大須は萌えているか?

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実写版パトレイバーは、小説『番狂わせ』とはまた違う内容になると思う

えーと、かねてから話の出ていた実写版パトレイバーの公式会見があったみたいですね。

実写版「機動警察パトレイバー」はオリジナル新作 特車二課は3代目に - ねとらぼ

アニメやコミック版のパトレイバーをベースにするのではなく、2013年を舞台に特車二課「3代目」の隊員達が登場すると。この時点で「実写版の野明や遊馬には誰がキャスティングされるのかな……!?」と胸ときめかせていた方々の思いは木っ端ミジンコにされてしまったワケですが、しかしまー押井守が、パトレイバーという作品を、実写でやるとどうなるか、てなコトを考えるとなんか当然の帰結という気がしないでもありません。

ていうか、私押井守のメルマガ購読しているんですが、そちらの方ではちらっと『アニメのコスプレ大会をやる気は毛頭ありませんので、ご承知おきください』とか『アニメの数年後から始まる物語ですので、野明も遊馬も出てきませんが、名前も性格も似たような連中が似たような大バカを繰り返しております』なんてコトが書かれていたので、それはもう想定の範囲内だったワケなんですけども。

んで、この実写版パトレイバーの設定を見るに付け、2年半くらい前に出版された押井守パトレイバーを題材にした小説が思い起こされるのです。

番狂わせ 警視庁警備部特殊車輌二課
リエーター情報なし
角川春樹事務所

実は過去にこの小説を読んでレビューなぞも書いておりますので、ご参考まで。

『番狂わせ 警視庁警備部特殊車輌二課』は、押井守流のパトレイバーへの愛情表現。

なんでこの小説が思い起こされるのかというと、設定の共通項が多いからなんですね。まずオリジナルの特車二課メンバーは出てこず、オリジナルメンバーの名前をもじったような3代目隊員達が主役。そしてシゲさんだけはそのまま登場。あ、ちなみに2代目は劇場版パトレイバー2で登場したあの影の薄い特車二課メンバーですね。

それから

バビロンプロジェクト」が一段落つき、長期的不況により手間と金のかかる「レイバー」はお払い箱に。特車二課も第1小隊は解散し、第2小隊はかろうじて存続している――という状況で3代目が奮闘する話になるという。

via: 実写版「機動警察パトレイバー」はオリジナル新作 特車二課は3代目に - ねとらぼ

という「レイバーほぼ不要」となってしまった世界観もだいたい同じ。

そうなると、この『番狂わせ』がそのまま実写になるの?というと、それは無いと思ってます。小説を読んでいただければ分かるんですが、『番狂わせ』は映像としての絵面を考慮してない、純粋に小説として完結している作品だから。いやもしこれをベースにするにしても、かなりコテコテに改変を加えないと映画として成り立たないと思いますよ。

んで、登場人物も小説と実写版では違います。どちらもオリジナルメンバーをもじったような名前であるのは共通なんですが、主人公・泉野明(いずみの・あきら)は小説では男ですが実写版では女です。1号指揮担当は小説は御酒屋(みきや)というなんとなくオリジナルの進士幹泰をモチーフにしているような名前ですが、実写版は塩原佑馬(しおばら・ゆうま)と篠原遊馬に近い名前に。

小説では2号機操縦者が額田香貫子(ぬかた・かぬこ)という香貫花・クランシーっぽいキャラで、指揮担当が大田原(おおたわら)という太田っぽい男。なんか立場が逆だ。実写版ではカーシャというロシアから来たという設定の隊員が香貫花のポジションになりそうですが、どういった役職なのかは不明。ただ、発表会見ではアクションシーン云々というコメントもあったので、かなり大暴れするキャラなのは間違いなさそうですね。

ちなみに、隊長が後藤の後輩である後藤田(ごとうだ)というのは小説・実写版共通です。「後藤田」って聞くと後藤が使っていた偽名を連想しちゃいますけど。

こうしてキャラクターの設定をざっと見ると、小説よりもアニメ・コミックの設定に近付けている印象。これを見る限りは、小説の内容をそのまま映画にするというコトは有り得ないでしょうと。

なんとなくの予想として、作品のテーマ自体は、このリアルな現代において「巨大人型ロボット」はどうしたら存在しうるか、という小説のテーマを下敷きにしつつ、キャラクターの設定等はアニメに近付けて旧来のファンの興味を引き、アクションシーンも盛り込みつつ実写映像としての見栄えを整える……てな感じになるんじゃないですかね。

元々パトレイバーって、東京という実在の都市、警察という実在の組織を舞台とした、生活感溢れる描写がウリのある意味「もっともリアルなロボットアニメ」だったと思うんですが、そのパトレイバーを実写でやるという意味っていうのは、やはりその「リアルさ」をさらにもう一歩突き詰めるところにあるのかなぁと。

そしてリアルを追求していくと、どうしても「巨大人型ロボットって有り得ないよねー」という話になってしまうワケで、レイバーもそれを運用する特車二課も、ある意味究極のマイノリティと言えるんじゃないかと。そうした存在が、リアルな現代社会とどう対峙していくのか……っていう感じになるんじゃないですかね。

正直面白いのか面白くないのかさっぱりわかりませんが、それなりに期待して待ちたいと思います。実写映画のウォーミングアップとして小説読むのもアリではあるんですが、しかしまー読んだら読んだで実写映画への興味を失うというパターンも考えられますので、小説読まずになんの先入観も無しで実写版観た方がいいかもしれません。いや私は好きですよ『番狂わせ』。たぶん。