大須は萌えているか?

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F1[21] バーレーンGP 決勝

F1の開幕戦がここまで面白かったのって、いつ以来ですかね……最高の幕開けになりました、F1バーレーンGP決勝。

メルセデス、辛勝

最終的に勝ちを拾ったのはハミルトンなので、さすが……という話ではあるんですが、本当にギリギリの勝利でしたね。トラックポジションを重視したメルセデスの戦略は非常に正しく、レッドブルより先手先手で動くコトにより最初のピットストップでフェルスタッペンのアンダーカットに成功し、また2度目のストップも早めに動くコトで逆にフェルスタッペンからアンダーカットをやり返されるリスクを潰してポジションを堅持。昨年までなら、ハミルトンが余裕勝ちできるパターンでした。

しかし、今年のレッドブルはやはり速い。ハミルトンが28周目に2度目のタイヤ交換を終えたのに対してフェルスタッペンは39周目までピットインを引っ張り、ハミルトンに対して10周以上のタイヤオフセットを作ることに成功。ここからペースを上げていくフェルスタッペンがどんどんハミルトンとの差を詰めていき、ハミルトンは51周目ターン10の飛び込みでコース外に飛び出したりして一気に追い詰められる展開に。そして53周目のターン4、ついにフェルスタッペンがハミルトンを捉えるコトに成功……したかと思いきや、4輪ともがホワイトラインの外側に逸脱した状態でのオーバーテイクになってしまったため、ポジションを戻すよう無線で指示が出てハミルトンにポジションを譲ったワケですね。それでもまだわずかにチャンスがあったんですが、フェルスタッペンの方も再度しかけられるほどの余力がタイヤに残って無かったと。ホントにオーバーテイクのチャンスは1度だったんですね。

‘It is what it is’ - Verstappen philosophical about surrendering lead to Hamilton following off-track pass | Formula 1®

なんやかんや言いながらも買ってしまうメルセデス+ハミルトンの強さを改めて感じながらも、今年のレッドブルの速さも本物であることが良く分かったレースでした。ハミルトンがあんなコースオフするようなミスをするなんて珍しいし、ハミルトン自身最後まで勝利を確信できなったみたいですしね。

“I think it was really the last lap [when] there was a point, I think once I got through in Turn 4, that I knew I was in a good position,” he said. “But then [there was] oversteer out of Turn 10 and nervousness out of 11, snap oversteer into 13 which is a real bad one and I’m thinking: ‘That’s it – he’s got me now’…"

via: Last laps were ‘horrifying’ says Hamilton after he fends off charging Verstappen to win Bahrain GP | Formula 1®

ハミルトンのレースエンジニアであるピーター・ボニントンもかなり神経質になっていたようで、残り数周というところでは毎周「残り3周、残り2周」みたいに無線で伝えてきてハミルトンが「ボノ、自分で数えられるから!」みたいに返すやりとりもあったようです。ボノってなかなかの萌えキャラですね……(?)。

Probably on the second to last lap when Bonno just kept going on, telling me how many laps were left. He was like ‘three laps, two laps’, and I was like ‘Bonno, I can count! I got it’. He’s just nervous. I’m grateful for Bonno, he patient with me.

via: FIA post-race press conference - Bahrain | Formula 1®

そしてトト・ウォルフがコメントしてますけど、レッドブルって別にバーレーンのサーキットと相性良くは無いんですよね。パワーセンシティビティの高いサーキットですし。そのサーキットでレッドブルがポールを獲得し、決勝でもここまでハミルトンに肉薄したレースを見せたというコトは、レッドブル+フェルスタッペンの組み合わせがメルセデス+ハミルトンに極めて近いパフォーマンスを持っているコトは疑いようが無い。こりゃあ今シーズン、どこまでこの二人がやり合うのか大注目です。

Bahrain was never the strongest race for Red Bull and they have never traditionally been the quickest out the blocks, so after today I have no doubt that they are going to be extremely difficult to beat in 2021. We have a real fight on our hands - and we’re all excited about the prospect of a really close battle for these championships!

via: Toto Wolff : What the teams said – Race day at the 2021 Bahrain Grand Prix | Formula 1®

ただ、レッドブルはマイナートラブルがぽろぽろ出ている感じなのが気がかりですね。ペレスはフォーメーションラップ中に電気系統が落ちてピットスタートを余儀なくされるトラブルがありましたし、フェルスタッペンはレース中マシンの挙動に少し問題があるようなコトを訴えてましたし。長いシーズンでタイトルを狙って行くなら信頼性の確保は重要であり、そこはメルセデスのがまだ有利なのかも、とは感じました。

中団争いは今年も激しくなりそうですが

レッドブルのペレスもピットスタートという憂き目に遭いながらも5位までポジションを上げてフィニッシュし、メルセデスレッドブルの2チームが他を突き放しているのは間違い無さそう。じゃあ3番目のチームはどこかっていうと、やはり開幕戦の時点ではマクラーレンなのかなって感じしますね。ノリス4位というのは上々の結果でしたし、リカルドも7位でポイントゲット。レースペースはチームのキャリアが長いノリスに一日の長があるのかなって感じですが、リカルドが馴染んでくれば相当に強力なチームなのは間違い無し。

ルクレールが予選4番手を獲得したフェラーリですが、ロングランではマクラーレンにやや及ばずといった感じ。もちろんフェラーリがこんなポジションに甘んじているのは面白くは無いワケですが、昨年より上向いているのは確かなので、一歩一歩向上していくしか無いでしょう。ドライバーの実力的にもマクラーレンとは良い勝負になりそうなので、ノリスvsサインツの仲良し対決(?)も見る機会多いかも?

その後ろがアルファタウリ、アストンマーティン、アルピーヌ、アルファロメオあたりがひしめく空間になりそうですが、ここは相当な混戦になりそう。このレースを見る限りはアルファタウリがかなり良さそうに見えますね。ガスリーが早々にフロントウイングを破損して後方に下がってしまったのでアレですが、角田のレースペースはとても良かったですし。スタートで順位下げちゃったのが残念ですが、しかしそこで慌てず一貫性のあるレースペースを刻み続けてのポイントフィニッシュはお見事。F1デビュー戦とは思えぬ落ち着きぶりですよねえ……これでもっと上のグリッドからスタートできるようになったら……と思うと、非常に楽しみな存在。本人はスタートのミスなんかも含めて「嬉しさ半分」っていうんだから、ホント冷静というか、すごい若者が出てきたものです。

Yuki Tsunoda only ‘50 per cent happy’ with debut race, despite securing P9 with last lap pass | Formula 1®

そういや、開幕1週間前に書いた記事で「アロンソと角田がやり合うシーン見てみたい」って書いたんですけど、早々に実現してましたね。角田自身、アロンソオーバーテイクしたのが一番印象的な瞬間だったみたいで。アロンソだけでなく、ベッテルライコネンという歴戦のチャンピオンたちをオーバーテイクしていっての9位獲得だったので、見ているほうも痛快な展開でありました。

相対的にアストンマーティンとアルピーヌはちょっと苦しそうにも見えるんですが、どちらも元ワールドチャンピオン(しかも合わせて6回)を抱えているチームなだけに今後の伸びしろにも期待したいところではありますが、ベッテルはまたしょうもないミスをやらかしちゃってるのが不安ではあります。チーム移籍しての1発目でそれやっちゃうか。

Sebastian Vettel says he ‘couldn’t avoid’ Ocon as he apologises for hitting Frenchman | Formula 1®

レース後ベッテルの方から謝罪はしたみたいですが、「避けられなかった」というのはさすがにウソやろって思っちゃいますけどね。てか、あんなブレーキングポイントが近い状態でなんでオコンの真後ろに戻ろうとしたのか。なんかベッテルって特にこういう下位を走っているときにマヌケなコトやらかしがちっていうか……。チーム変わって心機一転、と思いきや、なんかまだ悪い空気を引きずっている感じがするのがアレですね。年間獲得ポイントでストロールに負けたりしないといいけど……。

アロンソはブレーキトラブルでリタイヤとなってしまいましたが、こちらは久しぶりのF1を楽しめたようで特に苛立った様子も無いコメント。これがいつまで続くのかわかりませんが(?)。

Alonso says debris caused brake failure that curtailed ‘fun’ Formula 1 return | Formula 1®

正直なところ、アロンソ自身もアルピーヌのポテンシャル的に再び王座に返り咲くのは困難であるコトは重々承知かとは思うので、その辺はもう気持ちを切り替えているのかもしれませんけどね。彼がここから何をモチベーションにF1を戦っていくのか、ちょっと気になるところではあります。他のカテゴリーを経験して、「やっぱりF1のドラビングは楽しい」っていう結論に達したのかもしれませんが。

マゼピン伝説は始まったばかりだ(?)

決勝レースである意味角田以上の見せ場を作ったのはハースのマゼピンではないでしょうか。なにせレース開始後早々、2コーナーから3コーナーに差し掛かっていくところでいきなり単独スピンしてクラッシュ、今シーズンのリタイヤ第一号になってしまったワケですから。

2021 Bahrain Grand Prix: Mazepin spins and crashes on Lap 1(動画)

本人が自分のミスと認めており、クラッシュ直後の無線ではさすがに意気消沈と言った感じ。予選でも立て続けにスピンしてしまい「Mazespin」などと揶揄されていた上でのコレですから、ある意味インパクトは強烈でした。個人的には「アンドレア・デ・チェザリスの再来か……!?」などと思ってしまったりもしたんですが(チェザリスも恵まれた環境の元マルボロの手厚いバックアップを受けてF1デビュー、マシンを壊したり接触事故が多いことから「クラッシャー」とか「サーキットの通り魔/犬も歩けばチェザリスに当たる(by 古舘伊知郎)」などと揶揄されるも未勝利ドライバーとしては最多のF1通算208回の出走回数を誇る)、しかしこの角田とは正反対にも見えるこの「新人らしい新人」の存在も妙に気になってしまいます。F2時代から乱暴なドライビングで批判の対象になったり、F1デビュー前にもSNSでの「不適切な投稿」でこれまた叩かれたりと、デビューした瞬間からヒール役が宿命付けられているような彼ですが、このままイロモノドライバーとして終わっていくのか、あるいは人間的にもドライバーとしても成長していけるのか、角田とは別の意味で気になるドライバー。

逆に、優等生的であるがゆえにミック・シューマッハの存在感が薄くなっているような気がしないでもない。彼は彼で、これから印象的な走りを見せられるのかどうなのか。フェラーリのシートを掴もうと思ったら、「シューマッハ」の名前だけでは不十分ですからね。ミックはミックで優等生であろうとする意識が強いように見えるのがちょっと不安要素かな?