大須は萌えているか?

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「SUZUKA Sound of ENGINE 2018」を見物してきた(後編)

※この記事は「SUZUKA Sound of ENGINE 2018」を見物してきた(前編)の続きです。

バックヤードツアーに参加して再びラウンジに戻ってきたあとは、ちょうど始まったLegend of Formula 1 フリー走行を見物。マスターズF1とは別枠のヒストリックF1マシンですね。

走ってたマシンの中で、全然知識が無く「なにコレ?」状態だったのがこのマシン。

レックというチームのCRP1というマシンなんですが、1977年に5戦のみエントリーし、決勝に進出できたのはわずか3戦、その後レックというチーム自体も消滅してしまったという激レアマシン。なんで消滅してしまったかというと、77年のイギリスGP予備予選中に、オーナードライバーだったデビッド・パーレイがスロットル故障によりコースを飛び出して正面からフェンスに激突するという事故を起こしたからだそうで。その際にパーレイが受けたGはなんと179.8G、しかし生死の淵を彷徨いながらもパーレイは一命を取り留めたというのだから驚き。

デビッド・パーレイ - Wikipedia

この事故により、「最も大きい重力に耐えた人間」としてギネス認定されたというんだから、なんというか言葉もありません。この個体は、その時の車両の復刻版というコトらしいです。てかこのマシン、マスターズF1の車両のハズだけど、なんでLegend of Formula 1の時間に走ってたんやろ?

フリー走行見物後は、お待ちかねグリッドウォーク。例年通り、VIPスイートとラウンジの人は5分ほど早く入場できる特典つき。

こちらはフェラーリF10、日本GPでも見かけたマシンですね。しかし今見ると、この幅が狭いリヤウイングがホントにダサい……!

フリー走行時は、中野信治のドライブで快音を響かせておりました。

よく見ると、ステアリングがスイッチ類の無い簡素なものに交換されてる。

これ、隣にいたF2005もそうだったんですけど、一般のオーナーに販売される際にこういうステアリングに交換されちゃうってコトなんですかね?まあ確かに、うっかりオーバーテイクボタン押しっぱなしにしちゃってエンジンぶっ壊れた、とかあったらイヤですけど。制御ソフトウェアの機密保持的な側面もあるのかなあ。いやでも、この時にはもう共通ECUになってるか。

F2005も日本GPで見かけたマシンですが、グリッドウォークだと当時の流行アイテムだったチムニーダクトもよく見える。ダクトの端がウイングレットにめり込んでるのがおしゃれポイント(?)ですね。

もはやこのイベントの常連となっているアルファロメオ179C、やはりこのノーズの上にちょこんと乗っけられたようなフロントウイングは超絶ダサいです。当時、フェラーリのウィングカーも同じような感じで、あれはフェラーリの歴史上最もダサいマシンだと確信しております。

それからちょっと意表を突かれたロータス101。ホンダエンジンではなくジャッドエンジン。

この前のロータス100Tに比べてひょろっとして頼りなさげな印象ですが、実際問題パワーが大変貧弱であり、ネルソン・ピケをもってしても一度の表彰台も獲得できなかったという、ロータスが奈落の底へ転落するトリガーとなってしまった感もあるマシン。

ロータス101がフェラーリF2005にブチ抜かれるシーンを動画で撮ってみたんですが、ジャッドのエンジン音がかき消されてしまっているのが少々もの悲しくもあります。

それからプジョー905。ルマンのカテゴリー1を示すステッカーがステキ。ドライバーはJ-P・ジャブイーユにP・アリオー、M・バルディ。この3人、91~93年の間トリオで参戦しているんですけど、この3人トリオはルマン優勝できなかったんですね(92年にワーウィック、ダルマス、ブランデル組、93年にブラバム、ブシュー、エラリー組が優勝)。

プジョーとしてはルマンを連覇できたものの、3.5リッターNA規定になってメルセデスジャガーもそっぽを向いてしまった中でのルマン制覇だったので、Cカーの歴史上やや微妙な位置づけに居るマシンという感じもしますが、このV10エンジンがプジョーのF1活動にも繋がっていくと思うと趣深いものがあります。プジョーのF1活動自体がそんなにパッとしなかったコトも含めて……。

てか、このクルマもフロントウイングをちょこーんと乗せた顔がダサくてなあ……(ルマンではこのフロントウイング付けてなかった)。

他、グリッド上に居たCカーは過去にも見ているヤツなので割愛しまして、あとはピットガレージに居たクルマを。

まずはフィッティパルディ F5A、フィッティパルディコパスカー)チーム初のウイングカーで、エマーソン・フィッティパルディが地元ブラジルで2位表彰台に上ったというマシン。

ただ、フィッティパルディチームはこれ以上の成績を上げるコトもできず、エマーソンは1980年に引退、チームも1982年に撤退。エマーソンにしてみればF1ドライバーとしてのキャリア後半を棒に振った形になりますが、ただ「ブラジル初のF1コンストラクターとして一旗揚げたい」っていう気持ちは理解できますよね。スーパーアグリよりは良いとこ行った、とも言えますし。

そして言わずと知れたロータス79、基本的にカッコ悪いウイングカー時代のF1において、抜群の格好良さ。ロータス78・79がF1、というかレーシングカーの空力を変えたといっても良い、まさに歴史を作ったマシン。やっぱり写真撮ってる人が多くて大混雑。

そのロータスを後追いして、1980年にチーム初のダブルタイトルを獲得したのがウィリアムズFW07B。マスターズF1においても高い戦闘力を発揮しているそうで。ただ、ロータスほどカッコ良く見えないのは、まとまりに欠ける中東系のスポンサーロゴのせいでしょうか。てか、JPSカラーがカッコ良すぎるんやな。

F1以外ではこちら、アルピーヌ M63。一部界隈では「葛城ミサトのクルマ」として知られているアルピーヌですが、M63はアルピーヌが開発した最初のスポーツプロトタイプカーだそうで。かつこの個体、その1号車とのこと。ちゃんと顔を見ればアルピーヌだって分かる、このデザインアイデンティティは良いですね。

それからマクラーレン600LT。なんかやたらとPRされてた。

パドックに「セナ」も置いてあったんだから、そっちをデーンと置いてくれれば良いのに、と思わないでもないですが、限定生産でもう完売してしまった「セナ」よりも、絶賛売り出し中の600LTをアピールしたいってコトでしょうか。あとでハッキネンがステアリングを握って、ホームストレートでスタンディングスタートを披露しておりましたが、まあアホみたいな加速性能ですな。

妙な存在感があったのが、全身シルバーメッキのロータス11。このガワ、この色で、かつ走行時はほとんどエンジン音がせずにすーっと走って行くもんだから、もうマジUFO。

一番変態的な造形をしていたのは、香港出身の実業家が立ち上げたメーカーが開発したという「アポロIE」。なんというか、SFに登場する「未来カー」を実際に作っちゃったような何かを感じます。

ただ、エンジンはハイブリッド等は組み合わせず、オーソドックスな(?)自然吸気V12のガソリンエンジンとのこと。コクピットのセンスも妙にナイトライダー的というか、「一昔前の未来カー」といった趣。新しいようで古い、というかなんというか……。

ピット出口の方には、おねーさん付きでセーフティカーのNSXが佇んでおりました。こっち乗ってみたかったなあ。

グリッド&ピットウォークが終わったあとはラウンジに戻り、ささっとお弁当を食べて、

グループCのデモレース観て(途中で787Bがピット戻っちゃったのが残念でした)、

そのあとGPスクエア行って寺田陽次朗&片山右京トークショー見物して(787Bのエンジンサウンドって、寺田さんの進言で「良い音」になるようにサウンドチューニングしていたというのを初めて知った)、

再びラウンジに戻って残りのマクラーレンのデモランやら、マスターズF1の決勝レース、レジェンドF1のデモレースを観てました。マスターズF1は去年もこのSound of ENGINEに来ていましたが、そのときはデモンストレーションという形であり、今回は公式レース(ただしノンタイトル戦)という形で来ているんですね。ドライブしているのはジェントルマンドライバーのおじさま達で、マシンのコンディションも様々なのでタイムのバラツキは結構大きいんですが、こんなヒストリックF1が目一杯のスピードで駆け抜けていく様はそうそうお目にかかれるものじゃないでしょうね。

しかも、1台コースアウトしてセーフティカーまで出ちゃうくらいですから。

SC出た直後のトップのタイムがちょうど2分切るくらいの数字になってますが、確か58秒代くらいまでは出てたんじゃないかな(うろ覚え)。土曜日の予選では56秒代まで出たようで。スーパーGTのGT300マシンのコースレコードが1分55秒代なので、40年くらい昔のフォーミュラカーとしてはかなりのもんじゃない?

マスターズのマシンはフォードDFV搭載車に限られているので、エンジンサウンドのバリエーションとしては物足りないところもありますが、当時のかなりマニアックなヤツまで含めたマシンを眺められるのは楽しいし、こうしてガチのレースまでやってくれるというのは良いですね。

日曜日のレースでは日本人でこのマスターズF1に参戦している久保田克昭が2位フィニッシュを飾ってました。が、なにより表彰式で優勝した人が足を滑らせて、表彰台からずっこけていたのが印象的でありましたが……まあ皆年齢が……。

というワケで、来年はまた別のマニアックなF1車両がやってくるコトを期待しております。来年観るとしたら、どこから観るのが良いんだろな……。