イヤな幕切れになっちゃいましたね、F1カナダGP決勝。
- 決勝結果: FORMULA 1 PIRELLI GRAND PRIX DU CANADA 2019 - RACE RESULT
- 決勝ダイジェスト: Canadian Grand Prix 2019 race report and highlights: Vettel penalty hands record 7th Canada win to Hamilton | Formula 1(動画有)
- 決勝後各チームコメント: What the teams said - Sunday race day in Canada | Formula 1
- 決勝後記者会見: Canadian Grand Prix 2019 Sunday press conference full transcript | Formula 1
物議を醸したペナルティ
今回のレースは48周目に発生したインシデント、つまりベッテルがターン3でコースオフしてコースに復帰する際、ハミルトンの妨害をしたとされる件に尽きますね。なにせ、この5秒ペナルティで優勝が決まっちゃったワケですし。ペナルティの裁定が下ったあと、ベッテルは無線でスチュワードに対する不満を露わにし、レース後はパルクフェルメの所定位置にマシンを戻さず、インタビューにも応じないままフェラーリのホスピタリティに引き上げるという激高ぶり。
その後、トップ3のパルクフェルメに戻ってきて、ハミルトンのマシンの真ん前にある「1」位の立て看板を「2」にすげ替えているのは思わず笑っちゃいましたが。
Parc Ferme... 🔀#CanadianGP 🇨🇦 #F1 pic.twitter.com/cJOuT5hnwP
— Formula 1 (@F1) June 9, 2019
CSの放送で川井ちゃんはこの裁定には反対である旨コメントしてましたが、今宮さんは「我々はなにか言える立場ではない」みたいなコト言ってましたね。テレビのコメンテーターがスチュワードの裁定に口を挟んだりしない様に、みたいなルールがあったりするのかな?
まあ確かに不可抗力とも言える感じではありますし、ベッテルがコースに復帰していたタイミングでハミルトンはまだ後ろに居たワケですから、優先権はベッテルにあるだろーって気はします。ただ、リプレイ映像を見てみると、スチュワードがベッテルに対してペナルティを与えた根拠はこれかな?という瞬間はありました。
Race. Defining. Moment. 📽️#CanadianGP 🇨🇦 #F1 pic.twitter.com/053sau3we1
— Formula 1 (@F1) 2019年6月9日
ベッテル、コースオフして芝生の上を走っているときは左に向けてステアリングを切っているんですけど、コースに復帰した直後に一瞬だけ右にステアリングを切っているんですね。結果的に、これがハミルトンの進路をモロに妨害する形になっているようには見えます。これを、コースに復帰してグリップが復活した瞬間のオーバーステアを立て直すためにやむを得ず行ったカウンターステアなのか、それともどさくさ紛れにハミルトンをブロックしようとして行ったのか、そこが判断の分かれ目ってコトになりそう。スチュワードの判断は後者だったワケですね。
また、英AUTOSPORTはスチュワードがベッテルをペナルティ対象とした理由をまとめた記事を載せてますが、これによれば右にステアリングを切ったコト自体が問題ではなくて、そのカウンターによりコントロールを取り戻していることが見て取れるのに、すぐ左へ向かわずに右に向いたラインを少し保ちつつ、ハミルトンのラインを潰したのが問題である、と。
The footage clearly captures Vettel correcting an oversteer moment as he rejoins the track - which is shown by a sharp steering wheel movement to the right.
Shortly after that, Vettel has sorted the oversteer and begins steering to the left to follow the direction of the circuit - suggesting he is now under control.
But a split moment later, rather than keeping to the left, Vettel is shown to release the steering wheel - which allows his car to drift to the right, cutting off the route that Hamilton would have taken had he had clear space.
via: Why Canadian Grand Prix stewards penalised Sebastian Vettel - F1 - Autosport
スチュワードは放送には流れない追加の監視カメラも参照しており、それによりベッテルがサイドミラーでハミルトンの位置を把握したうえで意図的にやっている、と判断したようで。
この記事を読んだうえで改めてベッテル車のオンボード映像を見ると、なんとなくベッテルが黒に思えてくるから困ったもんです。なんにせよ、ヒジョーに微妙なケースであるのは確か。まあ、そもそもベッテルがミスを犯さなければ、あるいはフェラーリがメルセデスをちぎるだけの速さをもっていれば……とは想いますが、そんなコトを言っても仕方が無いですし。……が、これだけメルセデスが強いシーズンにあって、こういう微妙なインシデントに敢えてメルセデスが有利になる裁定を下さなくてもええやん、というファン心理は間違い無くありますよね。
ともあれ、これでメルセデスは開幕7連勝ですかー……ボタスとハミルトンの差もさらに広がっちゃったし、今年のチャンピオンシップの行方は早くも決まりつつあるような……。
明暗分かれたルノー勢
予選で4台すべてがトップ10に食い込んだ(スターティンググリッドは別として)ルノーPU勢ですが、決勝ではルノーワークスとマクラーレンで明暗がくっきり分かれる格好になっちゃいましたね。
ルノーはリカルドが4位をキープするコトはできなかったものの、ヒュルケンベルグと2人で6位・7位のダブル入賞。ルノーのダブル入賞って今季初なんですね。当然、1レースで獲得したポイント数も今季最多。開幕から成績が安定しなかったルノーにとっては、ほっとしたレースだったんじゃないでしょうか。
ボタスがリカルドをオーバーテイクしようとしてもなかなか追い抜けないシーンなんかもあって、「ルノーすげえじゃん」なんて思ったりもしましたが、今回のレースは温度の高さもあって、追い抜く方にとってもなかなか大変だったみたいですね。
I struggled to get through the Red Bull and the Renaults in the beginning; whenever I closed in on the cars in front, the engine and the brakes were close to their temperature limits, so I had to do a lot of lift and coast which made it tricky to attack.
via: Valtteri Bottas : What the teams said - Sunday race day in Canada | Formula 1
ただでさえストップ&ゴーの連続でブレーキに厳しいコース、そこに加えて高い路面温度となると、ブレーキのケアに苦労したドライバーも多かったんでしょう。フェルスタッペンもブレーキの問題を訴えていたし、ノリスはブレーキのオーバーヒートでリタイヤに追い込まれちゃいましたし。
サインツも、レース開始早々にブレーキダクトが詰まってしまったようで、3周目にピットインを強いられ、結果として残りの長丁場を同じタイヤで走り続ける羽目に。そして土壇場でクビアトに抜かれてポイント獲得を逃すという、踏んだり蹴ったりな展開に。マクラーレンにとってはかなり不運なところもありましたが、予選が良かっただけにノーポイントで終わったのは痛恨でしょうね。ルノーワークスが大量得点したのもあって、コンストラクターズではマクラーレンとルノーの差が2ポイント差まで縮まりました。
そのほか
ストロールがちゃっかり(?)9位入賞。地元で2度目の入賞ですね。予選のパフォーマンスはパッとしないのに、決勝ではたまにこういう良いレースするんだよな……。まあ、同僚のペレスもここ数戦は予選で伸び悩んでいるので、一発の速さが無いのはチーム自体の課題なのかも。
あと気になったのは、無線で悪態をついていたマグヌッセン。レース後、シュタイナーさんにシメられたりしてないでしょうか。そもそも予選でマシンをぶっ壊したのは自分のミスだっつーのに、あの言い草はないだろうって気もするんですが。まあ一応、レースフィニッシュ後に謝罪してますけどね。頭に血が上ると、思ったコトそのまま言っちゃうタイプなんだろなあ。
Guenther would like a word, Kevin 😮#CanadianGP 🇨🇦 #F1 pic.twitter.com/JDIpjhbin6
— Formula 1 (@F1) 2019年6月10日
レース後のコメントによると、レース中の悪態については「意味は無い」そうで、まあ愚痴というか、誰に言うでも無く口に出てしまった言葉、という感じでしょうか。レース中の無線が公開されているコトを考えると、サーキットに居る間のF1ドライバーは常に紳士たらねばならない、というコトかな……。
そういう意味では、レース後明らかにプロフェッショナルとは言えない行動を取ってしまったベッテルに対しても、批判(特にイタリア国内から)が出たりしないか心配ですけどね。フェラーリ内部がさらなるカオスにならなければ良いけど……。