大須は萌えているか?

gooブログからこっちに移動しました

F1[24] モナコGP 決勝

壮絶な我慢大会と化した決勝レース。これもまたモナコらしいレースではありますね。というか、モナコでないとこんなレース展開は成立しない……というワケで、F1モナコGP決勝のお話。

今回のレースの一番のハイライトは、アロンソが巧みなペースコントロールで後続を完全に封じ込め、前を行くストロールのためにフリーストップが可能になるだけのギャップを作り出してくれたのに、それをストロールが交換したばかりのタイヤをあっさりパンクさせて入賞のチャンスをフイにしたシーンではないでしょうか。

とにかくモナコはそう簡単に抜けないコースなワケですが、それが1周目に赤旗が出ちゃったことにより、ほとんどのクルマがタイヤ交換義務を満たす形で1回めのスタートと異なるタイヤを再スタート時に履いちゃったもんだから、ピットストップ戦略によるオーバーテイクのチャンスすらほぼ消滅するという展開になってしまいましたね。

赤旗の原因になったクラッシュについて、審議対象にすらならなかったのはかなり驚きなんですが、ペレスにもある程度の原因があると見なされたんでしょうね。確かに、ペレスももうちょっとスペースを空ける余地はあったんでしょうけど、あの状況で斜め後ろにいるマグヌッセンに気づけるかというとなあ……。

www.formula1.com

それはさておき、ミディアムからハードタイヤに交換した面々はまだ良いとして、ハードからミディアムに履き替えた方はかなりキツい状況になったワケですね。ただ、問題はタイヤそのもののマネージメントだけではなく、後ろ数台のマシンのタイム差もマネージメントする必要があった、という。

つまり、ある程度余力があるからといって飛ばしてしまうと、もしかしたら自分の後ろにいるヤツと、さらにその後ろにいるヤツの間隔が広がってしまい、フリーストップを得られるだけのギャップが出来てしまうかもしれない。その動きに反応してカウンターを打てれば良いかもしれませんが、アンダーカットされるリスクが伴いますし、それにセーフティカーが入った場合めちゃくちゃ状況が悪くなるのは確実。トラックポジションが超重要なモナコでは、前を走っているクルマは先に動けないですからね。そしてモナコはセーフティカーの出動リスクが極めて高い。

なので、タイヤマネージメントという観点から見ても遅すぎるくらいのペースで走り、後続がバラけ過ぎないように走るという「ゆっくり走りつつ抜かれない技術」が要求されてしまうワケですね。みんな揃ってフリーストップできない状況になっていれば、誰も身動きできないワケですから。モナコはポイントを押さえれば抜かれないようにするのはそこまで難しくない(タイヤのオフセットに極端な差がある場合は別)ですが、逆に集中力を保つのが大変でしょうね。

ルクレールは過度にスローダウンして走っていると、ピアストリがプッシュしてきたときにブレーキングポイントが分からなくなってミスをする可能性があるので気乗りしなかったみたいですね。

Yeah, I think we had a target gap with Russell that we didn't want to open too much and I wasn't too much for that because I felt like I was a lot off the pace and what I didn't want is that Oscar started to push straight away and then you don't have references. I was going so slow in the middle of the race that if you start to push, then you don't really know where to brake and that's where mistakes can happen. So I just wanted to get into the rhythm and start to push a bit more.

via: FIA post-race press conference : Charles LECLERC – 2024 Monaco Grand Prix | Formula 1®

走りのリズムが掴めなくなる、というのは間違いなくあるんでしょうね。ポジションを守るために必要なコトだとはいえ、進んでこういうコトをやりたがるドライバーは居ないでしょう。

さらにそれを極端な形でやっていたのがRBと角田で、もう最初から前にいる7台との勝負は考えず、徹底的に後ろとのマージンをコントロールしてみせました。ずっと真後ろにアルボンが張り付いている状態でそれをマネージメントしきった角田の集中力も見事なもんですが、アルボンにとっても相当苦痛なレースだったみたいですね。

It was a bit frustrating out there as you could see how much pace Yuki had but he was managing excessively, so it was a very slow and painful race; I was struggling to stay focused.

via: What the teams said : Alex Albon – Race day at the 2024 Monaco Grand Prix | Formula 1®

結果的に、予選のトップ10の順位がそのまま決勝トップ10の順位となり、フルディスタンス走ったレースでトップ10の順位が変わらなかったというのはおそらくF1史上初なんじゃないですかね?

まー退屈なレースだったと言ってしまうとそれまでなんですが、しかしルクレールがついに母国GP制覇してみせたというのは良かった良かった。レース後のルクレールを見ているとこっちまで嬉しくなっちゃいましたし。アルベール2世大公までシャンパンを振っていたのも面白かったですね。