大須は萌えているか?

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『ニンジャスレイヤー フロムアニメイシヨン』 BD1巻をしめやかに購入した話

最近買ったアニメBDその2、ニンジャが出て殺すアニメ。

『ニンジャスレイヤー』の原作本は私も読んではいるんですが(Twitterではなく単行本でまとめて読む派)、実際ざっと1回目を通した程度のニュービーです。しかし、「IAEA」を「アイエエエ!」と読んでしまう程度にはその世界観に魅了されており、アニメ化されるとあっては興味を持ってしまうのは必然。

ただ、この『ニンジャスレイヤー』という作品の魅力を、アニメで表現できるものなのか?という疑問はありました。『ニンジャスレイヤー』の魅力って、言うなれば「計算されたチープさ」にあるのだと思っていて。日本文化をあからさまに勘違いした外国人の日本観、それをともすれば直訳したかのようにも見えてしまう翻訳文体、手垢の付いたSFサイバーパンク設定……こうした特徴だけ見ると、『ニンジャスレイヤー』とはとてもチープな作品なんですよね。

しかし、原作を読んでみるとそれらのチープさの突き抜け方がスゴイんですよね。その代表格があの翻訳文体。ニンジャスレイヤーといえばまずあの特徴的な翻訳文体から繰り出される、忍殺語とも言われる数々のコトダマを連想する方も多いハズ。ぱっと見スゴイ適当な翻訳文体なんだけど、実は英語と日本語の混ぜ方とか、カタカナの使い方とか、文章のテンポがスゴイ練られてる。だからこそ、妙にクセになってしまうワケで。

ただ、アニメにしてしまうと、どうしてもセリフ中心のやりとりになってしまいます。すると、原作の過半を占める地の文=サンのテキストが大幅に削られてしまい、結果翻訳文体の持つ妙味と多くの忍殺語が一緒に削られてしまい、その面白さが損なわれてしまうのでは……という懸念がありました(ちなみに私、オーディオドラマは聴いたコト無いです)。

しかし、ニコニコ動画で第1話「ボーン・イン・レッド・ブラック」を初めて視聴した時、冒頭からのFlashアニメとイヤグワラッシュを観たとたんニンジャリアリティショックめいた衝撃を受け、しめやかに失禁してしまったのは言うまでもありません。実際それは『ニンジャスレイヤー』以外の何者でもありませんでした。

『ニンジャスレイヤー』作中では、あれだけ近未来SF的な世界観でありながら、「UNIX」だの「IRC」だのという今日日あまり耳にしない単語が踊っていたりしますが、アニメでその戦闘シーンをFlashで表現するというのは、そうしたアトモスフィアにすごくマッチしているなぁと。なので、不思議と最初からあのFlash演出を「手抜き」とは思いませんでした。

そういや、1話「ボーン・イン・レッド・ブラック」のミュルミドン=サンのHUD表示がひどくWindows95めいていたのも、こうした演出意図に基づくものなんでしょうね、きっと。

もちろんキャラクターのセリフや、ナレーションによって様々なコトダマが出てきたりもするんですが、アニメではこれらのコトダマの印象はそこまで強くないように思います(でも、要所要所を締めるゴブリン=サンのナレーションはステキ)。コトダマの力に頼るのでは無く、アニメならではの映像表現によって『ニンジャスレイヤー』の世界観を表現してて、しかも一歩間違えば「手抜き」と酷評されかねないギリギリのラインを突いてきているのがとても面白い。

この原作小説とアニメに共通するのは「計算されたチープさ」であり、これが『ニンジャスレイヤー』を『ニンジャスレイヤー』たらしめている要素ではないでしょうか。これを「ただ単にチープなだけ」と受け止める人にとっては、途端に駄作以下の作品になってしまうんですけども。

……しかし、チープな映像表現が多用される中でもユカノ=サンとナンシー=サンのバストは豊満であり、実際7話と8話のナンシー=サンの肢体がBD購入の決断を後押ししたのは言うまでもありません。

そういやこのアニメ、WEB版では今時珍しい4:3の画面(しかも音声はモノラル)で配信されており、これも言うなればチープさの演出のひとつなんでしょうね。BD版では16:9版(ステレオ音声)も収録されておりますが、これは「完成途中の舞台袖公開版」という名目になっており、完成版はあくまで4:3バージョンの方です。

挙げ句、BDをよく見ると外箱にわざとテープを剥がした跡めいたものが印刷されていたり、

付属のサントラCDに指紋の跡めいたものが最初から付けられていたりと、

実に細かいところまでチープさの演出をしております。こういう訳の分からない作り手のコダワリは大好きです。

BD特典の中でそこそこ使い物になるかと思っていたスリケン型USBメモリは、実際PCに差し込んでみるとスリケンの刃が隣接する端子を塞ぐ格好となってしまい、私のVAIOだと差すUSBポートによってはLAN直結すらできなくなってしまいます。ゴウランガ!

原作の人気が高い作品のアニメ化だとどうしても無難な方向に走ってしまいがちですが、そんな中アニメ化されても原作に匹敵する悪ノリ(褒め言葉です)を見せてくれているこの作品は多いに評価したいと思います。

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