大須は萌えているか?

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山陰ローカル線ツアー その3 山陰本線~三江線~芸備線~広島城

※この記事は、山陰ローカル線ツアー その2 松江城~ばたでん~出雲大社の続きです。

復路ルート

ローカル線を乗り継いで島根までやってきて、目的地である松江城も見物できて、ついで一畑電車にも乗って出雲大社にも寄ったのであとは帰るだけ……なんですが、「このまま普通に帰ってしまっていいのか?」という良く分からない疑問が頭の中に浮かんでしまったため、往路とは違う面倒くさい路線を乗り継いで帰ってみるコトにしました。つまりこういうコトです。

出雲市駅から山陰本線でさらに西へ向かって江津⇒三江線で三次⇒芸備線で広島⇒新幹線で名古屋。昼過ぎからの乗り継ぎを調べて見ますと、

  1. 山陰本線 快速アクアライナー 益田行】 出雲市 14:01発 ⇒ 江津 15:05着
  2. 三江線 三次行】 江津 15:15発 ⇒ 三次 18:59着
  3. 芸備線 広島行】 三次 19:04発 ⇒ 広島 20:56着

となり、21時前には広島に到着できます。完璧です。乗り継ぎ時間がなかなかタイトで、広島着くまで晩飯食うこともできなさそうですが、まぁなんとかなるでしょう。

理論上は日付が変わる前に名古屋まで戻るコトも可能なんですが、ただ14時からほぼ7時間ぶっ通しで列車に乗ったあと、さらに2時間半近く新幹線に乗るのはしんどそう(早起きして松江城出雲大社見て回ってたし)というのもあり、この日は広島で1泊するコトにしました。ホテルの空きもあったし。

JRの乗車券って、乗車区間営業キロが101キロ以上の場合は途中下車が何度でも可能(後戻りは不可)、かつ券面に書かれている有効期間内であれば日付またいでも大丈夫なため、名古屋までの切符を買って、広島で途中下車して次の日また乗っても問題無いんですね。有効期間は距離によって異なり、今回のケースなら5日間有効。素晴らしい。

乗車券の有効期間│きっぷのルール:JRおでかけネット

特急券の途中下車は不可だそうなので、新幹線自由席で途中下車の旅なんてのやろうと思うと、特急券は都度買い直さないとダメなんですが。

山陰本線出雲市~江津)

出雲市駅は高架駅となっており、前日から芸備線やら木次線やらばたでんに乗ってきた身としては軽くカルチャーショックを受けました。なんて都会なんや。

ここから快速アクアライナーに乗った(車両の写真撮りそびれた)んですが、この列車も程よく乗り鉄と思われる方々が多く見受けられ、若干嫌な予感はしてました。とはいえ、ここではボックスシートの窓際に座れるくらいの余裕はあったんですが。海沿いを走る山陰本線の車窓って、素晴らしいですねー……。

三江線(江津~三次)

そして江津駅到着間際になると、皆ぞろぞろと下車に備えてスタンバイ。あー、この人達やっぱり皆三江線乗るんだ……。 三江線島根県の江津と広島県の三次を結ぶ陰陽連絡線のひとつですが、あまりの過疎っぷりに2018年3月いっぱいでの廃止が決定しています。そうなると逆に、木次線以上に18キッパーが殺到するよなーそりゃあ……。

江津では、アクアライナーが到着したホームのすぐ隣に三江線が止まっていたのですが、すでに乗車していた人々+アクアライナーの扉が開いた瞬間にダッシュで飛び乗った人々により窓際の席は完全に埋まっており、ボックスシートの通路側に座るのがやっとでした。てか、一応2両編成だったのに、かなりの立ち席まで出る有様。網棚に乗っている旅行カバンの多さでお察しいただけると……。

できれば江津で飲み物を買い足そうかと思っていたけど、こんな状況では完全に無理でした(三江線発車後早々に手持ちのペットボトルを飲み干してしまったため、以後広島まで飲まず食わず)。18きっぷシーズンのローカル線は、どんな過疎路線でも混雑具合を意識しないとダメなんですねぇ。

ちなみにこの三江線は、江津~三次の108kmを3時間44分かけて進みます……って遅ッ!!この路線、川に沿うようにぐねぐね蛇行して進んでるもんだから、スピードを出せる区間が限られているんですね。しかも、三次までかなり大回りするように走っているもんだから、単純な所要時間で言うとクルマの方が遥かに速いっていう……なるほどそりゃ廃線になってもおかしくないわ。

とはいえ、江の川沿いの山間をゆっくり進むのもそれはそれで風情があるんですが……、しかし車内が満員状態なので「ゆっくりローカル線の旅」という雰囲気では無くなっている……!

ただ道中ほっこりしたのは、地上20mの高架駅として有名な宇都井駅に到着する際、運転士さん(無論ワンマン運転だ)が「この駅で2分ほど停車します、写真撮りたい方はどうぞー」とアナウンスしてくれたもんだから、皆が駅に到着するやホームに溢れて写真撮りまくってたコト。無論私も撮りましたとも。

これも前日乗った木次線芸備線と同じくキハ120形。↑が後方の2両目で神楽をモチーフにしたラッピング車両。

こちら↓が通常カラーの1両目。狭いホームの人口密度が気になる。

なお、宇都井の2つあとの口羽駅で、対向車両待ち合わせのため10分くらい停車したため、ここでもじっくり写真撮れたんですけどね。この待ち合わせがあるから、宇津井でも余分に停車できたってコトなんでしょう。こんなサービスも、ローカル線ならではですね。

あとすげーなーと思ったのは、いくつかの駅で途中下車する猛者が数人居たこと。途中の浜原駅始発の列車もあるので、それ以降の駅なら2時間くらい待てば次が来るんですが……しかし宇都井みたいな、どう考えても周りになんもない(コンビニはおろか自販機も無い)駅で降りた人とか、どう時間を潰すんだろう……。ただ、浜原発の列車の方が車内空いてるでしょうし、敢えてそれを待つという選択肢はアリなのかもしれない。

三次に着く頃にはほぼ日が暮れてましたが、その混雑っぷりも含めてインパクトのある路線でした、三江線。もう一度、空いてる時に乗ってみたい気もしますが……しかしあと半年ちょいで無くなっちゃうんだよなぁ……。

芸備線(三次~広島)

三次に着いたら、隣のホームに止まっていた芸備線に乗り換え。乗り換え時間は5分なので、飲み物買いに行く暇無し。ていうか、三江線に乗ってた人々の多くが乗り換えるので、グズグズしてるとまた席が埋まっちゃうし。

往路で伯備線から芸備線に乗り換えた際は相当な過疎区間もありましたが、三次~広島はさすがにそんなコトは無いようです。しかし、もう夜になっていたので車窓が全然見えなかったですが。車両は山陰本線でも乗ったキハ40形。

三江線を端から端まで4時間近くかけて乗り切った時点で「やり遂げた感」に満たされていたのですが、この芸備線で広島までさらに2時間近くかかるのが地味にしんどかったです。

広島に着いたあとは、まず腹を満たすために駅ビルで晩飯(お好み焼きの店は行列だったのでラーメン屋)を食い、その後路面電車でホテルへ移動したのでした。久しぶりに乗ると路面電車も楽しい。

広島城

広島で1泊したあとは、せっかくなのでちょっと寄り道していきます。

泊まったホテルが平和記念公園に比較的近い場所だったので、公園内と原爆ドーム前を歩いていき……

広島城に到着。考えてみたら、ここも寄ったコト無かったので。

残念ながら広島城現存天守では無いんですが、1945年8月6日までは天守やいくつかの櫓や門のオリジナルが現存してたんですよね。8月6日まではね……。

ただすごいのは、被曝しながらも現在まで生き残っている樹木が城内に4本あること。そのうちのひとつ、二の丸にあるユーカリ。植物の生命力たるや。

広島城内には戦時中軍の施設が建てられており、被曝後に広島市外への第一報を入れたとされる防空作戦室跡もありました。残念ながら、今は内部の見学はできないようですけども。

さらにこちらは広島大本営跡……ってこれは太平洋戦争ではなく日清戦争時のもの。

この大本営が機能していたときには明治天皇も広島入りし(1894年9月~翌年5月)、帝国議会も一度広島で開催されたことから、この時だけは広島が首都機能を担っていたんですね。大本営の建物はその後も残っていたようですが、これも原爆により消失。

そして戦後再建された、現在の天守

城内の展示はなかなか凝っているものもあったり、甲冑などが着られるコーナーがあったりと、家族連れでも結構楽しめる場所なのではないかと思います。男ひとりだとまぁ……って感じですが。あと、撮影禁止な場所が多いのがちょっとね。

天守最上階からの展望も悪く無いんですが、転落防止用の柵がエライ厳重なもんだから、やっぱり写真撮りづらい……。

天守最上階から、原爆ドーム相生橋方面を見る。今ではビルが建ち並んで居ますが、距離的にはかなり近いよなぁ。

どうも毛利輝元福島正則のことより、原爆のことを考えてしまった広島城でした。

縮景園

広島城を見物したあとは広島駅方面へぶらぶら歩いて行ったのですが、ついでに途中にある縮景園にも寄ってみました。

福島正則の後に広島に入った浅野長晟浅野長政の次男)が造らせたという大名庭園。無論ここも原爆の被害を受けており、戦後再建されたものだそう。いやしかし、広島駅からほど近い場所に、こんな広々とした大名庭園があるって面白いですね。

なおこの日はかなり蒸し暑く、鳩も木陰で死にそうな顔をしてました。

園内には喫茶店もあったので、休んでいくのもアリかなーと思ったものの、店の場所からだと庭園の景色が全然見えないと分かってパス。なんであんな場所にお店建てちゃったんだろうか。結局、休憩せずにそのまま広島駅まで歩きました。

広島駅手前の橋の上から一枚。こういう景色見ると、広島が中洲の街だってわかりますね。

このときまだ昼前だったので、もう少し寄り道しようと思えばできたんですが、思いのほか疲れてしまったのでそのまま新幹線で名古屋へ戻るコトに。少なくとも、最大の目的だった松江城を見物して現存天守すべて訪問できたし、木次線三江線といったスーパー過疎路線(ただし車内は混雑)にも乗れたので良しとしましょう。

それにしても、100kmそこそこを移動するのに飲み物食べ物を買うこともできないまま4時間近く乗り続けざるを得ない三江線を体験したあとに乗る新幹線は、もはや文明開化どころか別世界の乗り物ですねコレ。

しかしああいったローカル線には、単なる移動手段としてではない、独特の魅力があるのもまた事実ではあります。今回も、「不便な状況そのもの」を含めて楽しめた感じしましたし。それを思うと、またどこかのローカル線乗りに行くのもアリだな、とは思いました。できれば18キッパーで混雑していない時期に……。