俺のメルセデスがこんなに速いわけがない。F1ハンガリーGP決勝。
決勝結果：
FORMULA 1 MAGYAR NAGYDIJ 2013 - The Official F1 Website
決勝後ドライバーコメント：
Race - selected team and driver quotes - The Official F1 Website
決勝後記者会見：
FIA post-race press conference - Hungary - The Official F1 Website
なんとびっくりハミルトン
2番手スタートではあるものの、順当に考えればベッテルが勝つレースだろうなと思っていたワケですよ。路面温度が50度を超える暑いレース、タイヤに優しくないメルセデスがペースをキープできるワケはなかろうと。スタートでハミルトンが先行したとしても、ピットでベッテルが逆転するパターンだろうと。
しかし、今回のハミルトンは終始力強いレースペースでリードを保ち、バトルらしいバトルも無いまま勝ってしまいました。どうしたメルセデス一体なにがあった。今回タイヤが新しくなった影響もあるのか分かりませんが、その割にフリー走行では調子悪そうだったし……。
ベッテルは最初のピットストップ後、ミディアムで引っ張るバトンの後ろに出てしまったという不運もありましたが、それが無くても今回のハミルトンはベッテルを押さえ込めるだけのペースを持ってましたね。しかしいくらハンガロリンクが得意なハミルトンとは言え、ここまでのレースペースを維持できたというのは驚きだし、ハミルトン自身もこの勝利を「奇跡が起きた」と言ってますね。
What a great weekend! We really didn't expect this when we came here this weekend and I said last night that I would need a miracle to win today. Well, just maybe they do happen.
via: Lewis Hamilton:Race - selected team and driver quotes - The Official F1 Website
一方、インタビューで「ピットストップで2度もジェンソンの後ろでコースに戻ることになったのは戦略的に誤算だったのでは……」と問われたベッテル、「イエスでもありノーでもある」とコメント。レッドブルとしてもタイヤがギリギリだったみたいで、そうせざるを得なかったというのがホンネのようです。
On the last lap before I pitted the first time my tyres were so bad that I lost quite a lot of time, so it took me one or one and a half seconds longer which resulted in me coming out behind Jenson.
via: Sebastian Vettel Q&A: It was a turbulent race - The Official F1 Website
今回はハミルトンが上手いこと先行逃げ切りパターンに乗った形で、オハコを奪われたベッテルは抜きにくいサーキットで四苦八苦した格好。ベッテルにしてみれば、スタート後2番手でハミルトンを追走していながら、ハミルトンが先にピットに入ったあとに十分なプッシュをする余力が無かったコトが響きましたね。そういう意味じゃ、ハミルトンはピットインのタイミングも結果的に大正解だったと言えます。
しかし暑くなるとさらに決勝でダメになると思ってたメルセデスが優勝したとなると、シーズン後半の戦力分布がまた変わってくるのかも……しかし、ベッテルにしてみればライコネンやアロンソとメルセデスがお互いのポイントを奪い合う展開になってくれた方が有り難いという説も。
グロージャンは速かったのだけど
予選で輝きを見せたグロージャンは、決勝でも序盤からベッテルを散々脅かすキレた走りを披露。でも抜ききれなかったんですけど。これでヒートアップしすぎたか、バトンをオーバーテイクする際に接触。リプレイ見るとコーナーへのアプローチでバトンのスペースを潰しに行っちゃってますね。これはグロージャンが悪い。審議の結果レース後のタイムペナルティに。
そして今度はマッサをオーバーテイクする際、コース外にはみ出しながら抜かしたのがペナルティ対象となり、こちらはすぐにドライブスルーを命じられたりして。グロージャンは無線で「Why！？」って叫んでましたけど、これもオンボードのリプレイ見ると4輪ともコースの外側にはみ出しちゃってます。スポーティングレギュレーション20条2項の違反ですね。
ドライバーは常に走路を使用しなければならない。疑義を避けるため、走路端部を画定している白線は走路の一部と見なされるが、縁石は走路と見なされない。
車両のいかなる部分も走路と接していない状態である場合、ドライバーは走路を外れたと判断される。
走路を外れた車両のドライバーは再度復帰することができるが、それが安全であることが確認され、それにより利益を得ることが一切ない場合にのみ行うことができる。
グロージャンは、縁石にはタイヤが乗ってるものの「縁石は走路と見なされない」ので走路を外れたと見なされ、そのライン取りによりマッサをオーバーテイクした＝利益を得たのでアウトというワケです。
今回のグロージャンはホントに力強いペースを見せていたので面白い存在だったのですが、こういう形でレースをスポイルする形になってしまうのは残念。スタート後の悪いクセが影を潜め大人になったかなぁと思ってたんですが、こうしてテンション上がるとまだプッツンしちゃうのかなぁ。
一方のライコネンは2ストップ作戦を敢行した上にベッテルをしっかりと押さえ込む熟練の走りを披露、2位フィニッシュ。グロージャンの若さと、ライコネンのベテランの技が非常に対照的な展開となっちゃいました。
そういや、ライコネンに関して言えばロータスからの給料の支払いが遅延しているなんて話も出てますが、一体どうなっちゃうんでしょうか。そうなるとレッドブル行きの噂にも拍車が掛かってくる感じですが、フェラーリのパフォーマンスがイマイチなせいでアロンソのレッドブル移籍話まで持ち上がってくる有様で、もうレッドブルにしてみればよりどりみどり、この世の春を謳歌している感じになってしまってます。
フェラーリがヤバイ
しかしこのレースのフェラーリを見ていると、こりゃアロンソ離脱の噂が出ても仕方ないレベルのパフォーマンスではあります。決勝のレースペースもホント伸びてなかったし。アロンソのコメントも「5位は思ってたより良かった。メルセデスやロータス、それにレッドブルのが速いのは金曜日から分かってたことだからね」となんか達観したようなモノになってます。
Finishing fifth today, maybe we actually did better than what should have been within our grasp, because Mercedes, Lotus and Red Bull were quicker than us, a fact we had already seen from Friday’s practice.
via: Fernando Alonso:Race - selected team and driver quotes - The Official F1 Website
挙げ句、アロンソのマシンがDRS計測ポイントで前走車から1秒以内に入っていなかったにも関わらずDRSを使用できていたとして、フェラーリに1万5千ユーロの罰金が科されたりして。
Ferrari fined for Alonso’s misuse of DRS - The Official F1 Website
これどうもチームが設定をミスっていたみたいなんですが、途中でこれに気づいたチームがアロンソに対しチームから指示のあった時のみDRSを使用するよう伝え、それほど大きなアドバンテージを得てはいなかったというコトで。これでもし大きな利益を得ていたなんてコトになったら、フェラーリが意図的に違反したんじゃないかと疑われても仕方の無いシチュエーションでした。
メルセデスがこの好調さをキープしていったりしてしまうと、フェラーリにとってはますます窮地に立たされる格好になっちゃいますね。もうちょっと頑張ってくれないとシーズンが盛り上がらないのだけど……。あ、でもこのままアロンソ離脱で可夢偉がフェラーリデビューとか言うなら不調も歓迎ですよ？
そのほか
ウィリアムズのマルドナド師匠がなんと今季初入賞。長い道のりでした。チームのグランプリ600戦目でポイント取れていればなお良かったんですけどね。
そういや予選で良いとこ見せたと思ったリカルドやペレスは、決勝では揃ってチームメイトの後塵を拝する形に。実はリカルド、獲得ポイントではまだヴェルニュを上回れていないのよね。トロロッソの2人にしてみれば、レッドブルのドライバー候補にアロンソの名前まで挙がってくるのはホント勘弁してくれよって感じでしょうけども。
あと、今回のレース観戦ではつい最近日本でサービスが始まったFormula1 on ZumeというiPadやPCブラウザでF1のオンボード映像とかが視聴できるヤツを使ってみたんですけど、実際使ってみるとまだ発展途上かなーと思う部分もあり、便利だなーと思う部分もあり。これについてはまた改めて。
とりあえずこれでF1は夏休み。願わくば後半戦ではベッテル独走を阻む存在が現れますように……。
