土曜日にポイントが獲得できるということは、土曜日にチャンピオンが決まる可能性は当然あるワケなんですが、しかしそれが現実のものとなるとなんか違和感がすごいな。鈴鹿で開催された最初の日本GP(1987年)で、ナイジェル・マンセルが金曜日にクラッシュを喫し怪我を負い、決勝レースを欠場することになったためレース前にネルソン・ピケのタイトルが決まったという事例がありますが、それとはまたちょっと話が違う感じで……。
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予選
非常に砂が多く、また風が強いコンディションということで番狂わせが起きやすいかもな、と思っていたんですが、まあそこまでとんでもない番狂わせは起きなかったですね。マクラーレン勢が本来であればフェルスタッペンの後ろに並んでいたはずなのに、2台共タイム取り消しの憂き目にあったコトくらいですか。
タイムテーブル上はノリスが3番手に入っていたものの、セッション終了後すぐにトラックリミット違反でタイムが取り消され、繰り上がり3位になったと思われたピアストリがトラックインタビューの最中にトラックリミット違反と判定され、6位に繰り下がるというコントみたいな展開になったのが一番の見どころだったでしょうか。
そして最終的に3番手になったのがハミルトンですが、このハミルトンもなんか謎な予選セッションと言いますか、Q1ではあわやノックアウトという下位に沈んでいたのに、Q2ではいきなりトップタイム、そしてQ3ではボチボチのところに収まるという浮き沈みの激しいセッションとなりました。ししかしハミルトンのコメントを見ると「予選というのはいつも難しいものであって、自分にとっては平均的なセッションだった」とコメントしており、なんかこれはこれで深みを感じるコメントでもあります。
あと、またQ1ノックアウトを喫したストロールは走行後めっちゃ機嫌が悪く、チームスタッフをどついていたという話もあるようですが大丈夫なんでしょうか。セッション後のインタビューもあからさまに機嫌が悪いですね。
ストロール自身、マシンの方向性が好みに合わないなどのフラストレーションがあるんでしょうけど、なんかどんどん悪循環にハマっている感じしますね。
スプリントシュートアウト
土曜のセッション開始前に、以下のアナウンスがFIAから発表されてちょっとびっくり。
金曜日のセッション終了後にピレリが各車のタイヤをチェックしたところ、縁石が原因と思われるタイヤへのダメージが多く見つかったため、特に影響が大きいと思われるターン12と13のトラックリミットを変更する、という話。要はコース幅を狭くして、縁石をまたがせないようにする、というコトですね。
じゃあどうやってコース幅を狭くするかというと、従来の白線の内側に線を引き直し、その狭くした幅の分だけアスファルトの上に縁石と同じペイントをするというシンプルな方法。しかしこれだと、縁石に乗ったときのようにマシンに振動が伝わらないため、ドライバーにとってはコースリミットが分かりにくくなってしまうという問題があるワケですね。
F1マシンのコクピットって寝そべるそうな姿勢で乗車しているため、そもそもドライバー目線だと白線が直接目視できないという問題があり、それゆえスプリントシュートアウトではターン13でのトラックリミット違反が一気に増えるという事態になってしまった模様。なんかトラックリミットでじゃんじゃんタイムが取り消される展開になってしまうと、見ている方も興ざめになってくるのでなんとかして欲しいもんですが。
結果的にはマクラーレンの2台がフロントロウを独占するという結果に終わり、なんかマクラーレンの調子の良さがかなり本物である、という印象を強くする形になりました。予選でも、タイム取り消しが無ければフェルスタッペンの後ろに続いていたハズですしね。
しかも、ノリスではなくピアストリが前というのも印象的。鈴鹿もそうなんですが、初めて走行するサーキットへの対応の速さがスゴイですね。逆に言うと、初走行でのハンデを全然感じさせないこの速さを見せられてしまうと、他のルーキードライバーにとってはやりづらいのではないか、という気もしてしまいますが。
スプリントレース
スプリントレースの注目点はフロントロウのマクラーレン勢がどこまで踏ん張れるのか、そしてフェルスタッペンは勝ってタイトルを決められるのか、という点でしたが、ピアストリが見事勝利。レース終了後はフェルスタッペンのタイトル決定ということもあってちょっとピアストリが目立てていない感じもしてちょっと気の毒でしたが、しかし彼ならそう遠くないうちにフルのレースでも優勝しちゃいそうですね。ていうか、ノリスより先に勝っちゃったらさすがにノリス凹みそうですが。
にしても、19周の短いレースの間で3回もセーフティカーが入るのはさすがに萎えるというか、まーほんとに砂が酷いですねえ。レコードライン上とそれ以外でアスファルトの色が全然違いますもんね。スタート直後は各車のオンボード見ると全然グリップしてないし、スタート後の混乱を上手く切り抜けられるかはかなり運の要素が絡んでしまうように見えます。そしてローソンは運が悪かった人、というコトになっちゃうんですが。
あとはオコン、ヒュルケンベルグ、ペレスの接触も印象的でしたが、オコンの「だろう運転」が引き起こした事故だったなあ、という感じ。やっぱりコーナーのアプローチ手前で3ワイドになるのはおっかないですね。ヒュルケンベルグにしてみたら、知らん間に挟まれて巻き込まれた感じだったので気の毒ですが。
全体的なレース展開としてはソフトスタートとミディアムスタートに分かれていたのが興味深かったですが、あれだけセーフティカーランがあったにも関わらず、ソフト勢はタイヤ苦しそうでしたね。
角田は後方からのスタートで、かつ6周オールドのミディアムタイヤだったのであまり多くは望めないレースではありましたが、しかし前を走っていた3台(ストロール、周、マグヌッセン)が3度めのセーフティカー時にピットに入り、角田はステイアウトした結果、結局角田は前に出たポジションを守り11位フィニッシュ(ルクレールのタイムペナルティもあったので)。後ろにソフトタイヤに履き替えた連中がいるので、またポジション失っちゃうかな、とも思ったんですが、守り通しましたね。
逆に言うと、角田の後ろから順位を上げられなかったストロールにとってはまたフラストレーションの溜まる展開だったのかな、という気がしますが。そもそもストロールが履き替えたソフトタイヤは6周オールドだったというのもあるのかもしれませんが。
しかし何よりお見事だったのはアルボンですね。3度めのセーフティカー明けのタイミングでは角田のすぐ前の11番手でしたが、そこからスルスルっとポジションを上げて7位フィニッシュで見事にポイントゲット。セーフティカー明けのあと、前に居たボタスをオーバーテイクできたのが大きかったですね。
ボタスとアルボンはどちらもミディアムタイヤで条件はほぼイーブンだったワケですが、さらにその前に居たアロンソやガスリーがソフトタイヤでラスト3周のタイミングでペースがずるずる落ちてきたので、そこで上手く勝負をかけることができた感じでしょうか。アルボンの前に居たハミルトンも、最終的に5位まで順位を上げていますね。ただ、今回調子が悪そうだったアルボンがポイント持ち帰った、という方が驚きでした。この辺の流れを読む力というのは、アルボン素晴らしいですねえ。