大須は萌えているか?

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MGSV:TPPをプレイした話

予約購入していたものの、なかなかガッツリプレイする時間が確保出来ずに先日ようやくメインストーリーをクリアできたMETAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN(MGSV TPP)の話。発売後かれこれ経ってますし、ネタバレ含めて書きます。あ、ちなみにプレイしたのはPS3版。すっごく久しぶりにPS3のゲームをやり込んだ気がします。

メタルギアソリッドV ファントムペイン
リエーター情報なし
コナミデジタルエンタテインメント

ゲームを一通りプレイしてみた感想としては、「すっげえ面白かった」です。

広大なマップ

なによりも良かったのは、あの広大なマップ。スネークがミッションエリアにヘリで移動する際、そこから見えるマップの広大さにはホントに驚かされます。アフガンとアフリカのだだっ広いエリアを走り回ったり、ジープやトラック、果ては戦車を乗り回して移動しながら敵兵をフルトン回収したり吹っ飛ばしたりしてるだけでもめっちゃ楽しい。

箱庭的なステージをオンザレール感覚でストーリーをなぞるのではなく、広大なマップを自由に行き来しながら遊びたい……とはよく言われる話ですが、それを本気で実現したゲームではないかなと。メインのストーリーを進行させるときには移動可能エリアがある程度制限されちゃいますが、メインのミッション遂行中はあんまり関係無い場所に行けちゃうとそれはそれで混乱しそうなので、特に不満には感じませんでした。

メインのミッションを進めながら、息抜きにフリーの状態で広大なマップをかけずり回り、SIDE OPSをこなす……というメリハリがむしろちょうど良い案配でしたね。

多様な攻略方法

あと、これは過去のMGSでも同様だと思いますが、ミッションをクリアするためのアプローチがいろいろ考えられるのが面白いですね。「ターゲットを排除せよ」という目的に対して、ターゲットの居場所まで行って気絶させた上でフルトン回収する、あるいは遠距離から狙撃して殺す、というどちらの方法でもクリアできる、みたいな。

なので、プレイヤー個々人のプレイスタイルやその時点で使える装備なんかと相談しながら、自分なりの攻略方法を編み出していく。このプロセスが楽しい。一度クリアしたミッションも後から再度やり直しができるので、クリア後に開発した新しい武器を引っさげて別の方法での攻略を狙ってみる、なんてコトもできるワケです。

個人的に特に面白かったのはミッション19『ロング・トレイル』でしょうか。「核兵器をビジネスにする」という噂を吹聴している「少佐」と呼ばれるPFコマンダーを排除するミッション。「少佐」の居場所がわからないため、「少佐」と落ち合う予定になっているという部下を尾行し、「少佐」が姿を現したところで排除する……という流れ。

ミッションは「少佐」の部下数名が居る監視所近くからスタートするワケですが、最初は大人しく部下を追跡して、「少佐」と落ち合ったところをスモーク&スタングレネードで襲撃してフルトン回収してクリア。

んで、クリア後ふと「これ、『少佐』の部下を最初に捕まえちゃうとどうなるんだろ?」と思い、ミッション開始後真っ先に「少佐」の部下を襲撃してフルトン回収してみたら、それを察知した「少佐」は近くを哨戒していた戦闘ヘリに乗り込んでミッション圏外に逃げてしまい、ゲームオーバー。

それならばと、最初にまず戦闘ヘリをロケットランチャーで撃墜し(哨戒中はゆっくり飛んでいるので落としやすい)、その後「少佐」の部下をフルトン回収してみたところ、逃げられなくなった「少佐」は本来部下と落ち合うはずだった場所の近くの監視所に居たので、それを回収してクリア達成。

さらにその後、誘導ミサイルをぶっ放せる武器が開発できたので、試しに一番最初に部下をミサイルでまとめて吹き飛ばし、「少佐」を乗せて逃げようとするヘリを誘導弾で撃墜してみたところ、いとも簡単にSランククリアできてしまいました。

こんな感じで、ゲームを進めて新しい武器や装備が手に入るたびに「あ、これがあればこういう攻略ができそう」みたいなコトを考えられるのが楽しいんですよね。

やり込み要素の多さ

それからこのゲーム、とにかくやり込み要素が多い。PSPの『ピースウォーカー』でも存在した、拠点となるマザーベースを拡張したりフルトン回収した捕虜を味方にして戦力を増強するという要素があり、戦力を増強しただけ武器の開発能力等も向上していくため、かなりムキになってフルトン回収しまくってしまいます。

開発できるようになる武器も多種多様なので、これをすべて開発するのにも相当なやり込みが必要。オマケに今作では敵の乗り物や野生動物もフルトン回収できるようになっており、回収した野生動物は専用の保護プラットホームまで用意されているのでこちらもついつい集めたくなってしまいます。

やり込み要素があまりに多いと逆にプレイ内容がマンネリ化する恐れもありますが、先に挙げた広大なマップと攻略方法の多様さもあって、マップを目的地を決めずに能力値の高い敵兵士や野生動物を求めて彷徨ったり、同じミッションを何度か繰り返しプレイしてても飽きないんですよね、これが。この絶妙なゲームバランスは非常にステキ。

あ、そういや今回新たなやり込み要素として実装されている『メタルギア オンライン』は特に手を付けてないです。もうちょっとFOBを拡張して、武器の開発進めたらちょっとやってみるかなぁ?

ストーリーについて

ストーリーについては「まぁこんなもんかな」くらいの印象。メインストーリーの最後に、今作のスネークはBIGBOSSではなく影武者でした!というオチが明かされるワケですが、エピソード1の時点で結構ロコツな伏線を張ってましたしね。

今作は「声帯虫」という「言葉」を依り代にする寄生虫の存在がひとつのカギになっていましたが、言葉による支配というテーマはそれこそジョージ・オーウェルの『1984』のようでもあり、現実の歴史でも植民地で行われていたコトでもあります。

てか、BIGBOSSが昏睡状態から目覚めたのが1984年であり、カセットテープの会話でヴェノム・スネークを影武者に仕立てることをBIGBOSSに話すオセロットが「私は貴方のことを忘れます。しかし必要な時には貴方がBIGBOSSだと思い出せなくてはならない。ダブルシンクです」みたいなコトを言い、BIGBOSSが「この年にか」と言うのがちょっと面白かったですね。

エピソード1でBIGBOSSが自らを「イシュメール」と名乗り、ヴェノムのことを「エイハブ」と呼ぶのはハーマン・メルヴィルの『白鯨』が元ネタのようで、スネークの空中司令室にもなるヘリ「ピークォド」も『白鯨』に出てくる捕鯨船の名称ですね。ただ、私『1984』は読んでるんですが『白鯨』は読んだコトないので、ちょっと読んでみようかと。義足の捕鯨船長エイハブが、自分の足を奪った白鯨「モビィ・ディック」に復讐を誓う……ってMGSV TPPにかなり強い影響を与えてそうな作品。

しかし、今作のビックリドッキリメカ・サヘラントロプス破壊後(第2章)のミッション「死してもなお輝く」や「静かなる消失」の演出はなかなかシビれましたね。ダイヤモンド・ドッグズのお色気担当(?)であるクワイエットが居なくなってしまったのは痛恨の極みですが。

ただ、この第2章のボリュームがなんか中途半端な感じもします。[完全ステルス]だの[EXTREME]だのという物騒な名前の付いたミッションで水増しされてますが、第2章オリジナルのミッションとしては7つしか無いし。限定版の特典BDには「蠅の王国」というサブタイトルが付いた未収録ミッションの未完成版ムービーが収録されていますが、こんなのがあるってコトはホントはもっと作り込みたかったけど、諸般の事情で打ち切って発売した……という風に見えちゃいますね、どうしても。

「蠅の王国」はサヘラントロプスを強奪してマザーベースを脱走したイーライと少年兵たちの後日談ですが、確かにゲーム本編だと脱走したまま終了、という尻切れトンボな状態になっちゃってるしなぁ……。でもまぁ、イーライ=リキッド・スネークがあの宙に浮いてる少年=サイコ・マンティス(?)とその後ごにょごにょあっていろいろ拗らせた挙げ句シャドー・モセス島事件とか起こす、というのはなんとなく繋がる話ではあります。

そんなこんなで

しかしこのストーリーの微妙な中途半端さについては批判の声も多いようで、それはソーシャルゲーに開発リソースを集中させていく(ウイニングイレブン以外?)ことを明確にしているコナミの姿勢と無関係ではないんでしょうね。つまり、これが最後のメタルギアシリーズ作品ってコトになるんでしょうから(コナミ自身は続けるってアナウンスを出しているけど、『桃鉄』シリーズのさくまあきら氏を巡るゴタゴタを見てても正直怪しい)。

まー会社の経営判断として、開発期間の長い・予算が高い大作ゲームよりも、開発期間が短くコケてもリトライが容易なソーシャルゲームの方がリスクが低いというのは理解できる話ではありますが。ただ、ゲーム会社って利益を追求する以前に、経営者含めて「ゲーム好き」であって欲しいと思うんですけどね。今のコナミはクリエイターとの確執の噂しか聞こえてこないし、そこにゲームに対する愛情は感じられない。そこが悲しいところで。

あともう少し妄想を膨らませると、大作ゲームの製作を指揮できるクリエイターはそんなに居るものではなく、どうしてもそのクリエイター個人の才能に依るところが大きくなるかと思います。となると、必然的にそのクリエイターに大きな裁量を持たせるコトになりますが、それが行きすぎるとそのクリエイターの存在が経営陣にとってアンコントローラブルな存在になっていく、それを嫌う向きがあっても不思議じゃないよなー、とか。妄想ですけど。

このMGSVのようなゲームはまさに「自分がやりたかったゲーム」で、正直これならPS4版を本体ごと買っても良かったかな、と思えるくらい。しかしまー、余暇時間を埋めるコンテンツが溢れかえってしまっている昨今、プレイヤー側もこうした「大作ゲーム」にガッツリのめり込むコトは難しくなっています。だから私も隙間時間にちょいちょいやれる『艦これ』はついついプレイしちゃうし、スマホソーシャルゲームが流行るのも理解はできる。

ただ、ホントはそれでものめり込まずにはいられないパワーを持った大作ゲームにもっと登場してきて欲しいんですよね。私にとって、MGSVはそのパワーを持った作品でした。ていうか、困ったコトにまだ当分遊べそうです。