大須は萌えているか?

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Windows8を数週間使ってみた感想

そのうち書こうと思って忘れていたWindows8の話でも。

ちょっと前に自宅のメインマシンが不調になったとき(⇒ DELL Studio XPS 435が壊れかけてたのでパーツ交換した話)、起動ドライブとして使っていたSSDを新しいモノに交換するついでにWindows8も入れてみたんですね。正直Windows8に関する予備知識はほとんど無い状態で、ただ新しいからなんとなく試してみたくなった程度のノリで。

インストール作業自体はスムーズに進み、環境構築も問題らしい問題はありませんでした。ただ、最初WindowsのログインアカウントがLive IDと連動しているコトを全然知らなくて、適当なアカウントを新たに作っちゃって、それを修正する方法がよくわからなくて混乱したくらいでしょうか。

全体的な感想としては、悪くは無いOSです。個人で今からWindows環境を作るなら、8を避ける理由はあんまし無い気はします。ただ、手放しで褒めたくなるよーなOSでも無いというなんだか微妙なところなんですが。

Windows8のメリット

起動とシャットダウンの高速化

まず明確なメリットとして感じるのは、起動とシャットダウンに掛かる時間が短縮されたコトです。Windows8UEFIと組み合わせるコトによって爆速の起動っぷりを発揮するらしいですが(⇒ 【清水理史の「イニシャルB」】 Windows 8を覚醒させるUEFIチューニング~電源オンから5秒以内に起動するPCを実現する -INTERNET Watch)、私の使ってるDELLのマシンはそんなもん対応しておりません。

ただ、Windows8は旧来のBIOSでもインストール可能ですし、デフォルトで「高速スタートアップ」という機能がオンになっているため、古いマシンでも起動・シャットダウンは高速化されます。この「高速スタートアップ」とはどんな機能かと言えば、「従来のコールドブートと休止状態からの復帰をかけ合わせた機能」とのこと。

Windows 8 でお届けする高速な起動 - Building Windows 8 - Site Home - MSDN Blogs

かつてWindows Vistaではシャットダウンではなくスリープモードを使ってね、という意図でデフォルトでは「シャットダウン」のボタンが表示されていなかったワケですが、これが見事に大不評。そしてWindows7ではあえなくボツになったのは記憶に新しいところ。

で、その流れを踏まえて、今度は

  • オフ状態時の消費電力が実質ゼロ
  • 起動後は新しいセッションを開始
  • 電源ボタンを押してからきわめて短時間のうちに PC を使用可能

via: Windows 8 でお届けする高速な起動 - Building Windows 8 - Site Home - MSDN Blogs

という目標を掲げて新たに開発したのが、この「高速スタートアップ」なんだそうな。そう、確かにスリープモードがなんかイヤだったのは、セッションがそのまま残っちゃうという点だったんですよねぇ。作業状態がそのまま残るから便利っちゃ便利なんですが、作業状態を残したいときはそもそも電源入れっぱにしとくし。シャットダウンしたいときってのは、一度PCの状態をクリーンにしたいときなんですよね。

そういう意味じゃこの「高速スタートアップ」はちょうどいい落としどころになっている気はします。これによってシャットダウンも高速化しているし。それでも、「こんな休止状態に毛の生えたようなもんじゃ納得出来ん!」という人は従来のコールドブートをデフォルトにするオプションも提供されています。

Windows7との互換性の高さ

タッチパネルを意識したUIの採用で大幅な変化を遂げたよーにも見えるWindows8ですが、一皮むけばWindows7の正常進化版のよーな印象を受けます。エクスプローラにまでリボンUIが採用されたりっていう変化はあるんですけど、初期状態だとリボンは隠れているからそんなに違和感無いし。

んで、気になったアプリケーション等の互換性なんですけど、自分が常用しているモノについては特になんの問題もなく使用できています。Windows7で使えていたのに8じゃ使えない!っていうのはありません。今のところ。少なくとも、Microsoftは「全て動く」と言ってるらしい。

マイクロソフトは「Windows 7パソコンで動くものはWindows 8で全て動く」としている。

via: 【デスクトップ】Windows 7との互換性を完全に確保:PC Online

ただ、後述するModern UI上だとATOKがちゃんと動かないとかってのはあったんですけどね。これについては、ATOK 2013の先行試用版をインストールすることで一応解決。

あと、窓の杜なんかでWindows8対応ソフトの一覧を用意してたりもするので、参照してみるといいかも。

【集中企画】Windows 8対応オンラインソフト一覧 - 窓の杜

Windows8のデメリット

自己主張の激しいModern UI

Windows8の特徴といえば、なんといってもModern UIでしょう。ていうかコレ以前は「Metro UI」とか呼ばれてなかったっけ、と思ったら、商標権のからみで知らん間に名前が変わっていたんですね。

Windows新時代 - タイル型UIで生まれ変わるWindows 8、新たにARMにも対応:ITpro

これ、タッチパネルを非常に強く意識したUIであるコトは明らかです。おそらく、タブレットスマートフォンではそれなりに使い勝手の良いUIになり得るんじゃないでしょうか。……ただね、なんでそれをキーボードとマウスで操作するPC用OSとひとまとめにしちゃったのか。

このModern UIをどっかに引っ込めておくことができるならそれで良いんですが、残念ながらそれができないようになってたりして。OSを起動してログインすると、問答無用でタイルの並んだスタート画面が表示されます。んでもって、「デスクトップ」もこのスタート画面から呼び出す格好になります。起動したらデスクトップが表示されて、Windowsボタンをクリックしたらスタートメニューが表示される……というお約束が木っ端みじんにされてしまい、旧来のユーザは戸惑うコト必至。

一番戸惑ったのは、「シャットダウン」をどこから行えば良いのかわからんかったコトですけどね。スタート画面に無いんですよ。方法はいくつかあるんですけど、手数が少なめで済むのはデスクトップ上で「Alt + F4」押してシャットダウンメニュー呼び出す方法かなぁ……。

んで、さらに問題なのがこのModern UIで動作するアプリケーション群。これらはWindowsのアプリストアからダウンロードできるコトから「ストアアプリ」と呼ばれているみたいですが、こいつらがまたウザい。

なんでかとゆーと、これらのアプリは基本的にフルスクリーンで動作するワケですよ。ウインドウサイズに縮小できない(画面端にスナップさせるコトはできますが、自由な拡大縮小は不可)。「それってもはや『ウインドウズ』じゃなくね?」という気もしてしまうんですが、それはさておき。確かにスマホタブレット用アプリの動作としてはそれで正解なんだと思うんですが、据え置きのPC用ディスプレイの上で全画面表示したいアプリってそんなに無いワケですよ。ていうか、複数のウィンドウ開いて並行作業したいからデスクトップPCなんてモノ使っているワケでしてね。

そしてご丁寧に、Windows8では初期状態だと主要な拡張子がだいたいストアアプリと関連づけられておるワケですよ。メディアプレーヤーも全画面、メールクライアントも全画面、PDF読むのも全画面。嫌がらせか!もちろん、これらの設定は拡張子の関連づけを変えてやることで従来のWindowsアプリで開けるようになりますが、正直めんどくさい。

そしてこれらのストアアプリには「×」ボタンなどもなく、そもそもどうやって閉じれば良いのか、どうすればデスクトップが呼び戻せるのかもわかりにくくなっています。今までのWindowsの作法が全然通じないので。つまり、従来のWindowsのUIと、Modern UIというルールの全く異なるUIが同時並行的に存在しており、ストアアプリの起動なんかで不意にそれが切り替わるという状態。

Appleはデスクトップとノート用のMac OSと、スマホタブレット用のiOSという形で分けており、Mac OSにもじわじわとiOS寄りのUIを採用しつつありますが、それは段階的に慎重にやっている印象を受けます。一方でMicrosoftスマホ市場で完全に置いてけぼりを食った焦りもあったのか知りませんが、いきなり全く異なる概念の2つのUIを悪魔合体させてしまった印象を受けます。

それならそれで、せめてModern UIを完全にキャンセルできるオプションを用意しといてくれれば良いのに、その辺のフォローは全くなし。よほどこの新しいUIに自信があったんでしょうか。狙いとしては「マウスでもタッチパネルでも快適に使えるUI」なんでしょうけど、残念ながらマウスとキーボードで操作する前提では従来のUIのがはるかに使いやすいです。

一応、従来のスタートメニューを再現するフリーソフトなんかもあるみたいなので、あとはストアアプリの関連づけを解除してやればWindows7とほぼ同じ感覚で操作できるようになるハズですが……この辺はMicrosoftが標準で対応して欲しいですね。

それでも一応、いくつか適当にストアアプリを試してみたりはしてますが、正直ストアアプリならではのメリットを感じたコトはほぼ無いですね。One Noteが無料で使えるくらいかなぁ。

XPモードの消滅

これがデメリットになるかどうかは人によると思うんですが、Windows7の上位エディションで提供されていたXPモードが消滅しました。バーチャルハードディスク(VHD)のマウントは可能であるものの、使用するには別途XPのライセンスが必要みたい。XPモードで作成したデータを取り出すコトは可能っぽい。試してませんけど。

Windows XP モードの仮想マシンに Windows 8 からデータを取得する方法

VHDやISOのマウントがOSでサポートされているのはメリットといえばメリットですが、これを「ありがてえ」と思うユーザーは少数派だろうなぁと……。とりあえず、「XPモードじゃないと動作しない古いエロゲがあるんじゃぁぁぁ」という方はお気を付けください。

そんなこんなで

改めてWindows8のメリット・デメリットを端的に言うならば、「動きは速くなった、でもModern UIと従来のUIの悪魔合体をなんとかしろ」てなもんで。

UIデザインのセンスにおいてMicrosoftAppleにどれほどの差を付けられているのかが改めて露呈してしまった感もあります。フォントも相変わらず汚いままだし。gdippがちゃんと動作してくれるのが救い。

Microsoftって知らない間にSkyDriveがDropBoxのパク……インスパイアでかなり使いやすくなっていたり、ブラウザアプリ版OfficeもGoogleに負けじと結構頑張ってる気がするんですが、なんかライバルの後追いばかりで上手くアピールできてない気がしますね。One NoteなんかはEvernoteに先んじて開発されたすごく使い勝手の良いノートアプリなのに、有料パッケージ&クロスプラットフォーム戦略に乗り遅れてEvernoteが流行った影で忘れ去られている感すらありますが。

んでもってAppleに追いつけ追い越せと開発されたWindows8がこれでしょ?いやModern UI自体を否定するつもりはないんですけど、なんでそれを従来のWindows OSと混ぜちゃったのかっていう……。

なんかいろいろもったいないコトやってる気がしちゃうんですけどね、Microsoftって。