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パトレイバーが30周年らしいので、好きなエピソード10本挙げてみる

今年は機動警察パトレイバーの初期OVAシリーズ&ゆうきまさみによるコミック版が世に放たれてから30周年という節目みたいで、なんかちらほらパトレイバーの話題を見かけるよーな気がします。先日ははてな匿名ダイアリー(通称:増田)に書かれた

パトレイバーと言う作品が面白いのではなく、機動警察パトレイバー2 the Movieが面白いだけなんだと、一通り見てからようやく気づいた

via: パトレイバーと言う作品が面白いのではなく、機動警察パトレイバー2 the Movie..

という一言に対し、おっさん達がわらわらと「一番面白いパトレイバー」を巡ってレスを付けている光景を見かけました。……んが、ちょっと気になったんですけど、結構「ゆうきまさみのコミック版が最高」という人が多い気がしまして。個人的には、パトレイバーといえば押井守の手がけた初期OVA、及び劇場版1・2が一番のお気に入りなだけに、結構意外な感じもしてしまいまして。

そもそも私がパトレイバーを知ったきっかけって、昔WOWOWで新OVAシリーズの放送をやっていたのをたまたま見て、それが妙に面白かった(ギャグ的な意味で)ために興味を持ち、そこから初期OVAを観てみたらますますハマり……という過程を経ているので、パトレイバーって「ロボットアニメのくせに現代日本(一応、放映当時から10年後という設定ですが)のベタベタな日常描写が多く、下手するとロボットが全然出てこない回もある型破りなコメディ作品」というイメージが強いんですね。

もちろんゆうきまさみのコミック版も全巻揃えましたし、それはそれで好きなんですけど、「本流」ではないという印象で(元々パトレイバーはアニメ向けの企画だったようですし、コミック版は途中から意図的に大きく路線を変えてる気がする)。まぁこれは、どこを入り口にパトレイバーを見始めたかという点にもよるでしょうし、それだけ多彩な世界観を持つ作品であるとも言えます。

しかしまー、せっかくなので、コメディアニメとしてのパトレイバーが一番好きな私が、自分の観点でアニメの特に好きなエピソードを10本選んでみました(劇場版は除く)。それぞれのエピソードの中に出てくる、好きなセリフも一緒にご紹介。

第二小隊出動せよ!(初期OVA 1話)

太田「んっはっはっはっは!来るなら来てみろ犯罪者ぁーーー!ここから先はこの俺様がただの一歩も進ませんぞぉーーー!」

記念すべきアニメ第一話。がに股で銃を構えるイングラムに乗った太田が上記のセリフを言うシーンは、今観ても笑えます。なお、初期OVA1~6話はすべて押井守が監督で、伊藤和典が脚本。

Lの悲劇(初期OVA 4話)

後藤「公務員だぞ地方公務員。お前たちが乗車しとるのはグレートマジンガーか?ダンガイオーか?ん?自閉症児や不良少年が主人公のロボットアニメじゃないんだよ?」

非常にメタ的な感じもする後藤隊長のセリフ。コメディー的なオープニングから一転してホラーめいた雰囲気に、そして最後はミステリー的な展開を見せてキレイにオチるという、盛りだくさんでありながら不思議とまとまっているエピソード。

二課の一番長い日(初期OVA 5・6話)

甲斐「二人から始めてここまで準備するのに20年。生きてりゃもう一回くらいやれるさ」

本来は初期OVAシリーズの締めのエピソードとなるはずだった前後編。後藤隊長と旧知の間柄だった甲斐がクーデターを起こすという筋書きで、初期OVAの中では珍しいシリアス展開。内容的に劇場版パトレイバー2と同列に並べられるコトも多いですが、甲斐とパト2の柘植は思想的な背景やその目指すところが全然違いますね。甲斐が立ち食いのプロのような食いっぷりを見せる辺り、押井監督の強いこだわりが窺えるキャラでもあります。

太田惑いの午後(テレビ版 12話)

後藤「いやはや、驀進中だね」

今でもアニメの第一線で活躍している、横手美智子脚本回(というか、脚本家デビュー回)。しかも、太田がお見合いをするという割と突拍子もないエピソード。気持ちが前のめりに突っ走っていく太田を見ての後藤隊長の上記のセリフ、思わず笑ってしまいます。

特車二課壊滅す!(テレビ版 29話)

シゲ「今一度だけ、今一度だけだ!あの親父の言うことを信じて待とう!無論、無制限ということは有り得ない!今から30分!それが我々ギリギリの妥協線だ。その30分が過ぎても出前が現れなかったとき、上海亭に対してどのような報復手段に訴えるか、各自検討しつつ待機して貰いたい!」

押井守脚本回。埋め立て地に隔離されている特車二課の生命線となっている中華料理店「上海亭」と特車二課の抗争(?)を描くエピソード。上海亭の店主がなんか誰かに似ている気もしますが、気にしてはいけない。

地下迷宮物件(テレビ版 38話)

後藤「やっぱり 閉めときゃ 良かった」

押井守脚本回。押井守は大の『ウィザードリィ』マニアらしく、その趣味をまんま反映したかと思われるエピソード。新OVAシリーズではこの続編となる『ダンジョン再び』というエピソードもあり、挙げ句実写版のTHE NEXT GENERATION パトレイバーでもさらに続編となる『クロコダイル・ダンジョン』というエピソードを作っているという、どんだけ好きなの押井監督。

CLATよ永遠に(テレビ版 44話)

シゲ「リメンバースーパー301ィ!」

伊藤和典脚本回。コテコテにアメリカをおちょくるような内容になっており、そのあまりのコテコテぶりがいっそ清々しいエピソード。シゲと香貫花のコンビがメインというのも珍しくて面白い。

火の七日間(新OVA 8話)

遊馬「だがしかし、私生活やプライバシーと呼ばれるものがほとんど存在しない特車二課にあって、エロ本の回し読み・補助食物の生産等、ささやかな快楽を含む一切の私的活動を否定し、排除せんとする榊整備班長クロムウェル的施策は明らかに時代に逆行するものであり、整備員としての高邁な理想に燃えつつも、娯楽と食欲の追求を介して混迷する現代をトレンドに生き抜かんとする若き整備班員たちの複雑怪奇な欲望が、その捌け口を求めて潜在化・ゲリラ化しつつ発現することは、避けることの出来ぬ歴史的必然であった」

言わずもがな、押井守脚本回。昔は、上記のセリフ全部ソラで言えました。

VS(新OVA 9話)

熊耳「上がってきてあたしを追求しなさい!貴方にはその権利があります!」

横手美智子伊藤和典の師弟コンビ脚本回。私がパトレイバーにハマるきっかけとなったエピソード。ロボットアニメだと思って見てみたら、ロボットがまったく出てこず、隊員たちが皆で温泉泊まって酒飲んだくれるだけの話だったというのが衝撃的でした。なぜかこれで天正遣欧使節団の少年の名前覚えたし。

二人の軽井沢(新OVA 12話)

後藤「でも、そんじゃあ基本的な問題の解決にはならんでしょ」
南雲「後藤さんが言う『基本的な問題』って何かしら?」
後藤「だから、……なんなんだろね」

有栖ひばり・伊藤和典脚本回。後藤隊長と南雲隊長が成り行きでラブホに泊まるコトになってしまうという衝撃回。というか後藤隊長の策略。でも手は出さない(出せない)。この二人の距離感たるや。

以上、10本でした。異論は認める。

にしても、この辺の話って今観ても面白いんだよなー。こういうテイストの作品って、先にも後にも無いよーな気がしますし。初期OVAから30年経っても、パトレイバーの話でポンと盛り上がるおっさんがそれなりの数居るというのは、パトレイバーという作品の独自性と多彩さ、間口の広さを表しているのかもしれませんね。

てか、Windows 3.1も登場していなかった30年前に「OS」とか「テロネットワーク」なんて言葉が出ていたパトレイバーってかなり時代を先取りした作品でもあり、それゆえに古くさくならない魅力があるのかもしれません。