テレビ中継でもテロップで表示されてましたけど、F1の歴史上、予選と決勝の同日開催って今回で5回目で、うち3回が鈴鹿(2004年、2010年、2019年)っていうのはなかなかスゴイ話ですね。そんなワケで、予選と決勝ひとまとめ、F1日本GP。
予選
- 予選結果: FORMULA 1 JAPANESE GRAND PRIX 2019 - QUALIFYING
- 予選ダイジェスト: Japanese Grand Prix 2019 qualifying highlights and report: Scintillating Vettel seals stunning Suzuka pole as Ferrari lock-out front row(動画有)
今年はQ2スタンドの指定席を取っていたのですが、ここからF1観るのも初めてだったりします。ここはなんといっても見晴らしの良さがポイントで、目の前にあるシケインはもちろん、最終コーナー、奥の方に見える2コーナー、さらにダンロップ、デグナー1こめの飛び込みまで見られるというステキな場所。逆に、見られる範囲が広すぎて視点が散漫になりがちなくらいなんですが。
台風一過で天気は抜群に良かったんですが、とにかく風が強かった。スタンドの最上段に立てられていた旗がすごい勢いでたなびいておりました。
で、その影響もあって、クビサとマグヌッセンが立て続けに最終コーナーでスピンしてクラッシュしてしまったワケですが、イマドキのレーキ角が大きいマシンだと、追い風に弱いんですかね?あと、クビサのマシンがクラッシュしたあと、最終コーナーやダンロップの方にいたマーシャルの皆さんも一斉にホームストレートに集まって、スゴイ勢いで後片付けを完了してしまったのが予選一番のハイライトでした(?)。
金曜日の雰囲気からするとメルセデスが予選でもフロントロウ独占かなー、なんて思っていたんですが、フェラーリが1-2ってどういうことなの。しかも、ベッテルが凄まじいアタックを披露してコースレコード塗り替えちゃうとか。久しぶりにルクレールに勝ったベッテルですが、レッドブル時代の鈴鹿マイスターっぷりを思い出させる走りでした。
逆にハミルトンはやや精彩を欠き、ボタスにも先行される4番手。金曜日はメルセデスがあれだけ優勢に見えたのに、これで一気に潮目が変わったか……?と思ったりもしました。このときは。
フェルスタッペンとアルボンがQ3で完全な同タイムを記録したというのも驚きでしたね。アルボンは鈴鹿初めてのハズなのに、ここまでタイムを詰めてきたというのは驚き。Q2でもフェルスタッペンを上回るタイムを出していたし、マグレってワケでも無さそうですしね。
とはいえ、メルセデスとのタイム差は結構大きかったので、ホンダ勢としては少々辛い戦いになるかなー、という感じではありましたね。
決勝
- 決勝結果: FORMULA 1 JAPANESE GRAND PRIX 2019 - RACE RESULT
- 決勝ダイジェスト: Japanese Grand Prix 2019 report and highlights: Brilliant Bottas beats Vettel in Suzuka as Mercedes crowned constructors’ champions | Formula 1(動画有)
- 日曜各チームコメント: What the teams said - Qualifying and race day in Japan | Formula 1
- 決勝後記者会見: FIA post-race press conference - Japan | Formula 1
とにかくベッテルのスタートがヒドかった!シグナルブラックアウト前に軽く動いてしまっていたので、これフライングのペナルティになるかと思ったら「許容範囲内」というコトでお咎めなし。確かに、以前ライコネンがフライングやらかしたときに比べれば動きは小さかったと思うけど、これはこれでやや疑問の残る裁定ではありました。
F1日本GP|ベッテルの“疑惑のスタート”はなぜお咎めなしだったのか? FIAが理由を説明
ベッテルのマシンに取り付けられているトランスポンダーがフライングを検知しなかったから、というワケですが、これもしトランスポンダーの不具合で検知ができなくて、でもあまりにも露骨にマシンが動いていた場合ってどうなるんですかね?
ベッテルがスタートでやらかして、ルクレールもやや出遅れたおかげで、ボタスは1コーナーで悠々トップを奪取。そしてルクレールは外からまくってきたフェルスタッペンにぶつけてしまい、ホンダ応援席の目の前でフェルスタッペンはスピン。スタンドからの悲鳴がスゴかったですね。
この接触も、一度はお咎めなしとされながら、その後再度レース後の審議となり、結局ルクレールへのペナルティと、チームへのペナルティで合わせて15秒加算という結果に。これもなんだかな感じですが、マイケル・マシの説明によると、お咎めなしとした後に新たな証拠が出てきたため、としています。
Stewards' U-turn on Verstappen-Leclerc investigation explained | RaceFans
タイミング的には、「ルクレールはお咎めなし」と聞かされたフェルスタッペンがブチ切れたあとに再度審議となったため、レッドブルが抗議でもしたのかと思いましたが。これもちょっとグダグダ感ありますね。
Max was not amused 😠#JapaneseGP 🇯🇵 #F1 pic.twitter.com/5HrvOB351e
— Formula 1 (@F1) October 13, 2019
フェラーリはフロントウイングにダメージを負ったルクレールをピットに呼び戻そうとしたものの、ルクレールはこれを拒否してピットインせず。そうこうしている間に破損部分が脱落してしまったため、チームは「もうそのまま走り続けちゃえー」と指示(そしてルクレールの後ろでキレるハミルトン)。これに対してマイケル・マシから「いやピットに入れて安全点検しろよコラ」とツッコミが入り、ピットインさせたという……これもグダグダやな……。
F1 team radio: Why Ferrari told Leclerc not to pit damaged car | RaceFans
ともあれ、これにより早々にフェルスタッペンとルクレールが上位から姿を消すコトになってしまったため、優勝争いはメルセデスの2台とベッテルに絞られるコトに。これ、もしもベッテルがフライングのペナルティを喰らっていたら、序盤にしてかなり退屈な展開になっていたのは間違いないので、そういう意味ではベッテルがそのまま走り続けられたのも良かったとは言えるんですが……。
しかし、フェラーリのレースペースはメルセデスほど良くなく、勝ち目があったか?といえば、正直無かったですね。スタートを失敗していなければもう少し望みがあったかもしれませんが、いずれにせよピット戦略でやられていた気がする。ハミルトンなんて、その気になれば1ストップで悠々勝てていた流れでしたしね。
そのハミルトンをわざわざ2回目のピットに入れて、ベッテルの後ろで復帰させたメルセデスの戦略も奇妙といえば奇妙なものでしたが、これはまあチームがドライバーの公平性を担保した結果というコトなんでしょうねえ。まあ、これもメルセデスがフェラーリに対して大量リードを築いているから出来るワザでしょうけども。それにハミルトンも、ボタスに対して大量のリードを持ってますしね。今回は予選から一貫してボタスの方が速さを持っていたし、チームがそれを尊重したというコトなんでしょう。
それに、2回目のピットに入ったハミルトンがベッテルを猛追してくれたおかげで、レース後半も退屈せずに済みましたしね。にしても、最終コーナー立ち上がりで完全にテールトゥノーズになって、これ抜けるやろ、と思ってもストレートで逃げ切ってしまうフェラーリの凄まじさよ。シケインの立ち上がりでここまで接近してたら、普通抜けるじゃんね?
中団グループに目を向けると、予選では下位に沈んでいたルノーの2台がなにげにダブル入賞しているのがスゴい。特に、ミディアムでスタートしてソフトに繋いだリカルドは予選16番手から6位フィニッシュという。抜きにくい鈴鹿で、タイヤ戦略とリカルドのドライビングスキルの合わせ技で順位を上げた感じですかね。
ただ、レーシングポイントがルノーのマシンに対してレギュレーション違反の申し立てをしたコトにより、リザルトは暫定となっているようですけども。
詳細分析のためルノーのパーツ押収 | FIA | F1ニュース | ESPN F1
問題となっているのが、『プリセットラップディスタンスディペンデントブレーキバイアスアジャストメントシステム(事前設定済みラップ距離従属型ブレーキバイアス調整システム)』……ってなんですかこの舌を噛みそうな名前は。想像するに、レースの走行距離に応じてブレーキバイアスを自動調整するようなシステムなんですかね?てか、レーシングポイントはどうやってルノーのこのシステムの違法性を知り得たんだろ。外から見てわかるようなシステムじゃなさそうですけど。
そして最後の最後に、本来のファイナルラップに入る手前の52周目終了時点で、システム上にチェッカーフラッグが表示されてしまい、レース自体は53周走ったものの、最終結果はこのチェッカー表示時点で確定してしまうコトに。去年のカナダGPだかで、1周早くチェッカーフラッグを振ってしまったという事件はありましたが、今回はシステム的なトラブルだったんですね。確かに、タイミングアプリでも52周目終了時点で「RACE FINISHED」って表示されちゃってる。
auto sport Webの記事では、
F1と言えども、常に完璧な運営を行っているわけではなく、今回のようにミスが起きることもある。それでもミスをミスと認め、その日の17時30分という素早い対応できちんと説明を行うことで、むしろ運営側と報道側、そしてその報道を見るファンとの信頼関係を再構築することができる。
via: 決勝53周の予定が52周でチェッカーとなりFIAが会見で説明。日本GP鈴鹿で感じたF1の先進性と透明性 | F1 | autosport web
……と率直にミスを認めた運営を賞賛してたりしますが、しかし今回はベッテルのフライング疑惑、ルクレールの再審議、そしてこの1周早いチェッカーと、そういうものが積み重なってちょっと「?」が多いレースとなってしまった印象でもあります。予選・決勝同日開催だったというのも含めて、ドタバタ風味のちょっと奇妙なレースでしたね。まあ、印象に残るレースだったのは間違いない……。
2012年のベッテル以降、鈴鹿のウィナーがその年のワールドチャンピオンというのが続いており、その理屈でいうと今年はボタスがチャンピオンにならないといけないワケですが、さすがにそれは無いやろなあ……。今まで、鈴鹿の2列目からスタートして勝ったドライバーは居ないというジンクスもあったようですが、それも今回破られました。なにかと異例な日本GPだったのかな、今年は?
おまけ:かなり低空で飛んでくれたおかげで、ホンダジェットのお腹がこんなアップで撮れました。