大須は萌えているか?

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『ソードアート・オンライン』がとても気になる その3

ソードアート・オンライン(SAO)を24話まで観ました(BS11放送分を録画して観てます)。この話で最終話かと思ったらまだ続く(次が最終話らしい)みたいなんですが、とりあえずストーリー的にはエピローグを残すのみかなと思われますので、最後にもう一回気になる点を書き出しておこうかと思います。ていうか、早い話が茶々入れて遊んでるだけなので、SAO大好きっ子の方は取り扱いにご注意ください。

過去に書いたもの↓

キリトさん

彼の行動原理はやっぱりちょっと謎だったよーな気がします。アルヴヘイム・オンライン(ALO)内で目撃情報のあったアスナを救出するために再びナーヴギア被ってゲームの世界に入り込む……という流れがそもそもしっくりこない。いやだってさ、このゲームって須郷信之がゲームマスターやってる世界でしょ?てことは、その気になれば須郷が好き勝手に改変できる世界なワケで。

キリトはSAO開発者である茅場晶彦のことは心の奥底で信頼しているフシがありますが、須郷とはアスナの病室で出会っていきなりその三流悪役ぶりを目の当たりにしているワケですから、信用に値しないコトはよくわかっているでしょう。そんな人間が管理しているゲーム世界に飛び込んだところで、アスナを救出できる目があるとは思えない。ましてや、「一刻も早く救出したい」という状況ですよ?

本来キリトが一番最初に取るべき行動は、警察に相談するコトでしょう。当然警察にはSAO事件の専従捜査班が組まれているハズなので、そこにアスナの情報を持って行く。ただ、警察もそんなあやふやな情報でちゃんと動いてくれるかはわかりません。ただ、相談する価値はあるハズ。それに、アスナのナーヴギアがどこのサーバに接続されているかなんて、警察がその気になればすぐ調べられそうなもんですけど。もし妙な偽装がされていたとしたら、それはそれで須郷を追求する材料になりますし。

それからもう一人相談するべきはアスナパパ。自分の娘の身の安全に関する話なんですから、当然警察よりも強い関心を持ってくれるハズです。んでもって、アスナパパは須郷の会社のCEOなワケですから、ALOのサービスをいったん停止して調査させるコトくらいするでしょう。まーALOはドル箱だから無理、とか言うコトもあるかもしれませんけど。

これらのプロセスを踏んで、それでも須郷は尻尾をつかませずにやり過ごす策を用意していた。こうなったらやはりゲームの中からアスナを救い出すしかない……!という展開なら、それなりに理解できるんですけどね。キリトさん問答無用でナーヴギア被ってログインしちゃうんだもん。それならせめて須郷に悟られにくいように名前を変えて、スネークよろしくスニーキング・ミッションを展開するのかと思いきや、名前はSAOからそのままで、しかも思いっきり目立つ行動取りまくっちゃうし。

ゲーム内でも策という策もなく、とりあえず正面突破であとは成り行き任せという脳筋プレイを展開しており、まさに「結果オーライ」としか言いようのない結末となっておりましたね。土壇場で須郷にやられそうになったとき、「これは報いなのか」とか言ってるキリトを見て、いやお前今頃なに言ってるんだというか、物語通してのキリトの行動を見るに付け、アスナ救出以前にお前ゲーム楽しみたかっただけちゃうんかと言いたくなるワケです。

余談なんですが、以前読んだITmediaの記事でアメリカの心理学教授が「テクノロジー依存(IT依存)」になりやすい人の性格として挙げている6つのポイントが紹介されていたんですが、これみたらなんだか妙にキリトさんのコトを連想してしまいまして。

小寺信良「ケータイの力学」:青少年のネット依存を考える(5) - ITmedia Mobile

  1. 衝動性:よく考えないで行動しがち
    ⇒ そのまんま
  2. 刺激追求:常に新しいものを求める
    ⇒ SAOという新しいインターフェイスのゲームに真っ先に食いついた
  3. 精神病質:時に攻撃的になる
    ⇒ ゲーム内でピンチになったときによくプッツンする
  4. 社会的逸脱:ルールや規範に従わない
    ⇒ ゲームのルールを超えたがる
  5. 危険回避:ネットでは実社会よりも責任や被害が少ないことを知っている
    ⇒ 死なないゲームなんてぬるすぎるぜ!
  6. 報酬依存:環境から受けるポジティブな刺激に過敏に反応する
    ⇒ ポジティブな刺激に飢えているフシはある

……これ狙ってやってるんだとしたら、キリトのキャラクターって良く練られているんだな、という気も。家庭環境から来る心理的ストレスでテクノロジー依存に陥ってしまった少年の成長物語になるのであれば。ただあんまり2クール通して成長しているように見えないんだよな……。

茅場晶彦

ALO編でもまさかの再登場となりましたが、本人そのものではなく、茅場の意識の残像のようなものらしいですね。

でもキリトとキチンと会話できているところを見ると、茅場晶彦という人格そのものが電子データ化された存在に見えますが……。いくら近未来の話とは言え、須郷がSAOプレーヤーたちを利用して人間の「思考・記憶操作技術の基礎研究」を行っていたという頃合いに、人格そのものをデータ化するといのはいくら茅場が天才だとしてもオーバーテクノロジー過ぎるだろうという気がしなくもないんですが。

それ言ったら、人工知能であるユイもオーバーテクノロジーなんですけどね。あれだけ完璧な会話能力を持つ人工知能プログラムが、実行環境ごとキリトのナーヴギアに転送可能とは思えないんですが……ナーヴギアのスペックってどうなってるんですか一体。

須郷信之

いやー24話の子安武人の演技が素晴らしかったですね。あのクズっぷりが。もうあれだけでもSAO観てた甲斐ありました。ディオといいこの須郷といい、今期実に良い仕事されてますね。

それはそれとして、須郷は須郷でなんでキリトに対して網を張っておかなかったのかが気になりますね。24話での口ぶりを見るとキリトの進入にはホントに土壇場まで気づいて無かったようですが、キリトなんて「グランド・クエスト」に単身突っ込むとか散々目立つ行動をしていたんだから少しは気付けよと。

にしても、見事なまでに絵に描いたような三流悪役で、なんかもう少し個性が欲しかったですね。まーSAOのキャラって全体的に掘り下げが浅い印象ですけど……。

直葉(キリトさん妹)

おにいちゃんに振られて泣き崩れたかと思えば、その後ゲーム内でキリトに一騎打ちを申し入れてそれで手打ちなんて、お前どこのガンダムファイターだよ。

長田伸一(キリトさん妹のストーk……クラスメイト)

シルフの彼ね。いやなんかもう気の毒な役回りでした。直葉とねんごろになりたいのに彼女はずっとおにいちゃんラブで、でもそのおにいちゃんの活路を開くために自爆魔法で敵を屠るという漢気はもっと評価されて良いと思います。個人的には一番感情移入できたキャラかもしれません。

「オンラインゲーム」という舞台設定

にしても、アインクラッド編の茅場同様、須郷も最初と最後以外ほとんど出番無かったですね。SAOの1話を観たときに、私はこれは茅場の物語でもあるんだろうなと思ったんですよ。異世界ファンタジーと違って、オンラインゲームは現実世界に存在する人工的な箱庭で、それを作った人間が存在する。その現実世界と箱庭世界双方を描きながら、プレーヤーとその世界を仕組んだ開発者の知恵比べみたいな物語。

でも実際は、開発者側の視点というのはほとんど描かれず、プレーヤー側視点がほとんど。しかも、現実世界の描写もかなり限定的。大半はゲーム世界内でキャッキャウフフしたりキリトさんが俺TUEEEしてるシーン。

今になって思うと、この物語の舞台設定がオンラインゲームになっているのって、読者(視聴者)に感情移入させやすくするため、っていう理由が一番大きかったのかなぁと。

ラノベの流れ的に、昔は異世界で完結する物語が多かったのが、現実(に準拠した)世界に住んでいる主人公が異世界にすっ飛ばされるとか、異世界から異能の力を持ったヒロインが現実世界にやってくるとか、現実世界に最初から異能の力を持ったヤツがわらわら居るとか、っていう方向にシフトしてきたワケじゃないですか。

それと同じ流れで、主人公を「オンラインゲームのプレーヤー」にするコトで読者が感情移入しやすくしましょうと。そうすりゃ主人公らは異能の力すら無いオンラインRPG好きなただの少年になり、より読者との距離が近くなるので。

ただそうなると、当然ながら読者層にRPG好きが多くなるコトが想定されるワケで。RPG好きの読者に対し、ゲーム世界の箱庭感だとか、ゲームマスターのさじ加減ひとつでどうにでもなっちゃうなんて部分を強調しちゃうと、白けられてしまう可能性が高い。なので真のラスボスたるゲームマスターの存在感は妙に薄いまま、最初と最後にちょろっと出てきて終了、みたいな。その辺なんか、悪く言うと読者に媚びている印象があります。

でもまー、私もあーだこーだ言いながら最後までアニメ観つつ都合3度に渡ってSAOの記事を書いちゃう有様なので、この作品にはなにか観ずにはおれない吸引力みたいなモノがあるんだと思います。ツッコミを入れたいから観るっていうのもひとつの魅力なんですよ。ホントにつまらない作品は途中で観るのやめちゃうし、話題にもしないので。

アニメも概ね好評に終わったようですし、原作小説は結構量があるみたいなので、アニメ第二期もありそうですね。もし放送決定したらどうするか?そりゃ観ますよ!