大須は萌えているか?

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F1[23] カナダGP 予選

波乱が起きることには定評のあるモントリオールですが、予選から相当な波乱っぷりとなっていますね。そんなワケで、F1カナダGP予選のお話。

フェルスタッペンとペレスの運命を分けたもの

予選が雨になるというのはまあ天気予報のとおりだったのかな、という感じですが、しかし雨が降りっぱなしというわけでもなく、一度はドライタイヤで走れるくらいのコンディションになったと思ったら、またすぐに雨が降ってくる……みたいな嫌らしい降り方をしたもんだから、観ているだけでも緊張感のあるセッションとなっておりました。しかしなにがスゴイって、こんなわやくちゃなコンディションであっても、ポールポジションは相変わらずフェルスタッペンであるというコトですね。なんなんだろうなこの安定感。一方でペレスはコンディションに振り回されてQ2ノックアウトを喫しているというのに。

Q2でのフェルスタッペンとペレスの行動を見てみると、フェルスタッペンがインターからソフトに履き替えてコースに出たのが残り10分15秒くらいのタイミング。この時点で他にソフトを履いていたのはアルボンくらいだったので、他のドライバーに比べるとフェルスタッペンは早めにソフトに履き替える決断をしたことになります。ペレスがソフトに履き替えて出ていったのがその30秒後くらい。せいぜいがそのくらいの違いなんですが、ペレス曰く

It was looking well until we got caught out with the conditions, it was raining and then when it started drying up we went onto the slick tyre, probably about half a lap too late.

via: Sergio Perez : What the teams said – Qualifying at the Canadian Grand Prix 2023 | Formula 1®

「半周くらい遅かった」とのことなので、この30秒がフェルスタッペンとペレスの運命の分かれ目だったということでしょうか。あと、前方がクリアな場所でコースに出ていったフェルスタッペンに対し、ペレスは前方にノリスやボタスが居たので、最適なペースで熱入れができなかったというのもあるのかもしれません(コメントでもトラックポジション云々言ってるし)。アウトラップのペースを見ると、ペレスのが3秒くらい遅いんですよね。

ただ、さらに言ってしまうとフェルスタッペンがQ2の最初にインターで出したタイム(1:20.135)でもQ3進出は可能だったりもしましたね。そういう意味でいうと、ペレス最大の敗因は最初にバシッとタイムを出せなかったことにあるのかもしれません。というかまあ、ホントにフェルスタッペンに隙が無いですね……。

Q2トップタイムをアルボンが叩き出したというのも驚きでしたが、アルボンはQ2で真っ先にソフトタイヤに履き替えていたので、タイヤにきっちり熱が入った状態でレコードラインが一番乾いていた瞬間にアタックできたということなんでしょうね。

2位争いはどうなるか

決勝はドライコンディションとなる予報のようなので、予選のような混乱は考えにくいですが、そうなると2位争いがどうなるのか、という点は気になるところ。予選ではヒュルケンベルグが2番手タイム叩き出すというサプライズがありましたが、彼はどのみち赤旗掲示中のラップタイム違反で3グリッドダウンだし、それにドライの決勝でハースがそのポジションを維持できるともあんまし思えないので、とりあえず彼のコトは考えなくても良いでしょう(ヒドイ)。

繰り上がりで2番手スタートとなったアロンソと、その後ろからスタートする2台のメルセデスがどう争うことになるかがポイントになりそうですが、果たしてドライでのロングランペースがどうか、というところですよね。最後以外はドライだったFP2ではメルセデスの2台が1-2のタイムを叩き出していますが、決勝ではどれくらいのペースで走れるものか。メルセデス勢はアロンソと接戦になると踏んでいる感じもしますし、期待したいところではあります。

今回フェラーリ勢はヒドイことになっていますが、特にルクレールは気の毒でしたね。彼の思うようにやれていたら、Q3進出だってできただろうに……。サインツはなんとかQ3に進出したものの、8番手で終わった上に3グリッドダウンペナルティを食らってしまったのでスタート位置としてはルクレールの後ろ。ドライコンディションでどこまで追い上げてこられるかというのも注目ポイントのひとつにはなるんでしょうけども。

にしても、今回3グリッドダウンペナルティが4人も居るというのはちょっとややこしいですね。サインツと角田とストロールが他ドライバーの走路妨害でのペナルティ、そしてヒュルケンベルグ赤旗掲示中のラップタイム違反ですね。雨の中のセッションだったので走路妨害が出やすい状況だったのかなとは思いますが、しかし最終シケインのところとかヒヤッとするようなシーンもあり、これなんか対策できないものかなと思ってしまいますが。いつか大きな事故になりそうで怖い。

そのほか

角田はFP3で8番手のタイムを出していたので、予選もその勢いのまま行けるかと期待したんですが、Q1も突破できないという結果に。FP3に比べてQ1は路面が乾いていく状況でもあったので、そのコンディションに対してマシンが上手く合わなかったということでしょうか。なんかホント難しい……。

あと、実はこのカナダGPでF1におけるセーフティカーの歴史が50周年を迎えるみたいで、それを記念してF1公式サイトにベルント・メイランダーのインタビュー記事が掲載されてますね。

Hundreds of laps led, chauffeuring Schumacher and feeling like James Bond – Bernd Maylander on life as the FIA F1 Safety Car driver | Formula 1®

そもそもF1セーフティカーの歴史が1973年のカナダGPから始まったということを知らなかったんですが、F1の公式なシステムとして定着したのが1993年から。そしてその当時はセーフティカーとして決まった車両があったワケではなく、サーキットによってまちまちだったりしましたね(フォードやオペルのセーフティカーがあった)。アイルトン・セナが他界した94年のイモラではオペルベクトラがセーフティカーとして出動しており、そのペースがあまりに遅いものだからセナがもっとペースを上げるようジェスチャーしたりもしていました。

そして96年からメルセデスAMGの車両がセーフティカーとして提供されるようになったワケですが、ここから今に繋がるセーフティカーの形が出来上がった感じですね。メルセデスAMGの車両がセーフティカーに採用された経緯については今まで聞いたことが無いんですが、もしメルセデス側からの働きかけだったんだとしたら、なかなか上手い宣伝方法だったんじゃないかとも思います。めちゃくちゃ目立ちますしね、セーフティカー。

ベルント・メイランダーは2000年からずっとセーフティカーのドライバーを担当している(数回だけ欠場したらしい)ので、フェルナンド・アロンソよりも古株ということになります。とはいえ、アロンソも2001年デビューなのでほとんど変わらないですが。

93年当時のセーフティカーと比べると、今のAMGアストンマーティンの車両は隔世の感があるというか、下手するとセーフティカーってF1マシン以上に大きく変貌しているのかもしれません。