーリ)と共にホームストレートでドーナツターンを見せた。

このシーンについて、アロンソは「とても素晴らしかった。ありがたく思う」と語った。

「あれはアドリブだったんだ。彼らは他のコーナーでもドーナツターンをしていた。そこを僕が通りかかった。すると、彼らが僕の両側をついてきているのが見えた。そのままフィニッシュラインまで走っていったんだ」

via: F1アブダビGP|アロンソ、引退レースでチャンピオン同士の”アドリブ共演”「感動的な週末だった」|motorsport.com日本版

記事内で、チャーリー・ホワイティングが「アロンソが3周連続でコースのショートカットをやらかした」と暴露していたのもちょっと面白かったですが。5秒のタイムペナルティは科されたものの、それ以上のお咎めにはならなかったのは、スチュワードも偉大なドライバーのラストレースに敬意を払った、というコトでしょうか(どっちみち、結果に大きな影響は無いしね……)。

余談ですが、Driver of the Dayの動画を見てたら、シロトキンが2位に入っててちょっとビックリしたんですが。コレってロシアの同志諸君による組織票??

Driver of the Day - Fernando Alonso(動画)

そのほか

ヒュルケンベルグの転覆事故は驚きましたが、ドライバーが無傷でなによりでした。しかし、あれはヒュルケンベルグの動きが迂闊だったように見えましたねえ(レーシングインシデントとして処理されましたが)。レースでは残念な結果ではありましたが、ヒュルケンベルグはドライバーズランキング7位でシーズンを終え、年間を通しての「Best of the rest」の座を手に入れたコトになります。ランキング7位はヒュルケンベルグ自身の自己ベストでもありますね。これで表彰台乗ったコトが無いっていうのが不思議で不思議で……。

トロロッソの2人は冴えない最終戦となってしまいました、っていうか最後にガスリーのPUにトラブルが発生したのもちょっとイヤな感じではあります。レッドブルと組む来季はホンダにとってチャンスでもありますが、ある意味マクラーレンと組む以上のプレッシャーにさらされるでしょうしね。フェルスタッペンなんてルノーのことクソミソに言ってましたし、この矛先がホンダに向かないコトを願うばかりですが。

ザウバールクレールは今季10回目の入賞となる7位フィニッシュ。この安定感はスゴイね……。チームが獲得した48ポイント中39ポイントをルクレールが稼いでおり、エリクソンが同じくらいの活躍をしていたならば、マクラーレンにも勝ててましたねえ。来季はトップ3チームのうち、フェラーリレッドブルに若いドライバーが加入するというコトで、どういう変化が起きるか楽しみなところでもあります。内紛起きないと良いですね?

ともあれ、2018年のF1シーズンもこれにて終了というコトで、F1好きの皆様今年もお疲れ様でした。また来年もよろしくお願いいたします。